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2話 交換日記の始まり

 街の外に出るとスライムが散在していた。何時もなら無視して通り過ぎるところだけど今日はスライムと戦わなければならない。一見、人畜無害そうなんだけどね……。ところどころに居る、スライムを眺める。


「……どうやって戦うんだろう……?」


 とりあえず、スライムのそばに寄ってみる。


「!?」


 一匹のスライムに近づくとスライムは威嚇して、臨戦態勢をとる。そんなスライムに私は掛け声を上げる。


「よろしくお願いします!」


 とりあえず、挨拶。スライムはとびかかってくる。


「きゃっ!!」


 スライムの攻撃。べとべとになる……。そして、体力が減る。……なんか、精神的ダメージを受けた気がする……。次は私の番。


「えい!!」


 思いっきり木刀で叩いてみる。スライムは叩かれた場所がぐにゃっと形を変えて、ダメージを受ける。次はスライムの攻撃。またとびかかってくる。かわそうとしたけど、よけきれない。


「……」


 またべとべとになって、体力が減る。もう一度私の攻撃。


「とりゃー!」


 掛け声を上げて木刀をスライムにヒットさせる。今度は、スライムがはじけ飛ぶ。またべとべとになったけど、体力は減らない。


 「リノンは精神的ダメージを受けた!」


 思わず独り言。お金が落ちてたので、拾う。2ゴールド。意外とお金持ちなのね……スライムって。お魚だと2~3匹はこの値段で売れそう。

 そして私は、それを何度か繰り返す。体力が減った実感はないけど、体力を0にしたら危ないと思うので、お城で貰った回復薬を飲む。

 5匹目かな……。スライムを倒すと私の腕に刻まれたレベル1の文字が輝き、レベル2に変わった。そして、体力も魔力も全快する。レベルが上がると、回復するんだ……。そういえば、魔力も上がった。今のところ魔法は使えない。なんのステータスなんだろう……。とにかく、私はレベル3まで頑張ってから、帰ることにした。

 また5体近く倒すと腕の文字が変わり。レベルが3になった。ここで帰宅を決意する。街のそばで狩っていたので、すぐに街に入って家に帰る。


「ただいまぁ……」

「お帰りなさい。どうだった?」

「……べとべと~。お風呂入って寝たい……。」

「わかったわ。服は洗っておくね。」


 お母さんと話してから私はお風呂に入る。そしてべとべとから解放された。それから部屋に戻ると机の上に本が置いてあった。


「お母さん、この本ってなに?」

「ああ、それね。私からのプレゼントよ? これからのあなたの活躍をこの本につけてほしくてね!」


 本をよくよく見てみる。今流行りの異世界と連絡するための本「異世界日記」だった。異世界の人と文通をするための魔法の本。確かに日記を付けるための本だけど……。


「……これ、異世界日記って言って、異世界とつながる本だけど……」

「流行ってる日記くださいって言ったら、それだったの。リノンが勇者になったし、奮発しちゃったわ!」


 ……お母さん私の話しを聞いてない。まぁ、確かに若い子の間で流行ってるけどね……異世界の子と文通するの。せっかくのプレゼントだし、ケチは付けない。


「お母さん、ありがとう!」

「喜んでもらって、うれしいわ!」


 ……さて……どうしよう……せっかくだから、流行りの使い方をしよう。


「『交換日記』っと。」


 特に女の子の間で流行ってるタイトル。私だって年頃の女の子だから流行りに乗っかってみたい。まずは自己紹介と今日の出来事を書いておこう……。タイトルは……『勇者って言われました!』にしよう。


「……」


 書き終わったけど、なんかそっけない……。折角だから絵も描こう……。もう少し強調したいところ、行の後ろに絵を描く。ちょっとした顔に似せた絵。


 ------

 【勇者って言われました!】

 

 こんにちわ~☆

 初めまして。

 私はリノン・ジータと言います。

 なんか、今日起きたら、私に伝えたいことがあるって言われて、お城に呼び出されたの。

 そしてたら、「そなたは勇者の生まれ変わりで……」なんて、説明臭い話をされたの。

 なんか、めんどくさい……( ;∀;)

 とりあえず、これから城の周りで、スライム狩ってくることになったんだけど、スライムってなんかドロドロで、汚いし……( ;∀;)

 今日はレベル3まで上がったよ~。

 そっちの話しも聞きたいな。

 じゃあ、また明日書くね~☆

 ------


 よし!ちょっと可愛く女の子らしくなった! 書き終えて私は交換日記をそっと閉じる。すると交換日記は仄かな光りを放つ。そして、また無機質な交換日記に戻る。


「返事、来ると嬉しいな……。」


 返事を期待して、布団に入る。慣れないスライム倒しをしたからか、私はすぐに眠ってしまった。


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