魔法数学α数
本作の最後は、魔法数学についてである。あらかじめ告げておかねばならぬのだが、魔法数学は、本来であれば初歩的魔法特性に分類されうるものである。しかし、その内容は高等数学のレベルに達しており、とても表現することはできない。そのため、上級魔法特性の最後に、付録という形で掲載することにした。
魔法数学は、α数、β数、ω数の3種類がよく使われる。これら以外にも魔法数学ではさまざまな数値を用いることとなるが、初心者向けというこの教科書の趣旨から、最も初歩的である3つを紹介するにとどめておこう。今までの各項で紹介した数式の厳密解を求める場合、この3種類のうち、少なくとも1種類は登場することとなる。では、それぞれ紹介をしていこう。
まずはα数である。α数の定義は、『1空間単位当たりの魔粒子数の概算値』である。1空間単位は、魔法数学においてよく登場する単位系であり、『魔術粒子が1秒間に到達する平均距離』を指す。おおよそ36メートルほどである。1空間単位は、通常球で示されることになる。この1空間単位当たりの、魔術粒子の数を概算で表す数がα数であり、これは定数となる。その数式は、(h/2π)×gm(n₀)×rである。h/2πはディラック定数、gは重力加速度、mは魔術粒子の1つあたりの質量、n₀はロシュミット数、rは1空間単位の半径をそれぞれ表す。なお単位は通常は表示ないことになっているため、ここでも省略する。α数が用いられる場合は、そこからどれだけの魔術を行うことができるかを知りたいときに行うことになる。




