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3話 返事が返ってきた!

 朝起きて、私は交換日記を開いてみる。返事はまだ来ていないようだった。とりあえず経験値とお金を貯めて、この街を出る準備しないと……。って、考えるとめんどくさくなってきた。やっぱり勇者なんて引き受けなければよかった……そんな後悔をする。

 朝から日が暮れるまで、スライムとの戦闘。でもスライムを虐殺するのってちょっと新鮮で楽しくなってきた。お金も経験値も少しずつ貯まってきた。なんだろう……この貯まる事で満たされる感覚は……。でも服も汚れて、べとべとで最悪だけど……。

 日も落ちてきたところで私は家に帰る。お母さんに挨拶してお風呂に入って部屋に戻る。そして交換日記を広げてみる。まだ白紙の様だった。


「う~ん……返事来ないのかな……」


 聞いた話だと、返事が返ってこないこともあるらしい。返ってくるのは稀と聞いている。返ってこない場合は怪しんでしまっているとか。さらに稀にはトラブルに巻き込まれるケース。なんだか相手の恨みを買ってしまって、傷ついて立ち直れないとか……。


「返事。来ない方がいいのかも……」


 独り呟いたその時。交換日記が仄かに光りだした。返事が来たのだろうか? 私は恐る恐る交換日記を手にして開いてみる。

 そこにはちょっと硬めの文字が並んでいた。私はその内容を読む。


 ------

 【女勇者って凄いですね!】


 こんにちは。

 初めまして。

 新田雄介といいます。

 女勇者ってすごいですね!

 なんだかかっこいいです。魔法とか使えたりするんですか?

 また、仲間とかもこれから作るんですか?


 お城の説明話、お疲れ様です……。

 僕も校長の長話は嫌いです。長い間立たされるので、貧血で倒れる人が居たりします。

 初日でレベル3、おめでとうございます。

 スライムは何匹倒せましたか?

 スライムって、ゲームではよく出てきますが、倒すのそんなに大変なんですか?

 また、お返事待ってます。

 ------


 どうやら男の子と交換日記はつながったようだ。返事が返ってきて嬉しい。今日は疲れたので返事は明日書こう。私は明日の返事を考えながら眠りについた。


 そして朝。そろそろ日課になりつつあるスライム退治。とは言っても人畜無害な気がするけど……。大量に倒してまた経験値を稼ぐ。

 それにしても……スライムの戦闘はまだ慣れない。と言うか、このべとべと地獄は慣れたくない。なんか簡単に倒す方法でもないだろうか……。そうだ。魔法さえ覚えればいいかも知れない。

 次のレベルになるまでに何体のスライムが必要なんだろう……私はそんなことを考えながらひたすらスライムを虐殺……もとい退治をしていた。その繰り返しで今日も日が暮れる。私は家に帰り、べとべとを落としてから自分の部屋に入る。

 今日は私が日記を返す番。どんなことを書こう……相手の男の子、ユウスケの日記を見ながら考える。そういえば校長先生ってなんだろう?


「よし!」


 私は筆を執り、日記に綴った。書き終えると一呼吸し置いてから交換日記を閉じる。相手の男の子、ユウスケに届いたことを知らせるかのように交換日記は仄かに光る。そして私は今日の疲れからすぐに眠りについてしまう。


 ------

 【校長先生ってすごいんですね!】


 こんにちわ~☆

 お返事くれて、ありがとう!

 新田雄介さん……なんか難しい名前ですね……。

 ユウスケって、日記では呼びますね!


 勇者なんて、すごくないですよ……。

 ただ、なんかめんどくさそう……( ;∀;)

 魔王だかなんだかを倒せって……。

 そんな気私にはないのに~!!!


 校長って、何ですか?

 お話で人が倒せるなんて、すごい魔法の持ち主なんですね!

 私は、まだ魔法が使えません……( ;∀;)

 レベル10ぐらいにならないと使えないとか……。


 だから、今日もスライム倒すの頑張ってみたけど、べとべとで倒すのめんどいよ~。

 早く魔法を覚えたい……( ;∀;)


 また、お返事くださいね~☆

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