表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法物理学  作者: 尚文産商堂
初歩的魔法特性
4/31

異種魔法同時発動の遅延効果

 続いて、異種魔法同時発動の遅延効果をみる。同一魔法とは異なり、異種魔法は、非同一魔術元素による魔法のことを言う。これらは5つの魔術元素により成り立っており、火、空、水、土、天はそれぞれ干渉をし合う。これを「魔術元素の相互干渉」という。単に魔術の相互干渉ということも多い。

 水は火に弱い。このような事柄を水対火(みずたいひ)やL水と称する。Lとは英語のlose、負けを意味している。同様に、火対土、土対空、空対水となる。天とは、すなわちエーテルのことであり、全てに対して存在する普遍的な魔術元素を指す。ゆえに、他の4つの元素に対して上に位置する。これを上天と称する。

 また、逆にいえば、火は水に勝つということもできる。これを火制水(ひせいみず)やW火と称する。WとはWin、勝つという意味の英語の頭文字である。他の各魔術元素も同様に、土制火、空制土、水制空となる。先ほどと同じように、天は全てに勝つため、ここでは略す。これらを不等号で表すと、前述した水対火の場合では、水<火<土<空<水とあらわされる。また火制水の場合では、水>火>土>空>水とあらわされる。

 魔術元素の相互干渉は、各魔術元素の波長に応じて作用することが知られている。

 さて、魔術元素の相互干渉の影響があり、異種魔法同時発動の遅延効果は発生する。まずは隣接し合う2種類の場合を考える。全て同様にふるまうため、今回は最も簡単である火と水を例にとる。火は一般的に燃焼術群と呼ばれる魔術群を指す。また水は液体術群と呼ばれる。両方とも、魔法料理、攻勢術、防御術ではよく出てくるものである。燃焼術と液体術を同時に使った場合、数ミリ秒単位で相互干渉が発生する。このため、燃焼術の効果が先に現れ、液体術の効果はそれに遅れることになる。但し、これについては、それぞれの魔力の差によって変動することが知られている。このような魔力の差は、個人ごとの能力の差が直接反映される。また、魔力の差は魔術の強さに比例し、魔術師が放出する魔術元素の量とも相関関係にある。この差は、一般的に魔術元素許容量の差と等しい。おおよそ1.5倍ほどの魔力の差がついた時点で、相互干渉の差は0に等しくなり、2倍ともなると、燃焼術よりも液体術の方が強くなるということが判明している。これらの研究は1892年、バンパイア王国で行われた魔術総評議会において発表された事柄である。

 続いて、隣接し合わない2種類の魔術の場合をみる。水と土、火と空のような場合である。これらは、逆波長の魔術元素のため、その効果は打ち消し合う方向へ進む。これについても、魔力の差によって、打ち消されるか打ち消すかが決められる。2倍ほどの差でそれらの方向は確定することになる。また、天に関する魔術を使用する際には、全てに優先して作用する。これについては、おおよそ3倍の魔力の差によってその相互干渉を打ち消すことが可能である。


 では、3種類、もしくは4種類が発動された場合はどうであろうか。この場合は、「相互効果の種別式」と呼ばれる数式があり、それにあてはめることとなる。

 まずは3種類の場合である。まず、それぞれの魔術に供される魔力量を調べなければならない。これは4種類でも同じである。次に、一定の式にそれをあてはめることとなる。最大の魔力量をA、次点の魔力量をB、3つのうち最低の魔力量をCとした場合、一般的にA<B<Cの順に魔力が発動される。ただし、これらの差がない、または互いに1.3倍以下の魔力の差であった場合、相互干渉が発生しやすくなる。また、B+C=Aであった場合は、特にBとCの魔術元素に相互干渉が起き、さらにAと相互干渉が起きる確率が最高となることがよく知られている。このような状態を、「魔術の二重干渉」と表現する。AB間で1.5倍以上、BC間で1.5倍以上の差、つまりAC間で2.25倍以上の魔力の差があった場合――最も基準となる状態であるため、これを「三種類の基準倍率」と呼ぶ――は、魔術元素の相互干渉はほぼ発生しない。これ以下の数値となると、それぞれの魔術元素の相互干渉が発生することとなる。

 A、B、Cそれぞれが異なる魔術元素によって魔術を生じさせた場合、一般的に空、土、火、水の順番に発生しやすくなる。但し、空と水が同時の場合、水が空に優先する。仮に同一魔術元素によって魔術が発動した場合、魔術の競合状態が発生することになる。これは先に述べたとおりである。

 4種類の場合は、3種類よりは単純だ。最大をA、2番目をB、3番目をC、4番目をDとする。この場合、Aの魔術がまず発動し、次にB、そしてC、最後にDという順番で発動していく。それぞれの差は数ミリ秒というものであるが、Dのタイミングでは、すでにAの魔術は発動を完了しているであろう。これもこれまでと同様に、それぞれ1.5倍ずつの魔力量の差があった場合、相互干渉は打ち消されることになる。一方で、空火、土水のそれぞれは、魔術を打ち消す方向へ進むため、それぞれの魔術量の多い方が残り、魔術が発動することになる。この場合、魔術の効果は、通常よりも劣り、さらに魔術の相互干渉が発生することになる。このため、注意をする必要がある。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ