ユニオンメディアワールドオンライン‐ゲンチョウカヤEXIFSFパックVer
幻蝶蚊帳と、かよは言っていたか。正式名称は特に調べてないので知らないが。
様々な想像の、幻想的世界の話を参加者全員夢に見るのだ。もちろん情報を共有することになる。寝れば100%見ると言っていいだろう。そして向こうの世界で寝ると、こちらの世界に戻ってくるのだ。体感的には二つの現実を生きることになる、そうなっている様なものだ。
まあ、俺が生きてるここが、俺にとっては夢なのだ。ってのもありかもしれないがね。だが俺にとってはあっちが夢でこっちが現実だ。あっちの俺に取っちゃこっちが夢であっちが現実でも。自覚的には俺はあっちを夢として見て、あちらは片手間にやっていきたいと思ってんだ。
まあそんな意味不明な話だが、かるく見て欲しいものだね。原理を説明すると。VR技術と更に進化した脳科学技術の応用、それで発明されたブレインナノマシンインタフェース、更にその応用。
誰でもこういう事ができる訳ではない。常軌を逸した天才である我が妹かよの、高度な脳制御と情報処理等々、それらに支えられ。あとオンラインで複数の人間の集合的無意識を集積し、調和等々させ。やっと上手く機能させ、映し出すことが出来る。明確な第二現実、明晰夢のように、その機能は機能結果をアウトプットさせる。
まあそれだけのどこまでも非現実的だが、現実的な技術に裏打ちされた世界。そういう近代の御伽噺のような感覚で、その世界での出来事全てを見て欲しい。長々説明したがそんな感じで、そんな訳だ。口で説明するのは難しい。今実際夢見てるんだし。その情景描写で全て変えさせて貰らった方が理解が速いかもな。
天空には三つの金・赤・青色の月のような天球。遥か彼方まで続く大自然。それに調和的に聳え立つ城や城下町。俺が今いるのは、それら全て見渡せる気高い丘の上。風流溢れる、ファンタジィーな雰囲気を好む人種ならば酔いしれるような景観。どれもこれも現実で見ることの叶わない、または叶わなくなった。全く近代的な技術の片鱗すら見れない景色。
こういうタイプの確固とした世界観は。常に都会で住む人間には驚嘆、カルチャーショック的に心に響くであろう。しかし俺は田舎育ちでその恩恵を、最大限感じるには向かないらしい。それを残念に感じる程には、この景色全て心に響き。もっと堪能したいと思うのだ。
「いつまで黄昏ているの!ビシッとしなさい!!」
「そうよ、まだまだ夜はこれから。この世界を阿鼻叫喚の地獄に叩き落す、記念すべき夜は今から始まるのよ」
「って何言ってるですか!レイアさん!?」
「ん?リリさんの方こそ、何を驚いているんです?」
と、真後ろで俺の雄姿にちゃち入れてくる奴ら。全く救いがたい愚者だな。こいつらが居なけりゃ俺は、このファンタジー世界を満喫し、毎日毎日スッキリとした面持ちで目覚められるのに。
ちなみにかよとシャルとイリスは、あんまりここには現れない。かよは色々と忙しく。シャルは情緒が絶対的に不安定で、かよがあんまり上手く処理できる自信がないらしいとか。だからシャルは自重してあんま参戦してくれない。
そしてイリスは現実のゲームの方が好みらしい。てかあいつは寝てる間も夢でゲームしてるとか言っていたから、こういう事自体不要なのだろう。むしろ自分の見てる夢を邪魔されたくないらしい。
よってこの最悪の権化のような悪魔的二人組みが。この世界で俺の唯一の親密な関りのある知り合いだ。でもまあそんな二人を俺は愛してしまっているんだがな。
一方は青髪青目の美少女。俺と同年齢だが、ほぼ一年の歳の差を理由に、何かと俺をガキ扱いしてくる嫌な奴だ。でも好き、って感じに思えてしまう、よく分からんが。でも性格が最悪な方だって事だけは断言できる。俺がまだ幼稚園の頃から小学校低学年の間。ほぼ一年の歳の差が顕著に出る年代だ。まるで俺を奴隷かのような傍若無人な扱い、ありえない程の非道を味合わされた。そんな愛憎入り混じる存在、愛称リリ、フルネムは黒鋭理利。
もう一人は丁度一年前くらいに現れた、赤みがかった黒茶髪を靡かせる美女。大人っぽい雰囲気を全身から感じるので、たびたび忘れかけるが俺と同年齢の義理の母親、はいもう一度いいます義理の母親だぁ!!どういうことだぁ!!!!と会った当初は親父とこいつに問い詰めたが、海外を飛び回る父親は「ああ、ちょっと色々な複雑な事情で世話することになってな、すまないがぁ頼むな」とそう一言言ったら、また飛行機でどっかに旅立ってしまった。一緒に付いて行きたいと願う彼女を振り切ってな。くそがあいつは何を考えているんだ、と思ったものだ。そのてんわやんわで、実家の家族とともにこの田舎に住む事になったらしい。別に一緒に暮らしたかったとか思ってないんだからねぇ!!それがレイア、フルネム姉原零亜、これ偽名かもしれないんだがな。
リリの方は、妹の愛理がなんだか複雑な病気だったらしく。小学校時代に都会の方に行ってしまっていたのだが。一年前くらいに帰ってきた。だから昔の様な扱いで今だに接してくるクソ野郎だ。殺してやりたいが、殺すと妹の愛理ちゃんが可愛そうなので自重しているだけだ。さっきからこいつに対して当たりが強いが、別に嫌いなわけじゃない、むしろ好きだ、心の底から。なぜか酷い事されても、彼女の事が好きなのだ、堪らなく好んでしまう。悪魔的な魅力があるのだ。だから狂おしいまでの愛と憎しみの対象。
レイアの方は、更にリリをグレードアップさせたかの様な、そんな酷い奴だ。俺を父親に見立てて迫って来る事もあるし、嬉しいだか悲しいだか。
それでも一緒に居ると楽しくて嬉しくて。まあそんなどうしようもない関係性を構築している、そんな二人を今逃げられない状況下で目の前にしているのだ。俺の心情は察してあまりあるだろう。泣けてくるってこの事だな。
「うるさぁーーーいんじゃボケがぁ!!!」
「は?どうしたの?発狂?」
「恐らくは混沌の主に精神を侵食されているんでしょう」
「お前達はどっか行けよぉ!お前達がいるんじゃ俺は本当に落ち着けない!振り回されて振り回されてもう俺は疲れたんだよぉ!!!」
「てか、なんであんたタメ口なの?私の方が一年中ほぼ年上でしょ?敬語使いなさいよ」
「お母さんにそういう言葉遣いはないんじゃないかしら?しっかりと敬語を使って敬うのが筋だと思うわ」
「誰がテメェーらみたいなクズに敬語なんて使うか!フザケンナよぉ!!」
「やだやだ、なにこの無様な有り様。まだ野生の獣の方が大人しいわ」
「どうしたんでちゅかぁ~?ママのおっぱいが欲しくて駄々を捏ねてるのかしら」
「、、、それは、正直欲しい」
「、、、最低」
「それはちょっと、、、」
とまあ、こんな感じの二人組みでこの幻蝶蚊帳では過ごしています。