レコーディング
大倉宙良と真田美奈代は、レコーディング室でプロデューサー小山義則を緊張の面持ちで待っていた。暫くすると「よぅ、待たせたなゴールデンルーキー」と言いながら小山が入って来た「お早うございます小山さん、今日は宜しくお願いします」二人はキチンとお辞儀して挨拶した「まぁ、そう固くなんな、それよりやっと夕方でも”お早う“が言える様になったな」「はい、ありがとうございます」「早速だが、お前ら推薦のメンバーっつうのは?」宙良から”どうしても一人バイオリニストを入れたい“と聞いていた小山が言った「すみません、もう来ると思うんですが…」と宙良が恐縮していると「遅くなりました」とバイオリンケースを抱えて中野百合が入って来た。
「中野さん、遅いから心配したよ」と宙良が言った後更に続けた「何でお前がいんだよ」「いやっ、心配って言うか、何と言うか…」と百合の後ろから仁村清が現れた「お前らもう話は済んだか?」と小山は少しイラッとして言った「すみません…彼女が言っていたバイオリンの中野百合さんです」「宜しくお願いします」百合は畏まって言った「あぁ、まぁ良いだろう、それより大倉、俺はサポートであってメインはあくまでお前だ、他のメンバーは俺が用意しといたが…何か質問は?」「あの…楽曲はどうすれば…」「十川さんからお前らがこの間やったって言うライブ音源を聴かせて貰ったが、あれで良いんじゃねぇか?」「あれですか?」「あぁ、曲数も9曲だったか?デビューアルバムとしてはちょうどいいし、あと曲順なんかの相談には乗る、とにかく俺の用意したメンバーとお前らで音源を作るんだ、それこそお前が十川さんから受けた評価だろ?」「はい…」自信無さげに言った「煮えきらねぇな、お前がそんなんだったら演じる方も何やって良いか分かんねぇだろが、とにかく自分の思い通りやれよ‼」小山の怒号が響き渡った。しかし、その事が却って宙良の腹を決めさせた「判りました、とにかく精一杯やって見ます」宙良の顔が凛々しくなっていた。「良い顔になったじゃねぇか…よし、各自セッティングしろ!」
まず、宙良は小山が用意したメンバーに“Youthful Day”の各々のパートを演奏させた。各人の腕前と特徴を把握する為だ。
次の日には、曲のバランスを取るために構成し直して来て、レコーディングへと入っていった。
百合が来るときは、何故か決まって仁村も就いてきていた。
日程は3ヶ月に及び、その間の宙良の手腕に小山も目を見張っていった。
こうして、遂に大倉宙良プロデュース、トランペッター真田美奈代のデビューアルバム“Look at the Sky”が完成した。
そして発売後わずか3ヶ月でジャズのデビューアルバムとしては異例の30万枚を突破した。




