Ⅱ
「アイリスの方は特に変わり無いか?」
「うん。最近は勉強するのが楽しくってハマってるところ。」
「…そんな言葉言ってみたい人生だった。」
アイザックは魔法大陸に存在する幻影の国の第一皇子。
16歳で少し前の春に魔法学校高等部に入ったばかり。
そして私アイリスは、アイザックの双子の姉。
双子って言っても、全然似てないんだけどね。
「学校はどう?やっぱり中等部とは違うの?」
「人の数がとにかく多くてさ。授業も本格的っていうか、やっぱりいろんな人がいると色んな魔法があるなって実感するっていうか。」
「うんうん、そうなの?」
「前に話した炎野郎とはなんだかんだ仲良くなってさ、あいつ意外と良い奴なんだよなー。」
「王族の人相手に炎野郎なんて言えちゃうのはザックくらいだと思うなぁ。」
ザックの話を聞くのは大好き。
ザックを通して外の世界を知れるし、自分の知らない世界を一から感じられる。
聞く話全てが聞き飽きた、見飽きた、なんてことのない新しい世界。
「アイリスも会えば分かるだろうな、…いや、アイリスにあいつを会わせるのは刺激が強いか。」
「えー、そうなの?」
「もう一人ほんとにいい奴がいるんだけど、そいつの話してもいい?」
「うんうん、して欲しい!」
会いたい、行きたい、してみたい、は言わない。
言っても出来ないことだし、何よりザックを困らせてしまうのが目に見えているから。
(本当は、いろんなことをしてみたいとは思うけど、思うだけで十分だからいいの。)