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親への尋問 大倉家

大倉宙良は横浜の実家に帰り、一息付いたところで、清美に切り出した。

「母さん、話があるんだ」「何?怖い顔して?」家事も一段落着き、ソファで冬に備えての、編み物をしながら言った。

「実は合宿の事なんだけど、湯河原って言ってたけど、本当は浜松まで言ってたんだ」「ふーん、どう?綺麗な所だった?」

「あぁ、浜名湖畔のホテルだよ」額に汗を滲ませながら、宙良は言った。

「へぇ、さぞ綺麗だったでしょうね」

宙良は拍子抜けした。浜名湖と聞けば、清美は動揺するとんでいたからだ。

ここで宙良は切り札を出すことにした。

「母さん、これ見て」母子手帳の“白川産婦人科医院”の、判が押された部分を指して言った。

「これが何?」

僕を産んだとされる病院だよ、浜松にある。

「えっ?あぁ、そうだったわね、そうそう浜松よ」

「俺、ここの先生に会ってきたんだ」「そう、お元気だった?」

明らかに動揺が見られた。

「先生に全部訊いたよ、俺、代理出産で産まれたんだろ?」「そんな訳ないじゃない、宙良はちゃんと、お母さんのお腹から産まれたのよ」

「じゃ、浜松って何だよ?うちには浜松に、親類も知り合いも、いないだろ」これで白状させられると思った。

「あぁ、何だっけ?そう私が出産するのに、景色の良い所がいいって我儘言ったのよ、するとお父さんが、まだ十週目だったのに、

早めに行っといでって、長期滞在のホテルを取ってくれたのよ。ねぇ、お父さん」

TVで世界情勢について、熱く語るニュースキャスターの話を、真剣に聴いていた為か、伸治は聴いていなかった。

「え?何」「もう、お父さんったら、私が出産するとき、十週目位から、浜松に長期滞在のホテルを、私の為に取ってくれたのよね」

「ん?あっ、あぁ、そうそう、そんなことあったな」

両親共に、嘘を言っている事は直ぐに判った。

「でも白川医師は、この母子手帳を見て話したんだよ」「だってそのお医者さん、もうご高齢何でしょ?昔の事だから、誰かと勘違いしたのよ」「でも…」

「はいはい、もうこの話はおしまい」

宙良はそれ以上何も言えなかった。

自分の部屋に入って、宙良は“クソッ”と叫んだ。

「完全に作戦失敗だ、切り札を出すのが早すぎた。まず俺がどこで産まれたか訊くべきだったんだ」

両親の反応からして、二人とも全てを知っている訳ではなさそうだった。

ベッドに横になり「この分じゃ、美奈代も…」と呟いた。

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