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魔法物理学  作者: 尚文産商堂
上級魔法特性

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統計的魔術効果量

 さて、重要な魔術特性のひとつとして、統計的魔術効果量が挙げられる。統計的、と銘打っているものの、実際には統計はさほど関係ない。むしろ、総和的あるいは積算的と呼ぶべきである事柄であるが、慣習として、統計的と呼ぶことになっている。この項においても、“統計的”魔術効果量と称することにする。

 この統計的魔術効果量とは、平たく言えば、魔術効果が積み重なって発生するために必要な魔術効果量となる。1度に使われる魔術元素は決まっているものの、低レベルな魔術を複数回使うことになると、それだけ魔術元素が必要となる。しかしながら、1度に必要な魔術元素を供給することができない場合もある。その際、複数回に魔術を行うことによって、最終的に1つの魔術を執り行うということができる。そのために必要な魔術量のことを、『統計的魔術効果量』と呼ぶ。


 統計的魔術効果量については、たまに飲むようなミルクに例えられることがある。ちみちみと飲み、それ以上に注ぎ入れることによって、最後にはコップから溢れてしまう。この場合では、溢れる時点で魔術が発動すると言うことである。

 例えば、Aレベル、准禁忌術に該当する捕縛術の場合。そもそも捕縛術とは、脳の中枢神経系に作用し、四肢を麻痺させるという魔術の体系のうち、四肢全てを麻痺させる術をさす。この場合、さらに下級の魔術として、手足のいずれかを麻痺すると言う捕縛術も存在する。いずれかの場合は、麻痺術という名称になるが、この麻痺術において使う魔術粒子の量を1とする場合、捕縛術で用いる魔術粒子は、おおよそ256となる。式としては、各手足を1とし全て足し合わせ、それと同数を乗じることによって測定する。つまり、両手両足で4となり、4の4乗となるため、256が算出される。この時、常に捕縛術を行うための魔術をかけ続け、それが秒速10となるようにした場合、まず、手足のいずれかが麻痺し、すぐに別の手足が麻痺する。そして3秒弱でさらに1つの手足が麻痺することとなる。そして、25秒半強経過した時点で、四肢が全て麻痺する計算である。実際には、これに発散係数を加えなければならず、30秒ほどで捕縛術は完成することとなる。すなわち、秒速での魔術量(これをAとする、例であれば10)と注ぎこむ秒数(これをBとする、例であれば25.6)を掛け合わせた数値に、発散係数(これをHとする、定数である)と発散する魔術平均量(これをCとする、密度によって変化する)をかけた数値にさらに秒数をかけた数値を引いた数値に、一気に魔術を行う場合に必要な魔術量(これをDとする)を引くとなる。これを式で書くと、D-((A×B)-(H×C×B))となる。この式に当てはめて計算した結果が、実質統計的魔術効果量となる。なお、(A×B)のみの場合、推定統計的魔術効果量となる。

 では、先に示した捕縛術に合わせて、実際に計算してみよう。なお、発散係数Hは、重力加速度の逆数となる。今回は0.10で計算したい。また、発散する魔術平均量Cは本来であるならば密度によって異なるが、今回は計算を簡単にするため1.0として計算する。まず、上記に従って式を構築する。Dは256、Aは10、Bは25.6、Cは1.0、Hは0.10である。256-((10×25.6)-(0.10×1.0×25.6))=256-(256-2.56)=2.56となる。なお、通常はBの部分が不明である場合が多く、この式から求めるという問題が出されることが多い。但し、計算経過を見て分かる通り、推定統計的魔術効果量はほとんどの場合、一気に魔術を行う場合に必要な魔術量と同値となる。

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