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黒の不可思議な勢力‐ドリームランドの鉄壁の塔にて

 

 

 ある魔界の超大規模城塞都市の、更に中央、半径数千キロメートルにも及ぶ広大で巨大な建造物。

 その空にまで伸びるような威容、地上1200階立ての城とすら言えない何か。


 この世が終ってもなお残り続けるといわれる、宇宙の負の遺産”ブラック物質”で構成されるそれは全身が漆黒である。

 地上から1200階に至るまで、だんだんと先細りして建築物の胴体が狭くなるが、1000階以下は割と広い感じで推移する。

 だが1000階から最上階1200階までは、かなり細くなっている印象である。


 外部からの進入はどのような方法を持ってしても不可能な領域、一切の隙間がないのが1000階よりも上である。

 テレポートも何もかも、全ての物質、非物質、何もかもをシャットダウンする鉄のカーテンよりも強固な防諜も施され常に完璧の鉄壁要塞。


 その最上階付近、位置の詳細は不明、だが確かにそこに存在する者たち。


 彼は俗に、彼だけの間で観測者と呼ばれる。

 ただの名ばかりの”観測者”ではない、ゆうなれば”真の観測者達”である。

 それが12人、世界の裏に存在する絶対的唯一無二の”観測者”あるいは”管理者”から分離か派遣か、定かではないが、された上でこの世界に存在する存在達。


 それぞれが観測者、あるいは管理者権限と呼ばれる、この世界に置いて”絶対”などのクラスに位置する力を所持する。

 一人ひとりが確固とした絶対的な自我と目的を持ち、それぞれが完全に共同する、なぜなら彼らはそのように作られ、永遠にそうある事が確定されているのだから。

 ゆえに彼らが”そういう存在”足りえるとも言える、要を果さなければ、世界の裏側から抹殺されるのかもしれない、それは単なる予想でしかないのだが。


 ここで彼らの存在を簡潔に説明しよう。

 彼らには十二の属性とタイプ、その他最上位のイデア概念等々が付加されている。

 同一の存在ならば、十二も恐らく必要ない、ただ唯一無二の存在で事足りる。


 ならばなぜ? 十二も用意されたのか、おそらくその答えは単純にして明快。

 ただその方が面白そうだから、楽しそうだから、娯楽として最大限機能しえるから、それが真だと仮定したいと思う、あくまで過程の話だが。

 人間が多様に存在するのと同義、観測者や管理者も多少なりとも多様に存在した方が良いと、彼らよりも上の存在が判断したのだろう。


 大まかに彼らの”設定”等々に属するモノを提示したいと思う。

 彼ら彼女ら自体を観測するのに、ただ鑑賞し楽しむ為だけに役立てて欲しい。

 それぞれ”真名””属性イデア””タイプイデア”である 


 ムゲン 無限 武闘

 ラムダ 絶対 社交

 オメガ 奇跡と永遠 電波

 アルク 始祖 理知

 エンジ 運命 大人

 バトル 闘争 主人王

 トルエ 真実 超リアル存在 現実主義楽観的現実主義者

 ブラウ 観測 最強無敵 

 エンタ 娯楽 王子

 ハート 愛情 女王

 マリア 信仰 超リアル 理想主義悲観的理想主義者

 パンラ 希望 メンタルヘルス 


 属性イデアとは思想である、思想とは人間の根本である。

 タイプイデアとは思考である、思考とは人間の性格などに起因するもの。

 ある種属性とタイプは同一かもしれないが、分けてこの場合は表現した、その方が存在を把握し理解等する助けになりそうなので。



「さて、私たちのゲームを楽しくする方法について、何か意見のあるモノはおるか?@ムゲン」


「なにぃ? そんなの無限にあるけど? 絶対の方法を提示してあげましょうか?@ラムダ」


「下らない、こんな湿気たゲームに、もう何もする必要なんてないわ、とっとと破壊したい気分なのよ? ムゲン?@オメガ」


「そう言うモノでもないぞ、注意深く見ればこのゲーム、興味深い要素も多い、オメガはそれが分からぬと申すか?@アルク」


「別に、ただ退屈すぎて、一時の時期のモードに入ってただけ、貴方の挑発で、またやる気が出てきたところよ」


 オメガがアルクに対して、何か剣呑なモノを向ける、だがそれも所詮は遊戯、それ以上のモノには彼彼女らの中ではなりえない、のかもしれない。


「運命の流れ、それを見つめるだけでも、途轍もない、それこそ無限の娯楽といっても過言ではないでしょう、この世、世界はあまりに私達ですら、偶には手に負える、そのような複雑性と組合せ性等に満ち満ちているのですから@エンジ」


 エンジがこの世界を肯定する、誰もが世界に対するスタンスは基本これに、一定しているのだろうか? 彼女自身も本心からこの発言をしているのかは、どうやら誰にも見通せないようである。


「そうだぜぇ!この世界、そんな腐った視点で見てちゃ、てんでツマラネェってもんだ、エンジの意見は俺も大きく賛成する」


 この中では比較的熱い性格の男? そんな彼は雄雄しく宣言する。


「私も賛成ですわ、この世界の真実とか、そういうモノに対しては、淀んだ視点では永遠に辿り着けない、ただでさえ辿り着けるか不明の、無限大に素晴らしい真実、見通すためには永遠にも近い研鑽が必要なのです@トルエ」


「真実であるか、それはそなたの中にある真実ではないのか? つまりそなたは無限に満足しない存在ゆえ、そなたの真実も永遠に昇華され続ける、だから永遠を賭けてもそなたの満足する真実には辿り着けないのだろう、我はそのように観測するが?@ブラウ」


「ふっふ、そうなのでしょう、ええ、そう、かもしれまん。ですが、私はそのような考えには決して至らない、詰まない存在ですわ。なぜならこの世界の真実の素晴らしさを誰よりも心得ていますので、だからこの世界の真実に触れれば、私はそれを私の中の真実と認めて、満足するでしょう」


「果たして本当にそうかな? そもそもこの世界の真実とは、無限に上位互換が存在するモノである、だからそなたも真実に一旦触れ、一時の満足こそすれ、真に満たされる事はありえぬであろうよ、更なる真実を求め続けるのだ、と、我は思うのだが?」


「そうでしょうね、貴方の視点から見た場合は、なぜなら真実の、その真の尊さと素晴らしさを知るのは、他でもない私だけ、私一人だけなのです、他の誰もそれを知らないからこそ、私にのみ価値あるそれ。貴方の言う事ももちろん理解も出来るし把握も完全に出来ます、しかし、それは私以外の万人にのみ通用する理、特異点に存在する私には当てはまらない事です。この世の真実と呼べるそれ、それに触れて確かめ、完全に私の一部としてモノにした時、確かに私は満足する、そんな無限の確信があるんですよ」


「なるほど、興味深いそなたの一面であるな、しかし、これ以上は単なる言葉遊びに近いので、これくらいでお開きとしようかの」


「はっはぁ! 貴方達二人とも、凄く面白くてよぉ。ふっふ、とてもとても、これほど愉快な存在達ってやはり貴方達レベルのクラスにならないと、やっぱり存在しえないみたいね、ホントふっふっふ@エンタ」


 とても愉悦そうに笑う、幼女のような、しかしどこかそれに留まらない何かを秘めた少女が笑っていた、ただ面白くて笑う、まるで人間のような笑み。


「当然だよ!エンタちゃん!それって多分愛とか、そういうのが関連してるんじゃないかなぁ!!@ハート」


「いいえ、ノウですわ、それには信仰が関連してるかと、まあ愛も信仰も同一と言える部分もありますが、恐らく信仰によるなんそれかが@マリア」


「いやいや違うね、希望の力だよ、君達はなにもわかっちゃいない@パンラ」


「馬鹿ですか? 貴方達三人ともの、いつものボケ? 信仰と希望と愛情の論争は聞き飽きてよ、似た者同士で似たことやるだけでは、私の笑いは取れません」


「あっはぁ、そうだったのかなぁ? 最初はエンタちゃんも笑ってくれてたから、ちょっとマンネリ気味だけど試してみたくなっちゃったんだぁ!@ハート」


「そうでしたか、これは失敗しましたね、愛しのエンタに、すこしでも娯楽になればと考えたのですが、、@マリア」


「ひっはっはっ!いいんだよいいんだよ!トライアンドエラーはしょうがない!次に!次のいつかに!成功があればずっと精一杯にやる事に意義や意味があるのだから@パンラ」


「はあ、貴方たち三人組は、本当に私が好きなのですね、後で精一杯可愛がってあげます、覚悟して置いてくださいね」


 そんなエンタの台詞に、三人娘? は相当にハイになって喜ぶ、この四人は何か他と毛色が違うのだろうか? そんな印象すら受ける。


「ふっ、見よあれを、なんとも俗世に落ちてると思わぬか?@ムゲン」


「まあ、いいんじゃないの? ああいうじゃれ合いだって、じっさいやって見れば面白いし、十二分に楽しめるものよ? やってみるムゲン? わたしと?」


「ほお、そなたからのそのような催し、実に興味深いが、またの機会としよう、オメガの嫉妬の視線に殺されかねないからの」


「ラムダ? もしかして、私を差し置いて、”そういうこと”するつもりじゃないでしょうねぇ?」


「はっは、何言ってるのぉ? 冗談でしょ冗談、なに本気にしちゃってるのぉ? でもそんなオメガも可愛いわぁ!ホントキュートで愛らしいんだからぁ~」


 そう言って二人は身体的な触れ合いをする、ソフトで同姓同士の軽いスキンシップなようなものではあるのだが。


「ふむ、ではムゲンよ、我とそのような事をして見ないか? 面白いのではないか?@アルク」


「戯れごとを、そなたとは相性がそれ程良い訳でもあるまい、ならばまだエンジの方が良い、どうだエンジ?」


「ふん、それこそ大いなる戯れ、運命を動かすほどの事意外、わたしは興味がありません、戯れなら他を当たってどうぞ@エンジ」


「おっと、俺も御免だぜムゲン、お前との遊戯は疲れるだけで実入りがすくねえ、この世界で暴れてるほうがおもしれえってモンだ@バトル」


「なんと悲しい事を言うものだ、バトル、お前とは最高で至高で無上の相手だろう? どうだ? また永久の時空に閉じこもり、二人で闘争を繰り返さないか?」


「だから御免だと言うに、お前と無限にやりあっても意味はねえ、なら有限大の存在達とじゃれてる方がおもしれえのさ」


「はあ、ここは真実からはほど遠い、ただ真実を生み出す世界を守る、そういう力を持った存在しかいない、しかしこの方たちも、確かに一片の真実は所持しているようだ、この方たちも含めて世界の真実であると、そのように解釈しましょう、どうですかブラウ、このような見方は?@トルエ」


「当たらずも遠からずなのでは? やはりそなたの無限の深淵に位置するその真実、観測のし甲斐がある、どうだろうか? 二人で”真実を観測する”そのような旅に赴くのは?@ブラウ」


「ふっふ、それはよい提案です、お受けしましょう、というよりも、私は貴方の瞳に映る真実を、今だに見通せてはいません、どうか今日の晩にでも、二人だけで見詰め合う時間をいただけませんでしょうか?」


「無論了解だとも、愛しのトルエよ」


 トルエとブラウが、何かしら良い雰囲気で見詰め合っている、その間には不可視のフィールドでもあるのか、周囲の全てが介在不可能な領域が展開される。



 このような場所が、真の観測者あるいは管理者の巣窟。

 ただ己の存在する世界の存在そのものを、ただただ永遠に続けさせるだけの機能を持つ集団、それらを実行中の存在達。

 彼らの上に人はなく、彼らの下のみに人はいる。

 もちろん彼らの上に居る何か、それは彼らすら認識できない、万人万物にとっての”化け物”以外の何モノでもない。


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