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セシル将軍とウィル貴公子の不可思議な邂逅談話その1

 

 

「ちょっと君いいかな?」

「いいわけないでしょ、私を呼び止めるって、貴方、どういうつもり?」

「いや、悪かった、特に用はないよさいなら」

「ちょっとぉ?呼び止めておいてそれはないでしょ、すこし付き合いなさい、わたし暇してたの」


「それで、あんた軟派?それとも何かのキャッチ?スカウト?」

「まあ、なんだろうね、ただ君があまりに生き生きしてたものだから、声をかけたくなって」

「硬派な軟派か、あんたは。気軽に声掛けないでくれる?わたしそういう気安い態度や馴れ馴れしいの嫌いなのよ」

「それは悪かったね、でも君も初対面の人間に割かしフレンドリーなのでは?」

「はぁっ?貴方がオドオドしてたから気を使ってあげたの、勘違いしないでいただけます?」

「ふむ、オドオドしたつもりはなかったんだがね、でも気を使ってくれたのならありがとう」

「どういたしまして、それで、わたしの何処にピンと来たのかしら?」

「何処といわれてもねー、、、そうだね、まずは全体的なオーラかな」

「説明になってませんわねー、オーラとか抽象的なモノではなく具体的に言ってくれません?」

「強いてあげるとすれば顔つきかな、凛々しくて活力に溢れている」

「ふーん、貴方はなんだか陰のある人生に疲れながらも頑張ってそうな顔つきね」

「そういう男は好みかい」

「まあ好みか好みじゃないかで言えば、好みね」

「お気に召していただけるようなら、俺としては嬉しい限りだよ」

「別に、気に入ったとは言ってないわよ、ただ好感の持てそうなだけ」

「なら、これから気に入ってもらうにはどうしたらいいかな?」

「そうね、小粋なトークで女性を楽しませられる話術くらいは、最低限必要かしらね」

「そうかー、君ほどの淑女を楽しませるのは中々の難事業になりそうだ」

「それでも、取り掛かる前に諦めるほど、軟弱なんてことないわよね?」

「当然だね、どんなに困難なことでも、とりあえずはやってみる、それが俺の心情なんでね」

「そう、なら楽しみだわ」


「ところで君は、今日のところは暇なのかい?」

「そうね、暇といえば暇かしらね、やる事はあるけど急ぎじゃない」

「それは丁度いい偶然だったね、俺も同じさ」

「どうかしらね?良い偶然になるかどうかはこれから決まるかもよ?」

「まあその時は償いに、一日付き合うとかでいいかな?」

「いいわけないでしょ?悪い偶然に付き合うほど暇してるように見える?」

「うん、見えないね、俺もそうだから安心してくれ」

「あなた、只者に見えないんだけど?何か隠してる事とかってある?」

「そうかい?俺はただの平凡ななりをしてるつもりなんだが?」

「見る人間が見れば分かってしまうのよ、隠し切れないオーラみたいなもの、そもそも隠す気もあまりないようだし」

「それを言うなら君の方こそ、街中で見たら二度と忘れられない様な、素晴らしい姿だ」

「お世辞どうもありがとう、貴方も街中に溶け込むのは苦手そうだし、ある意味同属かしらね」

「君ほどじゃないと思うがね、俺は軟派される経験に乏しい」

「それはきっと、危険な香りが強すぎるからじゃないかしらね?」

「ふっふ、君はそんな男を逆に捕まえたんだ、危険に飛び込むのは趣味かな?」

「趣味ほどじゃないわ、ただ危険な香りは好きね、刺激的だもの」

「なるほど、やはり俺と気が合うね、俺もそういう厄介な性質だ」

「厄介な性質って、淑女に対しては褒め言葉になりえるかしら?」

「君になら、振り回されても構わない、そう思わせられる君にはね」

「ふふ、貴方もよ、振り回して上げたくなる。そうすればどんな跳ねっ返りが来るか、とても楽しみだわ」

「そうかな?お望み通りのリアクションが出来れば幸いなんだが」

「大丈夫よ、初心者用に、最低限手は抜いてあげるから」

「これはこれはっ、舐められてはいけないな、初めから飛ばしてくれても構わないが?」

「それは駄目よ、貴方がどこかに行ってしまう」

「君には俺が、そんな軟弱者に見えるかい?」

「いいえ、危険を敏感に察知し、すぐさま戦略的撤退のできる有能な男に見えるわ」

「それならご心配には及ばないよ、そういう経験は失敗も含めて多分に味わっている、機を間違えたりしない」

「そう?なら私としても、いろいろやり易いんだけど、そういろいろとね?」

「君のご随意のままに、俺は割りとなんでも受け入れられるスタイルなんだ」

「確かに大らかで懐が広そうだわ、どの程度の容量があるのかしら?」

「君を軽く見るわけじゃないが、君を受け入れるくらいはあると、そう思いたいんだがね」

「貴方の方こそ、私が貴方を全て受け入れられると思う?」

「もちろん、君ほどの人だ、万事抜かりなく、そうじゃないのかい?」

「ちょっと大きく見られてるのかしら?多分な評価悪くなく思うわ」

「こう見えても、人を見る目はそれなりに磨いてるつもりだよ、君はなんとも表現しがたい感じだ」

「またまた気が合うわね、私もよ、貴方を見ていても、なんだかずっと底の方まで覗ける気がしないのよ」

「底が抜けてるからかな?どんな風に見えるんだい?」

「貴方の方こそ、私はどうみえるのかしら?」

「どこまでも澄み渡って、見るもの全てをそのまま一切の誤写なく、ありのままに写す感じかな」

「澄み渡ってるわけじゃないわ、写さなくてもいい所まで写してしまう、日常の悩みのタネよ」

「俺はとても好感が持てるんだけどな、君のような淑女に見つめられていたら、どんなに幸せかってね」

「過大評価しすぎよ、貴方は一人でも十分やっていけそうよ?むしろ見てくれる人なんて意に返さず自由に生きたいんじゃないの?」

「そういう時期も確かにあったな、でも今は自分をありのままに写してくれる様な、そういう存在も欲している、例えば君のようなね」

「将来のパートナー選びの参考になったなら幸いだわ」

「もちろん、今から参考にさせてもらうよ」

「そういえば、貴方がどう見えるか教えてあげましょうか?」

「そうだったね、どう見えるんだい?」

「私を写していたわ、それも一切の誤差なく、本当にありのままに、自分の目を見ているようだった」

「そんなだったかい?俺は君ほどにモノを見る目はないつもりなんだが」

「確かに私ほどでは、ないかもね、多分私と同じなら合わせ鏡みたいに、大変な事になりそうだもの」

「ちょっと曇ってる程度でちょうど良かったかい?」

「ええ、全てが見えてしまったら面白みに欠けるもの」

「それは良かった、俺も君を全て見透かせないで良かったよ、よりミステリアスに見えるってことになる」

「お互い知らない所がちょっとづつあった方が、長続きするっていうし、今後のパートナー探しの参考にさせてもらうわ」

「俺も参考にさせてもらったし、すぐにお礼が出来てよかった」

「あら?次のお礼をする機会をなくしたのよ?それでよかったの?」

「うん、確かに惜しいことをしたね、でもそれよりも恩着せがましくならなくて良かった」

「紳士的なのね、そういう所は初心な乙女には特に好感をもたれると思うわ」

「そうでもないさ、気遣いを読み取ってくれる人あってさ、こういうのはね」

「そうね、些細な気遣いは気づかずに流してしまうかも、そうなったらご免なさいね」

「いいのさ、そういうのは気づかれない程度のほうが気が楽だからね」

「寛大ね、でも全てちゃんと見てくれて気づいてくれた方が嬉しいでしょ?」

「まあどちらかと言えばね、でも相手に変なプレッシャーはかけたくないな」

「そういう期待も、相手は場合によっては嬉しく思うものなの、少しは多くを求めてみたらどうかしら?」

「いいのかい?そんな安易な事を言ってしまって?」

「大丈夫よ、受けて立つ自信があるわ」

「確かに、確信に満ち溢れた瞳だ、君の眼力の高さは承知してる、この勝負は早々に俺の負けかな?」

「駄目よそれは、簡単に己の負けを認めるのは面白くないわ、主に私が」

「俺も負けん気は人一倍あるほうだよ、でも分の悪い勝負はあまり長引かせたくない性分でね」

「一理あるわね、なら、何か得意な勝負はあるのかしら?」

「強いて言うなら、一人の人を想い続ける、こういう勝負なら俺の方に分があるかもしれない」

「いいのかしら?私もそれなりに純情なつもりなのだけれど?勝負になるかしら?」

「俺の主観では、それなりにいい勝負になると思うんだがね」

「私の見立てでは、貴方はすぐに何処かに行ってしまう感じがするわよ、何か大切なものが、一つか二つ、既にあるような余裕もするし」

「それなりに身持ちは硬いつもりなんだが、でも確かに、君の見立ては常に正確なようだ」

「どうなの、まだ自分の方に分があると信じてるの?」

「当たり前さ、この勝負に関してだけは、唯一君と良い勝負ができると、俺は確信してるんだ」

「うん、嘘のない瞳ね。私じゃなければ、こうも簡単には信じさせられなかったと思うわよ」

「まあ、多少なりとも日頃の行いが悪かったかな、でも不幸中の幸い君が相手でよかった」

「日頃の行いの問題じゃなくて、貴方は深みがあり過ぎると思うの、簡単に見抜けないってのも、こう見ると考えものね」

「だからこそ、君のように、見抜いてくれる人に会うと、ついつい声を掛けずにいられないのかもね」

「声を掛ける段階でわかってたの?そんなことはないと思うけど、凄い観察眼をもってるのかしら?」

「ちょっとした冗談さ、初見で気づけるのなんて君くらいじゃないと無理だと思うよ」

「そうね、私も貴方が声を掛けてきた時、とっさに引き止めないとって思ってしまったの」

「うん?何か興味を引かれる所を見つけた感じかな?」

「すこしね、私に似てるかもって、そういう予感みたいなものがあったのよ」

「似ているか、俺も君とは波長が合う感じがして、とても話しやすいよ」

「なぜかしらね、根本の部分で似たような経験でもしているのかしら?」

「それはこれからじっくり話し合うってのもいいんじゃないかな?もしかしたらお互いのルーツに、その謎を解き明かすヒント、あるいは答えがそのままあるかもしれない」

「そうね、あるといいわね。だってあれば運命のような物を感じれるもの、特別だと、なんだか感じれてしまう、根拠のない絆って大事だと思うの、見つかるかしら」

「見つからなければ、これから作ればいいんじゃないかな?そういう絆の作り方が基本だと、俺なんかは思ってしまうんだが」

「ふふ、確かにそれが普通ね、夢見る乙女ちっくな考え方だったかしら?」

「いや、ロマンがあっていいと思うね。それじゃ、話そうか、お互いの今までの物語を」

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