魔粒子物理学・天候と魔術の因果論
すでに所々で述べているので、ここでは簡単に述べることにしよう。魔粒子物理学と呼ばれる学問体系についてだ。
魔粒子物理学とは、天、並びに他の4つの魔術元素の振る舞いや、量子力学、相対論、その他一般物理法則といかなる点において異なるのかを検証するための学問である。この学問については、幅広い範囲を包摂している。現在、もっとも謎といわれているのは、魔術元素の発生要因である。暗黒物質として言われる数々の物質のうち、魔術元素をいれても謎として残るのは、計算的にあらわされる全宇宙のエネルギーのうち、おおよそ2割に上る。この2割において、魔術元素が、魔術元素たらしめている根本的な原因が存在しているといわれているが、この2014年にいたるまで、そのことは証明されていない。
魔粒子の振る舞いは、一般的な量子力学に従うとは、すでに述べたところである。この振る舞いは、魔術の英訳より、マジック粒子ともM粒子とも呼ばれる一連のグループに属していることがわかっている。これは天を含めた5つの魔術元素についての共通した振る舞いのことをさす。M粒子という言い方は、特に量子力学的な話を行う場合において、時々表現されることになる。
これらの魔粒子物理学において、さらに構成する要素が存在する。陽と陰の2つである。これは太陽と月、あるいは明瞭と暗黒、さらには、白と黒とも呼ばれる。ここでは一般的な呼び名である陰陽と述べることとする。これは、太陽と月の引力によって、魔粒子に対する影響が及ぼされるということである。このような影響のことを『魔術効果』と呼ぶ。この魔術効果は、実際に魔術を行ううえでの構成要素となるため、重要な指数ということになる。それぞれの魔術は、自らにかけるまたは影響を強く与える陽という魔術と、相手にかけるまたは影響を強く与える陰という魔術の2つに大別することができ、それぞれに有利な時間帯を示すことが、陰陽の本質である。なお、陰陽の魔術の説明は、ほかに存在し、特に有名な説明として、1802年、魔術師「サウ・オメフォ・ジュルートン」による、「陰とは人に悪影響を及ぼす魔術であり、陽とは人に好影響を及ぼす魔術」ということであるが、一義的に決められることはない。ただし、その魔術の影響力と行った時間を調べることにより、その魔術が陰または陽であるということを決定することができる。
陰陽は、1日において入れ替わる。特に日の出、日の入りは重要な時間である。この時間から天文薄明の時間は、徐々に効果が入れ替わる時期にあたり、注意を必要とする。なお、天文薄明の時期は、太陽がマイナス7度21分40秒の高度に達した時点とする。日の出からはじまる昼の時間帯を陽、日の入りから始まる夜の時間帯を陰と称する。これが原則である。
ではまず、陰について述べていこう。月は陰の象徴であるが、その光は太陽からもたらされているものである。太陽はすなわち陽であるため、これを魔術効果に反映させる必要がある。このため、満月は『陰の陽』と呼び、逆に新月を『陰の陰』と呼ぶことになる。月食は、太陽たる陽の影響をそぐことになるため、これも魔術効果に反映させる必要がある。部分月食を『陰の部分の陰』、皆既月食を『陰の中の陰』と呼ぶ。これらは一定の数式によって、その効果を表すことができるのだが、それは後述する。
次に陽である。陽の象徴は太陽であるが、一方で空に月が昇ることがある。この場合の月は、太陽からの光で輝いているのではなく、魔術としては自ら光を発するものとされる。そのため、これを反映させる必要が生じる。満月が昇っている場合は『陽の陰』、月が欠けていながら昇っている場合は『陽の欠けの陰』、月が昇っていない場合は、単に陽と呼ぶ。また月食が魔術効果に影響を及ぼすように、日食も魔術効果に影響を及ぼす。日食は、太陽の陽の力がそがれるため、陰に近寄るされるため、部分日食は『陽の部分の陰』、皆既日食は『陽の中の陰』と表現される。
これらの影響は、月または太陽からの影響と考えられるため、これらをさえぎるような天候も、魔術効果に影響を及ぼすものとされる。この場合、天候は雲量割合がそのまま魔術効果の割合とされる。晴れを100パーセント、完全な曇りを50パーセントとし、計算をする必要がある。なお、雨が降っている場合は、水の魔粒子が満ち溢れているため、水の魔術効果のみを引き上げ、それ以外を下げることとなる。これらの天候が魔術効果を及ぼす理論を『天候と魔術の因果論』と称する。