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プロローグ

「おとうさん!」

笑顔で父親に手を振る子供。父親も、その姿を見て笑う。子供は立ち上がり、父親に駆け寄る。シロツメクサの冠が、とてもよく似合っていた。

子供は父親に抱きつき、言った。

「おとうさん、---ね、おっきくなったら、おとうさんを、しあわせにしてあげるからね!」

楽しそうに笑う子供は、父親の表情が曇ったことに気がつかなかった。父親は、子供をきつく抱きしめた。

「おとうさん?」

子供は心配そうに父親を呼ぶ。父親の身体は震えていた。

「…ごめんな」

震える声で、父親はそう言った。子供にはその意味が全く理解できなかった。父親は、腕にさらに力をこめる。

「ごめんな…守ってやれなくて、ごめん。こんなお父さんで、ごめんな…」

子供は息が苦しくなる。必死に父親の腕から抜けようとする。が、大人と子供の力の差は一目瞭然で、子供の動きはだんだん弱くなっていく。

父親は、膝から崩れ落ち、動かなくなった子供の顔を見つめた。子供の顔に、雨粒が落ちる。はっとして、父親は空を見上げた。が、真っ青な空には、雲ひとつ浮かんでいなかった。

雨は、子供を濡らし続けた。

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