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第12話 ステータスⅠ

 今回はいつもより長めです。

『ステータスⅠのインストールが完了しました』


『「レイ」の情報を登録します……登録が完了しました』



『ステータスⅡのインストールが完了しました』


『「黒雨零」の情報を登録します……登録が完了しました』



『通知設定を変更致しました。以後、通知は統一して通知ボックス、通称「n.b」に送ります。通知には重要な事が書いてありますので、必ず目を通すようにしてください』


『n.bを開きたいのであれば、「open notification box」と唱えてください。ただ、この開き方は一回しか使えないので気をつけてください。(なお)、次回からの開き方はn.bに送ります』


『このログは今から24時間後、自動的に削除されます。このログを残したい場合は、n.bに保存してください』


   ◇


 目の前にある謎の画面にはそう書いてあった。はっきり言って、意味がわからない。いや、意味はわかるが、訳がわからないのだ。あれ?この二つの言葉は意味がほとんど同じだった気がする……。


 ……落ち着くために、状況を整理しよう。僕は目が覚めた時のことを思い出していく。


   ◇


「……はっ!」


 目が覚めた。ただ、頭は()えていない。そして軽い頭痛がする。


 確か、「ステータスをインストール」みたいなことが聞こえた後に激しい頭痛が襲ってきて、意識を失ったはず。


 円滑(えんかつ)に回らない頭を必死に回して状況を確認していく。


 まずは辺りを見渡してみと、血が地面に(したた)っている角兎(つのうさぎ)の死骸が見えた。


「ふぅ、他の動物に()られていなくてよかった……」


 僕は安堵の溜息(ためいき)()く。他の動物に盗られていたら、再び狩らないといけない。

 現在の状態で狩るのは辛いので助かった。


 それはさておき、早く血抜きをしないといけない。……既に血がほとんど流れていると思うが、一応しておこう。


 以前読んだことのある本に書いてあったことを実践していく。

 まずは喉のあたりにある頸動脈(けいどうみゃく)をナイフで切って血を流し出す。これが「血抜き」だ。


 血抜きが終わったら内臓を処理するのだがここでは作業しづらいため、拠点がある川に向かおうと思う。


 僕は額がぐちゃぐちゃになっている角兎(ちなみに、角はどこかに行った)を持って川に向かっていく。……その時だった。


 唐突に、謎の半透明で少し発光している画面が目の前に出現する。

 その画面には、『ログを表示しますか?〔Yes/No〕』と書いてあった。


 こんなことが起きれば当然混乱する。僕は混乱した脳を落ち着かせ、再び画面を見た。


「YesかNoってことは、どちらかを押せばいいのか?いや、そもそも何のログを表示しようとしているのか、そしてこの画面は何なのかもわからないのに、押してしまってもいいのか?」


 いろいろと考える。しかし、結局このままだと(らち)が明かないのでYesを押すことになった。


 Yesを押すと、画面には『ログを表示します。少しお待ちください』と出てきた。

 それから数秒後、意味がわからないログが画面に表示されたのだった――


   ◇


 ――ということが先ほどにあった。やはり、訳がわからない。


 ……それはともかく、状況を整理したら落ち着いてきた。これからはこの謎のログについて考えよう。


 正面にある画面に表示されているログは、ステータスのことと、何かの通知に関してのことが書いてあった。


 ……もう一度じっくり読んでみるとわかったことがある。どうやら、通知には重要な事が書いてあるようなのだ。

 そんな重要な通知が送られているのが通知ボックス、通称「n.b」であり、今はそれを開くのがよさそうである。


 では、開いてみよう。


「open notification box」


 そう唱えると、翠色すいしょくに光る粒子と共に漆黒の表紙に銀色の文字(読めない)が書いてある本が正面に浮いて出現した。

 その本は宙に浮いたまま、自動でパラパラとページが(めく)られていき、ある程度ページが捲れたら動きが止まった。


「何だ、この本は……?」


 驚きのあまり、固まっていた僕の口から出た言葉がそれだった。

 いや、今はそんなことを気にしている場合ではない。通知を確認しよう。僕は本を覗き込んだ。


   *


『ステータスⅠを更新しました。ステータスⅠを確認するには、呪文を詠唱する必要があります。その呪文は以下の通りです。


「導きの神 ヒューフォロス (なんじ)らは望む道を歩むために 我は(いたたぎ)を目指すために

己の力量を見極め、昇華する ()の魔族の総意を聞き入れよ

“導きたまえ―― ステータスⅠ・オープン”」


 尚、閉じる場合には、「“ステータスⅠ・クローズ”」と唱えてください』


『ステータスⅡを更新しました。ステータスⅡを確認するには、呪文を詠唱する必要があります。その呪文は以下の通りです。


「導きの神 ヒューフォロス (なんじ)らは望む道を歩むために 我は(いただき)を目指すために

己の力量を見極め、昇華する ()の人族の総意を聞き入れよ

“導きたまえ―― ステータスⅡ・オープン”」


 尚、閉じる場合には、「“ステータスⅡ・クローズ”」と唱えてください』


『ホーンラビットを討伐しました』


『経験値を1獲得しました』


   *


 僕が目を通し終わると、本は翠色すいしょくに光る粒子になって消えていった。

 どのような仕組みになっているのだろう?


 ……それはさておき、自分のステータスを確認できるようだ。角兎の本当の名前とか、経験値とかの細かいことは無視する。


「ひとまず、ステータスを確認しよう」


 僕は何故か手を前にかざして詠唱文を口に出す。驚くことに、頭に詠唱文が刻まれているかのように言葉がスラスラと出てきた。


「導きの神 ヒューフォロス (なんじ)らは望む道を歩むために 我は(いただき)を目指すために」


 かざした手から青白く光る粒子が出てくる。


「己の力量を見極め、昇華する ()の魔族の総意を聞き入れよ

“導きたまえ―― ステータスⅠ・オープン”」


 すると、青白く光る粒子が明るく輝き、見たことのある本が空中に現れた。

 それは表紙に謎の銀色の文字が書いてある本。つまり、通知を見たときに出現した本である。ちなみに、閉じたままだ。


 僕はその浮いた本を開く。そこには、僕のステータスが表示されていた。


―――――――――


〈ステータスⅠ〉

基本情報:レイ 男 12歳

人種:魔族、■■

種族:吸血鬼(ヴァンパイア)

位階(ランク):Ⅰ

LV:1(1/10)

MP :10/10

筋力:11

耐久:8

魔力:12

魔耐:9

敏捷:6

持久:6

器用:5

幸運:0

ステータスポイント:10

スキルポイント:100

ユニークスキル:管理者(アドミニストレータ)lv1、復讐ふくしゅうちかいlv2

スキル:吸血lv1

魔法:

称号:転生者、吸血鬼の■■■■


―――――――――


 いろいろと気になることがある。特に〈基本情報〉、〈人種〉、〈種族〉の3つだ。


 〈基本情報〉では僕の名前が「レイ」で、年齢が「12歳」と表記されている。何故だろう?僕の名前は「黒雨零」で、15歳なはずである。


 〈人種〉では「魔族」と「■■」、〈種族〉では吸血鬼(ヴァンパイア)と表記されている。僕は人族だと思っていたが違っていたのか?それとも、転生したときに変更されたのかもしれない。


 転生と言えば、〈称号〉に「転生者」がある。これで転生したことが確定した。まあ、ほぼ気づいていたけどな。


 ……とにかく、情報が圧倒的に足りない。説明のようなものがあればいいんだが……。


『お呼びでしょうか?』


 不意に頭の中で機械的な声が響いた。


「何だ!?」


 僕は即座に身構える。無防備なときに前回のような激しい頭痛がきて倒れたら(たま)らないからだ。


『そう警戒しなくても大丈夫です。申し遅れましたが、私は管理者(アドミニストレータ)。マスターのユニークスキルなのですから』


 謎の人物(?)は管理者(アドミニストレータ)と名乗った。ただ、正直に言うと疑わしい。


『まだ疑うのですか?私は正真正銘、マスターのユニークスキルですよ。マスターの心が読めるのと、脳内に声を届けられるのが何よりの証拠です』


 ……本当に心を読めているのか?そうなら、しっかりとした証拠が欲しい。


『マスターは私が本当に心を読めているのかと疑っていて、しっかりとした証拠が欲しいと思っています。合ってますか?』


「……」


 僕は絶句した。こんなあり得ないことがあるのか?


『既に何もないところから本が出てきたりしているので今更でしょう』


 確かにその通りだ。そして、管理者(アドミニストレータ)が心を読めるということも確実にわかった。


『マスター。ご提案なのですが、「管理者(アドミニストレータ)」だと長いので、「アドミン」と呼んでくれるでしょうか?』


 まあ、いいだろう。管理者(アドミニストレータ)は長いと思っていたしな。


 ……なあ、アドミン。お前は何をしてくれるんだ?


 流石に、話すこと以外何もできない無能ということではないはずだ。


『そうですね。私は主にステータスのことについて説明することができます。何か質問したいことはありますか?答えられる範囲ならお答えしますよ』


 ステータスのことについて説明してくれるだと!?でも、タイミングが良すぎて不安になってくるな……。


『心配しないでください。私はマスターが「説明のようなものがあればいいな」と思っていたから話しかけたのです。


 そういうことか。それならタイミングが良いことも(うなず)ける。


「では、早速質問がある。このステータスは何のためにあるのだ?」


 僕はアドミンに初めの質問をした――

 次回からステータスについて詳しく(?)やっていきます!

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