真夜中の電話
清美の話は、衝撃的だった。宙良は自分がこんな親の想いの元、産まれて来たなど、考えた事もなかった。
ただ、一つ腑に落ちないのは、以前上杉が言った一言だった。
「代理母の女性は、なぜ君達二人を同時に産む事を決めたんだろう?仮に代理母を一人しか用意出来なかったとしても、時間は掛かるけど、別々に産めば良かったと思うんだよ」
美奈代の方の話も聞いてみなければ分からないが、恐らく真相は“神野聖美“本人に聞くしかないだろう。
その時、宙良のスマートフォンが震えた。画面を見ると美奈代からの着信だった。
「もしもし、美奈代?」「宙良、私…私どうしたらいいの」電話口の向こうは泣き声だった。
「どうしたんだよ、お母さん話してくれなかったのか?」「ううん、話してくれた。私ね…私、マリアさんの娘だったの」「何?どう言う事だよ、それ」
美奈代はマリアが母・今日子の実姉であった事、母の病気の為、子供を諦めざるを得なかった事、そして、神野聖美の卵子を借りて自分が産まれた事などを話した。
「話は分かったよ。でも遺伝子的には、そうかも知れないけど、美奈代は美奈代の両親の娘だよ。俺も母さんの話を聞いて思ったんだけど、俺達は望まれて産まれて来たんだ。そして両親は愛して育ててくれた。俺達の両親共に、いた仕方ない理由から苦渋の決断をしたんだと思う。俺達が愛されている、その事自体は何も変わらないよ」「うん、そうだね」ようやく美奈代は泣き止んだ様に感じた。
「とにかく、明日上杉先生の所に行こう。俺達がこの数奇な運命と向き合う為の、正しい方向を上杉先生が示してくれるって気がするんだ」「そうだよね、やっぱり上杉先生がいたから、私達ここまで来れたんだよね」「あぁ…えっ、もうこんな時間だ、早く寝なきゃ」「本当だ…宙良、おやすみ」「おやすみ、美奈代」こうして、夜は更けていった。




