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Ⅰ
ーーーコンコン、
「………?」
ふと。窓から音がして、読みかけていた本に慌てて近くにあったしおりを挟み込む。
窓まで近づくと、よく慣れた魔力の流れを感じてくすっと笑ってしまった。
鍵を開けると、小さな風の流れがするりと窓を抜けて、部屋の中で見慣れた形を形成していく。
その姿を見ながら、小さく開けた窓の鍵を閉める。
「…ザック、バレたら怒られちゃうでしょ?」
「おいおい、今までだってバレたことない俺の得意魔法をなめてもらっちゃ困るね。」
何週間ぶりだろう。
久しぶりに会えた弟に、頬が自然と緩むのが自分でも分かった。
(…また背が伸びたんじゃないかな、弟にぐんぐん抜かされちゃうのってなんだか変な感じ。)
「またこの本読み直してるのかよ。ドラゴンと友達になって大陸を渡り歩く話だっけ?」
「違いますー。魔法が存在しない世界に冒険しにいくお話。もう、どこも同じ要素ないじゃない。」
「そうか?ニアピンだと思うけど。」