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UMWオンライン‐リリの水の都のアトリエ‐リリちゃんルート?

 

 

 水の都はとても良い所だ。歌にもなっている、聞いた事がある人いるだろうか?


 リリはこのゲーム。アトリエシリーズが大好きだ。ただ日々をこのファンタジー世界で徒然なるままに過ごす。

 たまにランダムで来店する、NPCか。はたまた物好きなプレイヤーを相手にするのも好きだ。

 様々なアイテムを混ぜ合わせる事によって、見た事もないアイテムを作るのも。

 他にも他にも、このアトリエシリーズは。彼女の新たなる想像力を生み出す源泉に事欠かない。


 今彼女は、目の前の赤茶髪の美女レイアと。その隣で苦い顔している黒髪黒目の少年、イツキを後ろに控えて立っている。

 彼女は自慢の長い青色の髪を、一本で結んで。これまた青い透き通るような瞳で、振り返りざま二人を見て。ニィとスマイル。


 ここは壮大なファンタジー世界が、複雑に融合し。群雄割拠しているかのような場所だ。

 水の都はその飽きスペースに滑り込むかのように、しかし確固たる地位と知名度を誇っている。例えるなら。いわゆる隠れた名作って言葉に近い。

 アトリエシリーズは、相互の世界。というより領土を行き来する事が可能だ。だから彼女が今立っているのは水などすこしもない。そんな溶岩地帯だったのだ。


 山々が次々と噴火を繰り返し。灼熱の地獄のようなマグマが、そこかしこから溢れ出ている。今まさに彼女の頭上に降り注ごうとした、炎を纏った隕石などは。彼女がさっと翳した氷の杖からの魔法により、一瞬で凍てついた。その様子を二人が見ている、そんな図。


「おいリリ。こんな所に俺達を呼び出してどうするつもりだぁ?」

「決まってるわぁ!素材を集めるために、この場所に生息する竜を倒すのよ!!」


 彼女がこのようにいきり立つのもしょうがない。なんとここに生息する炎系竜ドラゴンが落とす素材が。彼女の水の都に、より色取りをもたらす。水系宝石を生み出すために必要なのだ。

 彼女は水系のステージいる竜は既に倒した。その竜素材と、このステージの炎系竜素材を合わせる事によって。ブループラネットという、水色に光り輝く宝石が生み出される。その錬金術書を一昨日ほどに解読した彼女は、既にそのときから動き出していたのだ。

 宝石コレクターでもある彼女だ。そういう情報が入れば、落ち着いたアトリエの工房から飛び出し。このように一気に苛烈し、武闘派の慌しい魔術師に変貌を遂げる。


「私は炎系の魔術師だから。確かに相性はいいわね」


 そういったのは少年の隣。赤っぽい髪を靡かせる、切れた目をしている美女。真紅のレッドコートは誰よりもこの場に相応しい。


「そうよ!レイアがいれば、本来イツキなんて必要なかったんだけどね!ついてこれる事光栄に思いなさい!」

「だれも好きで付いて行くわけではないんだがなぁ」


 「それではしゅっぱつぅ~!」と右手を上げて宣告し。彼女は周辺を凍らせながら進軍を開始する。


「レイア。ここに出るっていう竜って、楽に倒せるのか?」

「まあ三人がかりなら余裕でしょうね。観光気分でこの領域を楽しんだほうが有益よ、なかなかに作画がいいじゃない」


 そういって、マグマの中に手を伸ばすレイア。


「おっおいぃ!!」


 少年は慌てて止めるが。マグマに手を入れてもレイアは全く怯まない。


「馬鹿ね。炎系の魔術師は、その手の耐性が飛びぬけているのよ。さっきリリが言ったでしょ?レイアがいれば百人力だと。その言葉に一片の嘘もないって事ね」

「はは楽しいな、その最強耐性。俺がマグマに手なんて入れたら、骨の髄まで溶けるところだ」


 そんな感じで、そのステージを練り歩く三人組。

 「何か楽しい事ないかぁー」と歩く彼女の目の前に。赤っぽい宝箱が現れた、というより奥まで侵入した事により。竜に襲われる対価、それに近い形で出現したのだ。

 彼女が「わぁーい!」と宝箱に駆け出すのをレイアが制す。


「どうしたの?レイア?美味しそうな宝箱が目の前にあるのに」

「ちょっと待って」


 そう言って視線を強める。するとからくりは明らかになり。宝箱の周辺の仕掛けを見透かすレイア。彼女のような知性派は、この手の見破りスキルが全体的に高い位置にあるのだ。


「おいおい、俺の大して鍛えてない透視スキルでも。この罠には引っかからないってのに、リリは馬鹿だな」


 と少年が、リリの引っかかりかけた”落とし穴”という罠を避けて。宝箱に向かおうとした時。

 ビィービィーと警告音が当たりに鳴り響く。


「馬鹿は貴方よ。そこら辺には何重にもレーザー警戒網があったのよ」

「イツキの馬鹿ぁ!!」


 と周囲から迫ってきた。さそりの様な赤っぽい敵を相手にしながら、彼女は叫ぶ。

 しかし少年はそんな二人を囮にして。さっさと宝箱の中身を漁り始める。


「お!!これは!!竜素材じゃん!!やったぜ!これでドラゴン倒す必要もなくなったぁ!」

「よくやったわぁ!イツキ!そのお宝落とすんじゃないわよ!」


 そこで少年は絶賛戦闘中の二人を見ながら。自分の手にあるお宝を見つめる。リリは不穏な気配を感じるも、敵に忙しく声すら掛けられない。

 少年は考える。日々この二人にしてやられて手駒に取られ。いくら酷い目に合ったか知らない。仕返しをしようにも、報復が怖くて一切できないじまい。今日もそれで終っていいのか、と。

 つまり何かこの状況を自分の面白いものに出来ないか?そのような事を、二人が果敢に戦っている。そんな直ぐ傍で考えていたのだ。

 だが、そんな状況も大して続かなかった。少年は決意したのだ。今日は仕返しをして一泡吹かせて楽しむ。報復を恐れるのは明日でいい、とりえあず今はこの二人の吼え面を見たいと。そのような悪を打倒するための巨悪的考えを。


「はっはぁ!!宝を手に入れたのは俺だぁ!これは俺のものだぁ!」

「はぁ!!あんた何言っての!それを誰よりも一番必要としてるのは私でしょ!!」

「知ったことかぁ!!俺が手に入れた宝をどう使おうが俺のかってだ!最近金欠してたんで売らせて貰うぜ!あばよぉ!」


 と帰りの駄賃に、複数のレーザー警報トラップに引っかかってやる事も忘れない。更に敵がわらわら集まり始める。


「ふざけんじゃないわよぉ!!待ちなさい!!くっそ!エクストラブリザぁあああああど!!」


 彼女の最強魔法。ダイヤモンドダストの地獄の氷風が、辺りの敵地形問わず。一瞬で氷付けにしながら少年にのびる。


「うぎゃぁあああ!!」


 しかし残念。少年は一瞬回避が間に合い。振れるもの全てを凍らせる、地獄の息吹の有効範囲内から逃れる。


「じゃあなリリ!ドラゴン頑張って倒せよ!」


 そんな少年のいい笑顔&ドヤ顔を、苦々しい顔で見つめるしかない少女は、地団駄踏もうとしたが。そんな事していたら、敵に隙を見せるので出来ない、欲求不満でその場で爆発してしまいそうだった。

 そんな彼女の横で。敵を普通に倒していたレイア。彼女が呪文書を取り出し宣言する。


 この場合の呪文書とは、いくつか種類がある。

 第一に魔術を会得するための呪文の書かれた書だ。第二に、呪文が長すぎて書き記す形で残された書。しかしこれは大体に置いて大規模禁則魔法級でないと、普通書き記す量にはならない。

 そして最後に第三、召還獣を呼び出すための命令文である。彼女のはそれだ。


「我の前に姿を現し顕現せよ。ダークレッドフェニックス!!」


 彼女が言霊を紡いだ瞬間。その場を逃げ出そうとした少年の頭上に、赤々煌々とする。そんな中規模の巨体を揺らし浮遊する竜が現れた。


「まじかよ!召還獣使うなんて反則だろ。だが俺だってぇ!!」


 少年は足止めの竜に飛び掛る、武装はもちろん少年の場合日本刀。それに氷系の弱点属性を全力で付加。刀身を氷付けにして飛び掛ろうとした瞬間。大きな声でレイアに「やめなさいぃ!!!!」とマジなテンションで言われたものだから。小心者の彼でなくても驚く、訝しるリリとイツキだ。


「ええ?どうしたの?レイア?まじでキレちゃったとか?」

「いいえ、違うわアレを見なさい」


 そういって頭上の。火山の内部構造から一際大きく開いた穴から。巨大すぎてギリギリのサイズ、そんな竜がばっさばっさと降りてきた。

 そうそれこそが今回の目的。超級竜指定の、レッドアイズファイアードラゴン。

 その巨大な威容と極才色の大きすぎる体。ドラゴンとしての絶対の格の違いを、周囲の全ての存在に刻み付ける。


「はは!よくぞ来たわ!!あんたもイツキも二人倒して、最高の宝石二個ゲットだわぁ!!いくわよレイア!!」

「ええ、最速で始末してしまいましょう。イツキも含めてね」


 そんな少年に対する怒りも含めて、戦線を押し上げ始める彼女達。

 一人は水の都、最高の魔術師兼錬金術師。片や様々な世界を転々とし、力のみを。最強の装備のみを求める異端の魔女。

 そんな二人が全力を挙げるのだ。少年はすたこらその場を逃げ出したいが 「っう!!!」。召還獣に足止めされているのだ。焦りから動きにも精細を欠かすほどだ。


 その間にも二人の魔術師は宣言する「氷塊錬金!」その声と共に、ドラゴンの頭ほどの氷が降り注ぎ。動きを制限。

「イデアスターフィス!」そのレイアの声と共に。紅蓮の槍、ロンギヌスが天空から飛来。絶対に回避の間に合わない絶妙のタイミング。一本の巨大な槍に貫かれ、地面に縫い付けられる。

 もちろんこれで倒されないのが、このレベルの竜。しかしこの一瞬で既に決着はなっていた。

「エターナルフォースディバインドアイスクラッシャ!!」

 彼女が頭上で醸成していた、強大な氷の塊。竜の体よりも。天空にドラゴンが威勢よく下りてきた穴よりも何よりも、この場での最大質量物を。槍に縫い付けられている竜に盛大に勢いをつけて落とす。

 さらに連続で。氷の槍を形成し竜に向かわせる。その同時展開本数何百本。それを後押しする。レイアの呪術系即死付加の詠唱。幾万の怨みの念の篭った槍がドラゴンに命中。ドラゴンは悲鳴も出せず爆散した。あとには目の宝石だけが竜のいた地面に残る。


 そんな時、まだ小さい方の竜を倒していた少年は。土下座の姿勢で、宝石を献上するポーズをとっていた。



 水の都に戻る。中央の自然と水の調和する、風光明媚。中世ヨーロッパの美術館のみが立ち並ぶような黄金郷。

 光り輝き繁栄の極地を年がら年中、ある種歪に演出する。古風だが、どこか光り輝きすぎて目に痛い。少年にはそう感じるようだが。

 もちろんリリは違う。町の理想系、風景芸術の極地。現代美術がごちゃごちゃとした物を好む理由をここに彼女は見る。視界内に全てがあるのだ何もかも。

 そんなごちゃごちゃしながらも。なんだか正統派、剣と魔法のファンタジーっぽい水の大都にて。彼女は二つの宝石を見てニッコリしている。


「どう?イツキすごいっしょ!もし謝るなら上げてもいいけど」

「いらないよ。宝石なんて売る以外になにか益があるのかってんだ」

「そう、ならこれは二つとも私のものね。ペアルックをみすみす逃すなんて馬鹿ね」

「レイアはコレいらないのか?」

「うーん特にはね。宝石を媒介に発動する魔術体系もあるみたいだけど。あんまり用途もないし、いらないかしらね」

「じゃーこれは二つとも私のって事で!やりぃ~♪」


 笑いながらくるくるターンして、喜び騒ぐ彼女を。なんとなくほのぼの見る二人。ある意味この景色こそが最高の報酬だ。

 そう、この水の都に。もっとも似合う笑顔は、やはり青髪青目。どこまでもいろいろな所が青っぽい彼女の笑顔なのだから。


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