あべこべ
僕は勇者として、異世界に召喚させられた。
魔王がどうとか、目には目をだとか、狂ったような表情で力説する国王を見て、召喚させられた僕含む七人は、かなり引いていた。
しかし、僕らはただの一般人だ。魔王とかいう化け物をどうこうできるような力は持っていない。
だから、スキルと呼ばれる戦うための力を、一人一つ宿してもらえるそうだ。
【憤怒】【嫉妬】【色欲】【怠惰】【暴食】【強欲】【傲慢】
この7つのスキルのうち、ランダムに選ばれるらしい。
すると、僕らの内の一人の、明らかに真面目そうな男性が言った。
「このスキルを宿すだけなら、この世界の一般人でもいいのでは無いか?」
当然の疑問だ。
国王は答えた。
「異世界人の方が、この類いのスキルと親和性が高いのだ。」
よく分からないが、異世界人の方がいいのだろう。
僕らは無理やり納得することにした。
もちろん僕だっていきなり呼ばれて魔王を倒せだとか、そんなことを言われて、はい分かりましたって納得はできない。できるはずがない。ただ、納得するしない以前に、あの空間、あの空気感があまりにも異質で、不気味だった。
日本という平和すぎる国で育った僕たちには、とても耐えられず、ただ、黙って従うことで、僕たちは自分の身を守っていた。