Ⅱ
「髪の毛が焦げ臭い…。」
「………。」
「それにしてもアイザック、他のことを心配するのもいいけど、懇親会のことも心配しないとだからな。」
魔法薬学の授業終わり。
担当教師から居残りの課題を言い渡された後、横からぼそっと呟かれた言葉で俺の頭は一気に覚醒した。
「っ懇親会!!」
「そうそう。各国の国王達が定例会議を開くために集まるのに合わせて、懇親会が開かれることになったじゃん。俺ら王族達も懇親会に参加するのが義務なんだからさ。もう3日後だぜ。」
「っみ、3日後……。」
忘れてた。
あ、いや。覚えてたけどそれどころじゃなくて重要事項から外れてた。
なんでそんな面倒な集まりが初開催されて、しかもよりによって今なんだ。
頭を抱えたくなった。
「実際、定例会議自体は、半年ごとに開催地を各国順番制に回してるけど今年は俺んところだから、バタバタしまくってるしさ。」
「俺のところも、開催国じゃないのにバタついてる。」
「…俺もだ。」
カサンドラも授業中に懇親会、懇親会って言ってた気がする。
いろいろ準備する事があるらしく、城の中を侍女たちが慌ただしく動いてたな。
ーーーいや、まてよ。
これは、むしろチャンスなのでは。
「悪い、今日俺先帰るわ!」
「アイザック、お前さっきの魔法薬学の居残りで課題言い渡されてるのどうするんだよ!」
「今度埋め合わせするから!」
思い立ったらこれしかない気がして、いてもたってもいられなくなった。
これはまさしくやるしか無いだろ。
「………あいつやっぱり全体的に今日変だよな。」
「俺もそう思う。」