双子
「DNAの違う双子ってどういう意味ですか?」
大倉宙良は生物学者の上杉誠基に訊いた。
「うん、つまりね、別の個体の、雄と雌を、二組用意するだろ?
それから、その“一対一対”の精子と卵子を取り出し、人工受精させる。
そうして出来た、二つの受精卵を、また別の個体の、雌の子宮に着床させる。
日本では規制が厳しいんだけど、人間で言うところの代理出産をさせるんだよ」
「それのどこがシンクロに繋がるんですか?」
「いいかい、この二つの受精卵は、誕生するまで同じ胎内で、まったく同じ環境を、シェアしながら育つんだ。さっき言った僕の仮設、後天的なDNAが存在するなら、この二つの受精卵は、同じDNAを作りながら成長することになるんだよ」
「そ、それって?」
「そう、アルとジャノンは、僕がさっき言った方法で、人工的に作り出した、違うDNAを持った双子なのさ」
「だからシンクロしてるって言うんですか?」
「まだ仮設段階だから、絶対とは言えないよ。でも別の個体をこの実験にかけても、このようなことは起こらない。あくまでアルとジャノン、若しくは普通の双子マウスの場合のみさ」
「えっ!双子でも同じことが?」
「うん、つまりは、マウスと人間だから、同じとは言えないけど、君達もそういった環境で、胎児時代を過ごした可能性はあると思うよ」
「でも…僕は生まれてこの方、横浜以外に住んだことはありません」
「私も転校してくるまではずっと長野よ」
「言っただろ?あくまで胎児時代の話だよ。二人ともそれぞれ横浜と長野で生まれたの?」
「いや、それは…」宙良と美奈代は、お互いに顔を見合わせた。
「どちらにしろ一度調べて見るべきだよ」
「調べるったってどうやって…」
「親に訊くのが、手っ取り早いだろうけど、それが無理なら母子手帳を調べるとか…」
「母子手帳…」二人は再び顔を見合わせた。




