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はじまりのはじまり

 始まりは……いや、どこから語ればよいのやら。

 何の気なしにTwitterで見かけた、新作MMORPG≪Landkarte(ラントカルテ)≫のリリース。それが近日であったこと、気まぐれで調べたらNPCとの恋愛も可能で、わりと全体のデザインやプレイ画面もよさそうだったから、次の欲しいゲームの発売までの繋ぎとして、軽い気持ちでやってみようかなと思ってしまったことか。



 仕事終わりに買ってきたお弁当を食べながら、リリース時間とともに≪Landkarte(ラントカルテ)≫にINした。予想では弾かれると思っていたが、案外さっくりと入れたので驚く。人気ないのかもと思ってTwitterで検索したら、INできていない人のが多いようで、どうやら私は運が良かったみたいだ。

 ラッキー。なんて思いながら、手順通りに進めていく。メインのストーリーは魔獣討伐?的な感じらしいけど、自由度が高そうで楽しみだなあ。

 名前は……自分の苗字と花の名前をかけて、タイガーリリィにしようかな。容姿か、とりあえず種族は人間で……と、結構な時間を要して自分の分身(アバター)を作りあげ、まだ何も始まってすらいないのに、全てを終えたかのような達成感に包まれながら、物語(ラントカルテ)を始めたのだった。


 で、始めてみたら、いつの間にやら外国の様な街並みに一人で立っているじゃないか。日本、いや、今どきの都市では見ないような服装の人々が行き交い、すぐ近くにあった噴水の横には鎧やローブを着こんだ人が話し合っていたり、獣のような姿の生き物がこちらを見て頷いていたりしている。わけわかめ。

 え?え?なにこれ仮装大会?コスプレの集団併せの現場にでも遭遇しちゃったのかな?というより此処はどこでしょうか。と、脳内大パニック。そんな私の様子を見かねたのか、私の方を見ていた獣っぽい二足歩行の方がこちらに歩み寄ってきた。

「混乱しているようだな」

「(日本語喋った!!)へ、へぇ、はい、まあ」

「仕方あるまい。皆そうなる」

 俺もそうだった。なんせ姿から違っていたのだからな。なんて懐かしそうに遠い目をしながら、素敵なバリトンボイスで呟いている獣人?さん。

「すいません、つかぬ事をお伺いいたしますが、ここはどこなのでしょうか」

「ああ、すまない。そうだったな。ここは、貴方がつい先ほどはじめようとした≪Landkarte(ラントカルテ)≫の世界だ」

「はぁ、なるほど私は≪Landkarte(ラントカルテ)≫にリアルでログインしてしまったわけですかなるほどなー」

 そっかーだから突然ファンタジーな世界に来ちゃったわけね。そっかー。目の前の人もそういうアバターなプレイヤーさんなのね。

「いや待ってよ!?えっ?うそでしょ!?小説やゲームとかじゃあるまいに!!」

 うそだああああああああああああ!そう大きな声を上げながらしゃがみこんだ私に、獣人さんは残念ながら事実だ。というのだった。


 これが私の悲劇その1。その1です。


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