8話 回復魔法を覚えました!
その日も私は戦闘に明け暮れていた。プチデビルを餌食にして。そしてユウスケの返事をきたしながら、宿に戻る。寝る身支度をしてから交換日記を開いてみる。ユウスケからは返事が来てた。私は新しいページに目を落とす。
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【ナイフ、ごめんなさい( ;∀;)】
こんにちは~!
村の暮らし、順調で何よりです!
僕は宿暮らしって、なんだかいいなぁって、思います。
その暮らし、聞かせてくれるとうれしいな。
ディベートで魔王……倒せるなら……ね?(笑)
投げナイフ作戦は失敗だったみたいだね……。
余計なお金使わせてしまって、ごめんなさいm(_ _"m)
銅の剣って、攻撃力ありませんか?
ナイフより長いと思うし……。
プチデビルの返り血、ちょっと怖いかも……?
血まみれで村に帰ってるんですか?
村の人、驚きませんか?
では、また!
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へぇ……ユウスケの世界では宿での暮らしって無いんだ。ナイフの事気にしてるみたい。でも私この戦い方気に入っちゃったから全然平気。血まみれで帰るもの結構みんなそうしてるけど……ユウスケの所ではそんなことないのかしら? 世界が違うと価値観も違うんだな……。そんなことを思いながら、明日に備えて眠りについた。
いつもの日常。私はプチデビルを一掃していた。本当、結構狩り尽くしたはずなんだけど……どこから湧いて出て来るのかしら? そんな疑問を他所に、私は狩り続ける。そして日が落ちる。私は宿屋に戻り、寝る身支度をして交換日記を開く。今日の私の日記を書く。
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【ナイフのことは気にしないで!】
こんにちわ~☆
宿はなかなか快適だよ~。
疲れも取れるからね~。
村での暮らしはそこそこって感じだけど、今はプチデビル狩るのにハマってるからかな?
村には宿に入るくらいだよ~。
ナイフのことは気にしないで~☆
この村にもう少し居るつもりだし、ここには私の使えそうな武器なかったから、大丈夫!
心配しなくていいよ~☆
そうなの! 血まみれでいつも村に帰ってるよ~。
村の人は何も言わないよ?
1日狩ってると、下着まで血に染まってたりするの…(´Д⊂ヽ
じゃあ、またね~☆
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本当、下着まで血がしみ込んじゃうのよね……宿屋で洗濯してくれるのは本当に助かってる。私は交換日記を閉じると、光り輝くのを見送るように見つめた。
あくる日も私はプチデビルとの一方的な虐殺をしていた。本当、プチデビルはどこから来るんだろう……。辺りの景色は夕日になりいつものように宿の部屋に戻る。そして交換日記を開くとユウスケの返事は既に来ていた。私は新しいページに目をやる。
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【宿暮らし羨ましいです。】
こんにちは!
宿、快適なんですね?
いいなぁ……僕は一人で宿に泊まったことはありません。
お金もかかるし……。
プチデビル、狩るのにハマってるんですか?
毎日血まみれで、お疲れ様です……。
着替えとかはどうしてるんですか?
毎日血まみれなら、洗濯大変そう……。
そういえば、仲間は作らないんですか?
人見知りって言ってたけど、仲間は大切だと思うよ?
それに、銅の剣は買いだと思うけど……。
合わなかったの?
出来るだけ装備は新しい村でそろえるといいと思います。
では、また!
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「仲間かぁ……」
人見知りだし、仲間作るのもなぁ……。ユウスケは宿に泊まったことないんだ……。と言っても私も、勇者になってからが初めてだけど。
すっかり日課になって来ている交換日記。私はこの時間が一番心地よかった。
「たぁぁ!!!」
二本のナイフも大分しっくりくるようになった。今日もプチデビルの惨殺を楽しんでいる。そして、何回か倒しているうちに、私の腕が光りレベルアップを示す。レベル14。そして回復魔法を新たに覚える。念願の魔法を獲得してテンションが上がる。これで回復薬を使う場面は減るはず。喜び勇んで、プチデビルを惨殺してその日が終わる。
そして宿屋に戻り、交換日記を広げて私の日記を書く。
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【回復魔法覚えました!】
こんにちわ~☆
宿、ユウスケも泊まってみたら?
村の宿だと、プチデビル3体倒したぐらいで泊まれるよ~☆
洗濯はね、宿屋にお願いしてるの。
だって私は、プチデビル倒してるんだもん(笑)
だからね、新しい町とか行くときにはね、着替えに返り血つかないように、気をつけなきゃいけないの……(´Д⊂ヽ
仲間は……いいや(笑)
そうそう、レベル14になりました!
回復魔法を覚えたよ!
これで、回復薬無しでも倒し続けられるよ~☆
まったね~☆
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そう、ユウスケも宿に泊まってみると良いのに。そう思いながら交換日記を閉じて、ユウスケの元に届くのを見送った。