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Ⅱ
暗い中でもわかる、空気が少し揺れるような感覚。
月夜にあたってる足元のあたり、長くて白い毛先は、見る見るうちに赤く色付いていく。
「……よし、準備はできたよ、ザック。」
窓際に歩いたアイリスは、今度こそ全身月夜に照らされて、赤く染まったその姿は普段とは違う人にすら見えた。
(すごい、アイリスじゃないみたいだ…。)
燃えるような赤。
普段のふわふわと揺れて波打つ白銀のイメージとは違う力強くて気の強そうなイメージに、少し笑ってしまった。
「なにさザック。」
「今のアイリス、気が強そーだなって。」
「何か変なこと言ったら反逆してやるんだから。」
「うそ、その色も似合ってるよ。…俺はそろそろ自分の部屋に戻る。アイリスは俺の風の跡を追ってついてきて。俺もう一人のアイリスは、そのあと窓を閉めるのを忘れないで。」
「はい、ザック。」
「じゃあ、いこうか。」
「ーーーうん。」




