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魔法物理学  作者: 尚文産商堂
初歩的魔法特性
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一般物理の原則打破

 魔術のその特性の一般によく知られているものとしては、物理法則を無視するということがあげられよう。これを、魔術用語では一般物理の原則打破と呼ぶ。

 一般物理とは、古典力学と呼ばれる場合が多い。これに相対論を加えても問題はない。しかしながら、量子力学は、魔術粒子の振る舞いに一致することが多く、一般物理に含めない場合が多い。

 魔術元素は、一般物理の原則を打破することになる。重力の拒絶、作用反作用の突破、光速度不変の原理の例外措置の3つが、例としてよく挙げられよう。


 先に述べたとおり、魔術元素は5つに分けられる。すなわち、火、水、土、空そして天である。これらは、相互に干渉しつつ、現実世界に存在している。一方、量子的振る舞いをするということはわかっているが、今に至るまで、なぞに包まれている元素でもある。

 現時点で把握されているのは、魔術元素は4つと1つに分類することが可能である。天とそれ以外というわけ方である。これは、エーテル元素とも呼ばれる、最も基本的な魔術元素である天と、それ以外の付属的な魔術元素となる火、水、土、空の4つの元素である。魔術元素を魔術元素たらしめているための要素が天である。一般物理の原則打破について、天が大いに関与していることは、すでに理論によって証明されている。粒子に質量を与えているのがヒッグス粒子であるのであれば、粒子に魔術的振る舞いをすることを与えているのがエーテル元素である。以降は、エーテル元素のことを天と呼び、火、水、土、空の4つの元素を付属的元素と称することにしよう。

 さて、天は、質量がマイナスである。一方で付属的元素は、質量はプラスである。これらの関係は原子核とよく似ている。一般物理における原子核とは、陽子と中性子が合わさった粒子の事を指す。陽子がない原子核はないが、中性子がない原子核は存在する。いわゆる水素原子だ。もっとも、中性子のみというのは存在するが、それを原子核と誰も呼ばないであろう。魔術元素も、同様のことが言える。付属的元素は常に天と合わさって粒子を形成している。一方の天は、単独で魔術元素として存在することができる。付属的元素を中性子、天を陽子として捉えることができるということである。しかしながら、天はマイナス質量であるために、一般物理では考えられない動き方をする。それが本節のテーマでもある一般物理の原則打破と呼ばれる現象として、われわれの目の前にあわられるのだ。では、最も多く例に挙げられる3つの例、重力の拒絶、作用反作用の突破、光速度不変の原理の例外措置を順にみていきたい。


 まずは重力の拒絶から。重力の拒絶と呼ばれる現象は、重力に逆らって魔術粒子が動くように見えることから名づけられた。実際にはヒッグス粒子と対になる天という粒子の影響により、質量から逃げているといわれている。これらの理論を提唱したのは、1995年、アメリカ合衆国ニューヨークで行われた魔術学会において、日本人である本田真衛門(ほんだしんえもん)である。すでに著名な魔術師であった彼は、手野大学理学部物理学科教授であるアール・ニートルゲンに師事し、物理学の博士号を取得した。これによって、魔術の説明に現代物理の要素が加わることになった。ヒッグス粒子が提唱された1964年から、魔術元素、特に天とのかかわりが指摘されていた中、それを理論的に発表した第1号である。彼の説明を簡潔に述べるのであれば、こうなるであろう。すなわち、プラスの質量とマイナスの質量(特にマイナスの質量である天はプランク質量程度)は、互いに影響を及ぼしあう。ヒッグス粒子は天に対して引き寄せるという効果を、一方の天は、ヒッグス粒子を突き放すという効果をそれぞれ与える。これを連続的に行うことによって、あたかも磁石のS極とN極のように、一定の距離を保ちながら引き寄せあいつつ離れるということになる。よって、重力に逆らって動いているように見えるのだと。これは、現在においても反証がない理論のひとつであり、今後は、重力の拒絶の理論的説明として語り継がれていくであろうといわれている。

 次に作用反作用の突破である。おそらくはこれを読む人は聞いたことがあるだろうが、作用反作用という法則が、一般物理には存在する。これは、与える力と与えられる力はベクトルが間逆で、同一の力であるという法則のことをいう。魔術元素においては、作用反作用の法則というのは、働かない。これは、天の振る舞いによるものと言われているが、現在においても、はっきりとした定説は存在しない。現在の有力な説では、同一の素粒子である天が含まれている影響があるとされている。反発力などがさほど互いに働かないため、作用反作用のような法則が働かないのであろうという説である。

 では、最後に光速度不変の原理の例外措置をみる。光速度不変の原理は、相対論において定義されている大原則の一つである。これは、いかなる速度に対しても、光の速度は常に約30万キロメートル毎秒で進むということである。しかしながら、魔術元素、特に天はほぼ瞬時に宇宙の端から端へと作用することができる。これは、14次元理論と呼ばれる次元拡張理論の一つによって説明される。すでに見てきたように魔術元素同士はわずかに遅れて作用する。一方で、単一の魔術元素を、何も邪魔がないように作用しようとすると、この効力は無限大へと広がっていく。ただし、これには逆二乗の法則が働き、距離が1メートル進むと、効力は1単位減り、2メートルならば4、3メートルなら9減ることとなる。

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