白の女王、その名はレオミュール
理想のオハナシ(始祖)・シリアルNo.01
「ちょっとちょっと、起きなさい、いつまで寝ているの?」
「うぇ?なんだ、ここは?どこ?」
「大丈夫?怪我とか異常は?まああっても別に致命傷じゃなきゃ構わないんだけど、一応ね」
「とりあえずは大丈夫みたいです、それで?僕はどうして此処に、さっきまで別の場所にいた気がするんですけど」
「めんどくさいから単刀直入に状況だけ話すわね、貴方は私の為に別世界から召還されたの」
「別世界から?召還?つまり此処は僕の居た世界とは別の世界なんですか」
「その通り、貴方の居た世界はもう既に時空のかなたよ」
「どうして、、ですか?なんで僕を召還なんてする必要があったんですか?」
「貴方も、もうわかるでしょう?感覚的に体感的に実感的に、私が”あの本”のお姫様だってことを」
「うっ、なんとなくですが、最初に貴方を目にした時、直感ではそう感じました、でもまさか」
「そのまさか、私はあの本の世界のお姫様、正確に言うなら四大女王の一人、白の女王レオミュール」
「、、それは、わかりました、でもなぜ貴方が僕なんかを?僕は正直無力な、ただの人間なんですよ?」
「そう、貴方はただの無力な人間、でもそれでいいのよ、わたしはただの無力な貴方を欲して呼び寄せたんですもの」
「なにか、僕には貴方に与えられるもの、あるんでしょうか?」
「あるは、貴方はね、この全時空で誰よりも私を愛している、それに掛けてだけは奇跡的な存在といっても過言ではないわ」
「僕が?確かに貴方を心の底から尊敬してますが、、、」
「いいえ、尊敬じゃないわね、お世辞にもわたし、善良からはほど遠い性格ですもの、貴方のそれは尊敬ではないわ」
「でも、それ以外には、慕っている?とか?」
「初めに言ったとおり、愛しているのよ、私と一つに成りたい、それが貴方の存在意義と言ってもいいくらいなんでしょ?」
「確かに、そうかもしれません、僕は貴方のことがほかの誰よりも重要に思いますし」
「そう、そんな貴方だからこそ、わたしは傍に置いておきたいと思ったの、貴方も嬉しいでしょ?」
「はい、光栄って言うんでしょうか、あまりに行き成り過ぎて、正直かなり戸惑っていますが」
「いいのよ、貴方は何も恐れることはない、わたしは貴方を誰よりも大事にする、そして貴方もわたしを誰よりも優先する
そういう至高の関係性と、思ってくれて大丈夫」
「でも、いいんですか?僕からは何も、貴方が心の底から喜びそうなモノを与える自信が」
「そういう心配はやめて、貴方がここにいる、それがどういう意味か、わかる?」
「えと、何か必要とされたんでしょうか?」
「いいえ、わたしが心の底から貴方を欲して、そして貴方も同様にわたしを欲したから、だから貴方が此処にくることが出来たのよ」
「貴方が僕を心の底から?」
「ええ、欲しくて欲しくてしかたがなかった、他の何を全てを捨ててでも、貴方の全てをわたしのもとに留めて置きたいと思ったの」
「う、そんなどうして、貴方は誰よりも素晴らしい人です、僕なんかが、そう思われるのは正直、」
「正直、どう思うの?言って」
「不思議に思います、僕はそんなに大したことがないから」
「そんな事ないわ、貴方はわたしと一つになれるほど素晴らしい人、どうしてそんなに自分を卑下するの?」
「だって、貴方と比べてしまったら、僕なんて、、」
「それは、わたしの全てを間接的に否定してるわよ?」
「全てって、どうしてですか?僕はむしろ肯定してるのに」
「どうしてって?だってわたしの全ては貴方だもの、貴方が貴方を否定したら、わたしを否定したも同じだと思わない?」
「そう、かもしれませんでした」
「かもじゃなくて、そう、なの、いい?これからは自分で自分を否定しちゃ駄目よ?約束できる?」
「約束します、もう自分を否定することは誓ってしません」
「ならいいわ、貴方が素晴らしいことは他ならないわたしも保証するところ、絶対に否定なんてしちゃ駄目よ」
「はい」
「それじゃー、自分はこのわたし、レオミュールと同格の存在であることは、ちゃんと認めるわね」
「同格?ですか、それはさすがにありえないんじゃ、、」
「自分を否定しない、どんな時でも肯定すること、そういうことじゃなかった?」
「でも、です、僕が貴方と同じって言うのはちょっと、、」
「じゃーこう考えてもらって構わないわ、わたし、レオミュールは貴方なくして全てがない、ゆえに貴方はわたしの全てとも言えるの」
「ど、どうしてそうなったんですか?」
「知りたい?」
「できれば、教えて欲しいです」
「それはね、あなたの全てを知ってしまったわたしは、既に貴方に全てを奪われてしまったの、
だからわたしの全ては貴方の中に、貴方無くしてわたしはない、そういう事なのよ」
「僕も、貴方が全てです、他の何もなくても、貴方だけが傍に居てくれれば何もいらないってくらいです」
「そうなの?うれしい、わたしもよ、どうしてかしらね?こんなにお互いを想い合うのって」
「わかりません、でもなぜか、もう貴方のことしか考えることが出来ないんです、むしろ考えたくないんです」
「わたしもよ、どうしてか、四六時中貴方のことだけを考えていたいと思うの」
ただどこまでも描き続けられるキャンパス、フロンティアは何処にも無い
不確定で有限大の色と空間に、自分の望む全てを描き続けられたら、どれほど素晴らしいだろうか、でもわたしの有限大とは今
どうしても描きたい何かを、どう表現すればいいだろうか?一瞬一秒では足りない、だが足りないからこそ必死になれる
必死になって描いた絵で満足するべきなのだろうか?わたしの描いた絵は他人を満足させられるほど、であっただろうか、、、、?