熊谷異世界失踪事件
事件の概要
2002年7月13日17時頃、埼玉県熊谷市在住の伊勢谷魁斗さん(18歳)は「コンビニに行く」と家族に伝え外出し、それから音信不通となった。いつまでも魁斗さんが帰ってこないことを心配した家族は警察に連絡し、捜索願いを提出した。
同日18時、「人を轢いてしまった。しかし轢いたはずの人がいない。」と警察に連絡が入り、警察は現場に急行。現場は魁斗さんの家からそう遠くもない所にある交差点で、近くにコンビニもあった。車で人を轢いたと主張する男性の車のバンパーは大きく損傷しており、何かにぶつかってついた傷であることは確かな様だった。しかし男性が証言する所によると、交差点を左折する際、左側の歩道から走って横断歩道を渡ろうとした人影に気づかず人をはねてしまった。慌てて車を降りて救急車を呼ぼうとしたが、そこにはもう人はおらず、あたりにその様な人影も確認できなかったので、ひとまず警察に連絡したという。警察は被害者が、一度はねられた後、奇跡的に無傷であったため急いでその場を立ち去ったのではないかとして、その日は現場検証のみを行い立ち去った。
しかしその時警察が男から聞いた被害者の服装が失踪当時の魁斗さんの服装とほぼ一致することから、失踪前に魁斗さんが自動車事故に巻き込まれていたのではないかという見方が熊谷署内で有力になる。
事件は当初からマスコミで大きく報じられ、「神隠しか」といったセンセーショナルに報じるものから、自動車事故の加害者の証言を「死体隠しの方便」と断定しバッシングする記事等多岐に及んだ。
その後魁斗さんの捜索は続けられたが、これといった目撃情報は得られず未解決事件となっている。
謎の電話
事件からほぼ一年が経った2003年の6月4日、伊勢谷さん家族のもとに奇妙な電話がかかってくる。自らを魁斗さんと名乗る男からの電話で、
「俺はあの日車で轢かれた後、異世界に転移した。しばらく楽しい生活を送っていたが、それにも飽き飽きして元の世界に戻りたくなったがその方法がわからない。やっとのことで電話が現実世界と繋がった。久しぶりに声が聞けて嬉しい。こっちの世界では死という概念がなく、永遠に異世界での生活が続く。だんだん気が狂いそうになってきた。これからも電話するので声を聞かせてほしい。いつか必ず帰りたい。」
等とわけのわからないことを口走っており、魁斗さんの母、絹江さんは途中で電話を切った。非常に大きい雑音が混じっており魁斗さんの声かどうかは判別不能だったが、あまりにも支離滅裂な内容であったためイタズラ電話と判断、以後似たような電話がかかってくることがあったが全て途中で切った。日々続いたマスコミ対応の疲れもあり伊勢谷さん家族は引っ越しを決意し、熊谷の家を引き払った。
引っ越し後は電話番号が変わったこともあり、二度とイタズラ電話がかかってくることはなかった。伊勢谷さん家族は今でも魁斗さんの帰りを待っている。




