Ⅳ
「危険なことはしたくない。」
ばっさり。
「こんな機会滅多にないって。アイリス!」
「もし懇親会の日に私の部屋に来る人がいたら?当日はどうやって人目にを避けるの?この容姿じゃ目立ってすぐに失敗するよ。」
「アイリスの一部を置いて行って、それで分身を作るんだ。アイリスの魔力なら簡単な受け答え程度ならできる分身を作れるだろ?」
「ザック、やめよう。失敗したとき私たちの責任でどうにかなる話じゃないよ。」
「炎の国には転送魔法で行くらしい。あと2日で、俺のお気に入りの風の魔法をきっちり叩き込むから、俺の荷物の中に紛れ込んで一緒に行こう。」
「そんなに上手くいかないよ。」
「やってみないと分からない、アイリスの幻影の魔法があれば髪色も瞳も楽勝だろ?」
「私、ここにいても充分楽しいし満足だよ。いつかこんな危険なことしなくたって出られるようになるから、今回はやめとこ?」
そんな理想的ないつか、がこないだろうと俺とアイリスは知っている。
アイリスが笑う。
「かなり大胆な作戦だよね、」
外に出たいのは、行きたいのは、アイリスの気持ちを全部を知り尽くしてるわけじゃないけど知ってるつもり。
もしこの機会を逃したら、アイリスはここから一生出られずに過ごすかもしれないんだ。
そして、今行動しなければそれはほぼ確実だということ。
「アイリス、俺たち自身を信じよう。」
目をぎゅっと瞑って下唇を噛む。普段ふわふわと笑う明るいアイリスからは想像もつかない姿。
「無理だって、思う。」
「やってみないとわからない。」
「失敗したら、」
「成功するように計画を立てよう。」
「あと2日で出来っこない。」
「2日もある。」
「上手くやれる自信がない、」
「一人じゃない、俺がいる。」
「…………………………。」
そのまま何十秒か何分か。
間をあけて顔を上げたアイリスは、
「外に、出たい。」
それだけ、一言だけ言葉を紡いだ。
そして運命の日へと、繋がる。




