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魔法物理学  作者: 尚文産商堂
初歩的魔法特性
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魔術構文の失敗に関わるエネルギーの放出

では、次は魔術構文について述べていこう。まずは、知っているだろうが、魔術構文の基礎から話す。そして、この魔術構文に秘められているエネルギーの話をしたのち、それが失敗した時、成功した時のエネルギーの放出メカニズムを語ろう。


魔術構文と呼ばれる構文は、14世紀中期、魔術師「アース・バッケンダル・クローク」によって開発されたと言われている。元々は魔術元素も把握されていなかった時代に、魔術元素を操る意思を強く持つために用いられたとされている。口から言葉として出すことによって、その意思を周囲に伝え、無意識に周囲を手中に収めるという働きが期待されるものだ。これは言霊にとてもよく似た働きを行うというべきであろう。

魔術構文は現在では一般的に、主語、述語、目的語の3つから成る。順番は問題ではなく、その単語の正確な発音が問題とされる。さて、主語は基本的に私からあなたへという意思を表す。たまに、三人称を用いることがあるが、その場合は広範囲に無差別的に魔力が及ぶことになる。二人称なら相手だけに、一人称ならば魔術を書ける当人のみにかかるという仕組みだ。述語は魔術元素の動きを特定するための単語がつく。簡単なのは、単に魔術元素の種類を述べることであるが、複数を同時に使うということも可能である。複数の要素を使う場合では、当然に相互作用が発生することを忘れてはならない。さて、魔術構文で最重要の要素と言えるのが目的語の部分である。これは、主語に対し、述語の魔力を引き出し、目的語の効果を及ぼすということを意味している。目的語に入る単語は相当の数、千差万別である。

例えば、「あなたへ火を使う」という単純な魔術構文がある。一般的な文の構成とは違い、「(私は)あなたへ」が主語となり、「火を使う」が述語となる。魔術元素を使うということが述語の構成要件であるため、使うという行為自体が魔術構文に組み込まれているのである。そして、目的語をこの文に入れていくと、より強固な魔術を用いることができる。例えば、「あなたへ『猛烈な力の』火を使う」という文の場合。単なる火ではなく、猛烈な力を持った火を使うということになる。この分、魔術元素を相当消費することとなるが、より強力な魔術を使うことができる。これが、魔術構文における目的語の趣旨である。


すでに分かっている人もいようが、ここで魔術のエネルギーを込めているのは2か所ある。1か所目は述語であり、もう1か所は目的語である。主語はその方向を表しているのに過ぎない。

述語は5つの魔術元素のエネルギーを呼び出すために必要であり、目的語はそのエネルギーをどのように使うかのために必要となっている。もちろん、細かく調節しようとすれば、その分術者のエネルギーが必要となるが、それは魔術と関係しないところであるため、今回は話さないこととする。

では、ここで発動した魔術のエネルギーは、どのように放たれることになるかを説明しよう。述語によって呼び出された魔術元素は、目的語を通して必要な形に整えられ、主語の人に向けて放たれるというプロセスをたどる。どれか1つ欠けても魔術は正常に起動せず、「失敗エネルギー」として処理される。この失敗エネルギーは、当然に発動する魔術に比例して増減する。

通常、成功するとそれらのエネルギーは全て魔術として体現することになる。この魔術のエネルギーは、魔術元素を使う場合と術者のエネルギーを合わせる場合がある。この両方とも、成功すれば魔術として、失敗すれば失敗エネルギーとして放出される。

失敗エネルギーは、魔術の暴走として扱われることがある。これは、魔術の競合状態が発生することがあるからである。魔術が発生しているため、それは当然のことであろう。失敗エネルギーも、魔術元素が介在して外にエネルギーとして放出されているため、同様に競合状態などが発生することになる。


ここで重要なのは、3つの魔術の方式があるうち、失敗エネルギーが発生するのは、構文を用いた場合に限られているということである。そもそも、3つの魔術方式というのは、御札、魔法陣、魔術構文の3つであるが、御札、魔法陣の2つは、それが完成するまで、すなわち成功するまで魔術としての効果は表れない。一方で魔術構文は、述語の時点で魔術元素に働きかけるため、失敗するということもありうるということなのだ。ゆえに、失敗エネルギーとは、魔術構文の失敗に関わるエネルギーということができるだろう。

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