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7話 ディベートって何?

「せいやぁぁぁ!!」

「ファイヤー!!」


 私は日課のようにプチデビルの惨殺を繰り返していた。日が落ちるまで。日が落ちるころには、私の姿はプチデビル達の返り血まみれになっていた。いつものように宿屋でお風呂に入りぼーっと考える。


「いつも血まみれだとなぁ……」


 服には魔法が掛かっているので、血はすぐに洗い流せるけど……精神衛生上よくない。かといって魔法を乱発して、回復薬に頼るのも効率が悪い。


「うーん……」


 私は湯船に鼻が出るところまで浸かり、ブクブクと口の辺りで音を立てる。


「そろそろ武器変えようかな……」


 それがいいかも知れない。お金が貯まってから村の武器屋に行ってみよう。私はザバーっと湯船から上がり、脱衣所で新しい服に着替えて部屋に戻る。

 今日は私の帰りとユウスケの返事、どっちが早いだろう? 胸をときめかせながら交換日記を開いてみる。返事は……来ていた!


 ------

 【ファイアーの魔法羨ましい~。】


 こんにちは。

 ディベートは僕の武器なんです!

 でも、これで両親を倒したりしないから、安心してね(笑)


 リノンの成長は僕も期待してるから、頑張ってほしいなって思う。

 けど、無理したりしないでね。


 レベル10、おめでとう!!

 ファイアーの魔法、羨ましいです。

 いっそ、僕の魔法と交換しましょうか(笑)

 魔法使い過ぎて、いざという時に使えなくなると、困るから大切につかってね。


 村の入り口の人はボケてるんじゃなくて、そういうお仕事なんじゃないかな?

 僕は結構大変な仕事だと思うよ?


 じゃあ、また!

 ------


「優しいなぁ……」


 私は一人旅。正直心細くも感じる。でも、仲間を作るのは別。人見知り属性が邪魔して怖くて声がかけられない……。そんな私の旅をユウスケはサポートしてくれる……そんな感じがした。日中は戦いに明け暮れて、すさんだ心を癒してくれる……これはそんな交換日記のような気がした。

 明日の返事をどう書くか想いを馳せながら、私は眠りにつく。


 そして……戦いに明け暮れた一日を過ごして、ユウスケに返事を書く。そうだ……武器についてなんかアドバイス貰えるかも? エアコンとか、ディベートとか、ユウスケは武器に詳しそうだし……。そして私は筆を執る。


 ------

 【ディベートって武器、良いなぁ……。】


 こんにちわ~☆

 あ、武器だったんですね。

 それも強そうなんだけど、両親倒さないって本当?

 ユウスケなら、倒しちゃいそうでちょっと心配……。

 でも、私もその武器使ってみたいかも?


 村の人はお仕事だったのね……。今度、「お疲れ様」って言っとくね。

 そうそう、一つ問題発生!! プチデビル狩りしてるんだけど、返り血が酷くて困ってるの( ;∀;)

 なんかいい方法ないかしら……。


 魔法だと楽なんだけどね。

 なんか武器変えようかな……。

 もう少しナイフのままで、いたい気分なんだけど……。

 次はレベル14で魔法を覚えるそうです。

 ちょっと期待してます♪


 またね~☆

 ------


「そうね……」


 日記を見ると前にあった出来事を思い出す。ユウスケ……両親は倒しちゃダメだよ。そうだ……おじいちゃんに挨拶しなきゃ……。明日にでもお礼いっとこ。日記を書き終えて私は交換日記を優しく閉じる。私の戦いの日々をねぎらうかの様に、交換日記はあわく光り、ユウスケの元に返事が届いた事を知らせる。


 リノンは今日も平常運転です♪ ……なーんて……。今日も今日でプチデビルの殲滅作業をしていた。レベルもなかなか上がりづらくなってきた……。でも次に控えているクエストは洞窟探索なので、もっとレベルが欲しい。ソロなら尚更。ひたすらプチデビルを狩る毎日。そんな乙女の日常が繰り広げられてます♪ ……はぁ。もっと同い年くらいの子と同じ日常を送りたかったな……私。

 日が傾いてきたので、返り血で血まみれになりながら村に入る。そういえばあのおじいちゃんにお礼しなきゃ……。村の入り口にいつも居るおじいちゃん。すぐに見つけて私はお礼を言う。


「おじいちゃん、こんにちは!」

「おぉ、ここはマルクスの村じゃ」

「何時もお仕事お疲れ様です!」

「ここはマルクスの村じゃ」


 本当にお仕事みたい。私は血まみれになってる姿を気にせずに、宿屋に向かう。すると村人に声を掛けられる。


「勇者様……あのぉ……」

「はい?」

「村の入り口のおじいさんに話しかけてましたよね?」

「ええ、お仕事なんですよね! 地味だけど大変な仕事だと思います!」

「あ……いえ、あのおじいさん、最近ボケちゃって……」


 ……ユウスケ、嘘つき……。


 ------

 【今は新しい村で暮らしてるの?】


 こんにちは。

 ディベートは僕の武器だから、あげない!(笑)

 両親は……まぁ、ある意味倒すことになるけどね…(汗)

 でもでも、経験値やお金は手に入らないから、安心して?

 エアコンが手に入るかもってだけだから。


 ……なんか、聞いていると敵を倒すのも大変なんだね…。

 今は新しい村で暮らしてるの?

 ナイフを買い込んで、投げナイフにしてみるのはどうかな?

 ……もしかしたら、お金マイナスになるかもしれないかぁ……。

 いいアイデアだせなくてごめん……。

 新しい魔法覚えたら、また教えてね。


 では、また!

 ------


 私はベッドで横になりながら、ユウスケの日記を見ていた。うーん……倒しても経験値は入らないんだ……。ディベート、欲しかったなぁ……。


「それにしても……」


 ……そのアイディアはなかった! ナイフを投げてモンスターを倒す! それいい! さっそく明日、ナイフを買い込もう!

 私は交換日記を閉じて、ユウスケから貰ったアイディアを実行に移すべく、まずは布団にくるまって眠りについた。


「いらっしゃいませ!」

「おはようございます。今日はナイフを5本欲しくて……」

「ナイフですね。でも勇者様ならこちらの銅の剣なんていかがですか?」


 ユウスケのアイディアを実行すべく、朝から武器屋に来ていた。なんか銅の剣を勧められたので、とりあえず装備してみる。


「勇者様、お似合いですよ!」

「……重いし、可愛くない」


 武器としては扱えるほどの重さだけど……一番は可愛くない。私だって年頃の女の子なんだから! ごっついのは嫌。


「すみません。やっぱりナイフ5本で」

「分かりました。でも、ナイフ5本もどうされるんですか?」

「投げて使います!」

「え? いや……その……このナイフは……」

「大丈夫です!」

「では……1200ゴールドになります」

「はい! ありがとう!」


 準備完了! 村の外に出てさっそく手ごろそうなプチデビルを探す。居た! 私はプチデビルの前に躍り出て、ナイフを構える。


「てい!!!」


 華麗に投げた! ……つもり。ナイフはドサッと地面に落ちて突き刺さる。その隙を逃さずプチデビルは襲ってくる。


「痛っ! ええぃもう一度!!」


 私はナイフをもう一度投げる。さっきと同じように地面に突き刺さる。あれ……投げナイフが出来ない……。仕方が無いので、ナイフを両手で構えてプチデビルに襲い掛かる。


「たぁ!!!」


 私はナイフを交差させて、プチデビルを打ち落とす。プチデビルはその一撃で絶命し、豪快に血しぶきを上げる。……結局、こうなるか。私はあきらめて2本のナイフを装備して戦うことにした。一本よりは全然楽だったから。

 こうして一日を戦闘で踊り明かしてみる。日が沈みかけた頃合いを見計らい、宿屋に戻る。寝る準備を済ませた私は、交換日記を手にして今日の事を綴る。


 ------

 【ナイフ、投げれなかった( ;∀;)】


 こんにちわ~☆

 ……ディベート、欲しかったなぁ……( ;∀;)

 こっちの世界にもあるかしら?

 見かけたら、買ってみるね~!


 でも、どうであれ両親を倒しちゃダメよ?

 倒すなら、魔王にして!(笑)


 うん、今は新しい村で暮らしてるの。

 宿代がバカにならないけど……経験値とお金は稼げるから、

 何とか暮らしていけてるわ!


 ナイフの事、それだ!と思って、5本新調したの。

 ……でも、このナイフ投げられないみたい……( ;∀;)

 銅の剣がもう少しで買えたんだけどね……。

 手に取ってみたけど、私には重すぎたので、パス!('ω')ノ


 じゃあ、またね~☆

 ------


 とりあえず、目標はディベートを探す旅で! 書き終えた私は交換日記を優しく閉じる。ほのかに光り今日の疲れをいやすとともに、ユウスケに届いたことを告げる。


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