Ⅲ
ザックの話を聞きながら、柔らかい日差しを受けた窓にぼんやりと自分の姿がうつったのが目に入った。
長く伸びた、白銀の髪の毛。
同じ色の瞳。
双子なのに、横にいるはずのアイザックとは双子には見えるはずもない。
大陸に存在する七つの魔法のどれにも当てはまらない白銀の色と、私の持つ前例のない魔法のせいで私は人前に出ることはもちろん、存在を明かすことすらもできない。
「…でさ、その3人とほんとに合うみたいでさ、最近は……アイリス?」
「ごめんごめん。ザックがそういうならいい人達に間違いないね。」
想像することであらゆるものを生み出すことのできる幻影の国の魔法。
他の王国が操る魔法すらも使えてしまうのが幻影の国の魔法の凄いところだけど、完成度は本物には及ばず、生み出したものはいずれ消えてしまう儚い魔法。
その理を完全に無視した私の魔法は、全ての魔法を全て本物同様に扱えてしまうこと。
異質すぎる私は、生まれてすぐに隔離されたらしい。
双子だったこともあって、国王と妃の間に生まれた子供はアイザックだけだということに。
小さい頃から魔力が強力だった私は、存在を知られることで起こるかもしれない争いを避けるためにそのまま隔離を続けられることになった。
(こんなの、あったって使いどころなんてないのに。)
私はこの塔から出たことがない。
何重にも結界の張られた、幻影の国の王宮から離れた影の一角。
ここで一生を過ごす、世界では存在しない幻影の国の第一皇女。
第一皇女なんて、名乗る資格もない。
誰よりも幻影の国の魔法使いらしくない私が。