親への尋問 真田家
美奈代はいきなり「ママ、ごめんなさい」と母子手帳を差し出して言った。
「何よ、それ?」「本当にごめんなさい、ママがいない隙にこっそり持ち出したの」
「母子手帳なんて、何に使ったの?」「ママ、これ見て‼」宙良と同じ様に、美奈代は白川医院のゴム印が捺された部分を指した。
「あなた…まさか」「浜松へ行ってきたの、ここのお医者さまにお話を聞いたわ」「あなた…何て事を」今日子が大声で叫んだ。
「どうした?」書斎にいた英吾が飛び出して来た。
「いやぁ」頭を抱え今日子が叫んでいる。
「今日子、今日子大丈夫か?」今日子の両肩を英吾は抱きしめた。
徐々に落ち着きを取り戻す。
美奈代はいつも明るい今日子の、こんな姿を見たことがなかった。
その為、美奈代も動揺して涙ぐんでいた。
美奈代の方を見て英吾は「ママを寝かせてくる、少し待ってなさい」と言って、今日子を寝室へと連れて行った。
暫くして、英吾がリビングへ戻って来た。
「みぃ、一体何があったんだ?」
美奈代は半ベソをかきながら「私…私…」と、しどろもどろに経緯を話した。
「話は良く解った、しかしこの話は、もうこれまでだ。
みぃの気持ちも分かるが、ママはお前を産むとき、すごく大変な想いをしたんだ。ママはみぃが元気で明るい子に育っていく姿を見て、その大変な事を忘れることが出来たんだ。
だからもう、ママにその事を思い出させてはいけない、判ったね?」
美奈代は、まだ半ベソのまま「うん」と答えた。




