七.ばりかん
「……はいっ……あたしに頭を向けてっ!恵介くん!さあっ!!」
……うん。
確かに、これは最後の手段だ。
もう……これしか残ってないのか……?
……ないんだろうな。
こんちくしょうっ!
………うわあああああっ!
オレは……。
三善さんの前に、トイヤッ!っと頭を突き出す……!
「……いっくわよぉっ!!!」
三善さんも……。
オレのの頭をエイヤッ!としっかり掴んで……。
まるで、羊の毛でも刈るみたいに……。
一気に、電動バリカンで……。
……イッガガッッ!
……ガンッヌガガッッ!!
……ガガガガガガーアァッ……!!!!
……そして、数分が経過し……。
オレの頭は……。
清々しいまでの丸刈り頭に……なった。
……うむむむむむ。
清々しいっていうより、剃り跡が青々しいだな……。
「……これって……何分刈りぐらいですかね?」
三善さんのカバンの中にあった、小さな手鏡を借りて……。
オレは、自分の坊主頭を鑑賞する……。
ああ……オレって頭の骨の形が、あんまりよくないんだな。
髪の毛がなくなると……後頭部が、ゼッペキ状態なのがよく判る……。
「ええっと……ちょっと判らないわ」
三善さんは、電動バリカンと説明書を交互に見比べている。
「……ここの、アタッチメントの目盛りは『3ミリ』を指しているけど……」
……3ミリ。
「あ、ここに書いてあったわ……『3ミリは、1分刈りです』だって」
ふと……疑問が湧く。
「三善さん……もしかして、アタッチメントって他にもあるんですか?」
三善さんが……バリカンの入ってた箱を見る。
「あるわよ……あと、4種類入ってるわ」
……4種類?
「うん……『ロング用アタッチメント』と『アタッチメント・大』と『アタッチメント・小』と『スキ刈り用』だって……」
「ちなみに……今、付いてるアタッチメントは?」
「……『アタッチメント・小』みたいね」
……。
もしかして……三分刈りよりも、長くできたんじゃ……。
五分刈りとか……スポーツ刈りとか。
「『アタッチメント・小』って、1分刈り用なんですか?」
「そんなことないわ……『アタッチメント・小は、3ミリから6ミリまで長さ調節が可能』って書いてあるから……」
……落ち着け、オレ。
……これって、つまり。
小さい方のアタッチメントの……一番、キッツイ状態で……。
1分(3ミリ)の長さの丸刈りにされたってこと……。
「……恵介くん」
「……はい?」
三善さんが……心配そうにオレの顔を見ている。
「……怒っている?怒っているよね……?!」
……オレは。
「怒ってません……もう、どうしようもないんですし……」
オレは……男だ。
こんなことで……腹を立ててはいけないぞ……!
「いいんですよ……これから、暑くなっていくんですし……!」
……うん。
これで、半年は床屋に行かずに済む……。
いや……済ませる。
そう思えば……その分、金が浮いたと思えば……!
「……ごめんね」
三善さんが……謝ってくれた。
「もう、いいですから……ホントに!」
ということで……。
三善さんによる、オレの頭の散髪は……。
『1分刈り』という……究極にシンプルなヘア・スタイルとなって……。
落ち着くこととなった……。
「でも……坊主頭の男の子って、可愛くていいと思うわよ……!」
三善さんは……全然フォローになってない感想を述べてくれる。
「あたし……好きよ。恵介くんのさっぱりした髪型……!」
これは……髪型なのか。
髪型と言えるほど……髪が残ってないけけど……。
「……そんなに、落ち込まないでよ」
……それは。
中3の……こんな半端な時期に……。
運動部でもないのに……『坊主頭』なるなんて……。
オレ……ただでさえ、クラスの中で浮いているのに……。
明日から、また「貧乏臭い」って、陰口を言われることになるんだろうな……。
「……ホントにいいですから……オレ、あきらめますから……もう、何もかも……」
ガックシきているオレに……三善さんは。
「……もおっ、そんなこと言わないでよぉっ!!」
彼女は……手で、オレの1分刈りの頭をぞりぞりと撫でる……。
「……ほうらっ!とっても、触り心地がいいわよ!恵介くんの頭っ!!」
あの……三善さん。
……あなた。
何で……そんなに嬉しそうに触ってるんですかぁぁぁぁ……!!!
「うふふふっ!お姉ちゃん……この感触、好きかも…!」
「好きかも」……とか、言うなぁ!!!
て、照れるじゃないかっ……!!!
「……もう、こんな時間なのね」
不意に……三善さんが、時計を見る。
バァちゃんが使っていた目覚まし時計が……部屋の隅に置いてある。
いつの間にか……もう、夕方の五時を過ぎていた……。
「……ごめんね、恵介くん。お部屋の中を、すっかり散らかしちゃって」
改めて部屋の中を見渡すと……。
部屋の畳の上は……オレの頭の毛が散らばっていて、とんでもなく酷いことになっている……。
オレの背中にも……。
髪の毛が、チクチクして痒い……。
「
「……気にしないで下さい。オレが後で片付けますから」
時間を気にしているということは……。
そろそろ帰らないといけない時間なんだろう。
三善さんは、家の人に黙って……オレに会いに来てくれたんだから……。
「……そんなの、お姉ちゃんがやるわよ……掃除機はどこ?」
三善さんが、部屋の中を見回す……。
「あの……いいですから……ホント」
あんまり、よその人に家の中を引っかき回して欲しくはない。
オレが……そう言うと……。
三善さんは、ムキになって……!
「……お姉ちゃんがするのっ!それより、恵介くんはシャワー浴びてきなさいっ!」
……え?!
「……痒いんでしょ……背中?さっきから、モジモジしてるから!」
あ…そういう意味ですか……。
何か……ドキッとしてしまった。
「それも……後でしますから」
お客さんが来ているのに……シャワーなんて、浴びられないよ。
「いいから、早くなさいっ!……お姉ちゃん、その間に、お部屋に掃除機掛けておくわっ!」
あああ……台所の隅にあった掃除機を、見つけられてしまった。
「いや…でも……!」
オレが、抗議しようとすると……。
「……そうだっ!お姉ちゃん、恵介くんの頭、洗ってあげようか?!」
……え?
「背中も流して上げる……ねっ!」
……みっ、三善さん?!
……あ、あなた。
自分が……今、何を言っているのか、お判りなんですかッ??!!!
「……い、いえ……結構です!!!」
オレは……反射的に断るッ!
「……何で?いいじゃない、姉弟なんだし」
そういう……問題じゃないッ!!!
「……オレ、三善さんに洗っていただくほど、髪、残ってませんからっ!」
オレ……1分刈りの坊主頭を差して、力強くアピールする。
「そ……それに、うちのシャワーは完全に一人用ですっ!」
オレは……シャワーユニットを開いて、中を見せる。
「うわっ……何これ。狭そう」
驚く……三善さん。
こういうの見たことが無いんだろう。
「狭いからっ……一人しか入れないんですっ!!!」
オレは、強く主張する!!!
……三善さんは。
「……そっか……それは残念だわね!」
彼女は、クククッと笑った……。
あれ……オレ、からかわれたのかな……?
そうだよな。
三善さんみたいな綺麗な『お嬢様』が、本気でオレの頭や背中を洗ってくれるわけがないもんな……。
それなのに、オレ……ムキになって、怒って……。
……馬鹿みたいだ。
「……あのね。あたしの学校のお友達にね……高塚綾女さんっていう子がいるんだけどね」
三善さんは……突然、そんなことを話し出す……。
「この間聞いたら……綾女さんは、毎日、弟さんと一緒にお風呂に入るんだって」
「……はい?」
三善さんと同い年くらいの女の人が……。
毎日、弟と風呂に入っている……?!
「それでね……いつも、洗いっこしているそうなの……!」
……洗いっこ?
それって……警察に捕まるんじゃ。
幾ら何でも、マズイだろう……?!
「だからねっ……あたしも、恵介くんのこと洗ってあげたくてっ!」
……え?!
ほ、本気なんですか……。
……三善さん?
「綾女さんの弟さんって、本当に可愛いのよっ!あたしが、綾女さんのおうちに遊びに行くと、いつも弟さんがお姉さんの後ろをチョコチョコ追っ掛けて来るの……!」
……チョコチョコ?
「……あの、三善さん。そのお友達の弟さんて、いくつぐらいの人なんですか……?」
オレの想像が正しければ……。
「うんと……今年、幼稚舎の『年長組』だから……5歳かな?」
……やっぱり。
「あたし……いつも、綾女さんと弟さんの様子を見てね……『いいなあ、あたしもあんな弟が欲しいなあ』って、いつも思ってたの……!」
……はぁ。
「あたしも一緒にお風呂に入って、髪の毛や身体を洗ってあげたいなあって……!」
……この人。
マジでオレのこと……子供だと思っているんだ。
オレは……もう、十五歳で。
中学3年で……。
三善さんとだって、幾つも違わないのに……。
確かに、オレは背が低くて……見た目は、小学生なのかもしれないけれど……!
でも……男なんだ!
立派な男なのにっ……!!!
「だけと、もう……あたしは、綾女さんのことが羨ましくはないわっ……!」
……三善さん?
「今は……あたしにだって、恵介くんていう可愛い『弟』がいるんだから!」
……そう言って。
三善さんは、幸せそうに微笑んだ……。
……その顔を見たら。
オレは……もう、何も何も言えない……!
「さ……掃除機掛けるねっ!」
三善さんは、掃除機のコードを引っ張り……コンセントに繋ぐ。
……オレは。
「……シャワー浴びますから、そっちの部屋に居て下さい」
子供だと思われているのなら……仕方ない。
とにかく……身体に付いた髪の毛を洗い落とそう。
……そうでないと。
髪がくっついたままだと……また、後で掃除機をかけ直すことになるだろうし。
それに……。
正直、オレは……頭を冷やす時間が欲しかった。
「どうして、こっちの部屋に居ないといけないの?」
三善さんは、不思議そうにオレに言う。
「あの……脱ぐんで。脱衣所が無いんですよ……うちは」
「そんなの、気にしなくていいわよ……姉弟じゃない」
三善さんは、ケロリとそう言う……。
「オレは、気にするんですっ!」
「ああ……恵介くん、恥ずかしいんだ?」
三善さんが、ニコッと微笑む……。
「ええええ、恥ずかしいですよっ!」
オレは……ちょっと、半ギレ気味に叫んだ。
「判ったわよ……お姉ちゃんは、こっちに行きまーすっ!」
そう言って……掃除機を引っ張って行く。
……オレは。
とりあえず……バスタオルと着替えを用意して……。
服を脱ごうとしていると……。
……んんん!
……視線を感じる。
「……三善さん!」
戸の隙間から……三善さんの眼が見える!
「あっ……見つかっちゃったぁっ!」
「見つかっちゃった」じゃねぇぇ……!!!
「恥ずかしいから見ないでくれって、言ったでしょ?」
「だってぇぇ……!」
三善さんが……恥ずかしそうに言った。
「……気になるんだもん」
……な、何が?
いや……聞くまい。
とんでもない答えが返ってきたら、オレの方にダメージが残る……。
つーか、こっちから答えてやる。
少しは、オレが大人の男だってことを理解させないと……!
「……毛なら、生えてますっ!」
オレの渾身の一撃に……!
三善さんは……。
「……嘘っ?!」
「……ホントですっ!」
「……ボゥボゥなの?」
「……チョロチョロですけれど」
「うわっ……見てみたいっ!」
……何で。
……そうなるぅぅッッ!!!
「お断りしますっ!」
オレは……!
シャワーユニットの中に閉じ籠もるッ!!!
薄暗い、ユニットの中で服を脱いで……。
ユニットのドアをちょこっとだけ開けて……脱いだ服を外へ……。
……よし、三善さんは見ていないな。
再び、ドアをぴったり閉めて……鍵を掛ける。
「……はぁぁぁぁぁ」
深く深く……息を吐いた。
「とにかく……シャワーを浴びよう……」
蛇口を捻って……水がお湯になるのを少し待つ。
そのまま……頭からシャワーをズザザザーッと浴びて……。
一気に身体についた毛を洗い落す……。
一応、シャンプーもしてみたんだけど……。
1分刈りの頭だと……全然泡が立たない。
わずかに残った頭の毛が、水を弾いてしまって……。
髪を洗うというより……シャンプーの液を、頭皮に直接ぐりぐり練り込んでいるみたいだった。
これで……ちゃんと、洗えているのだろうか……?!
その代わり、水切れが良い……。
むしろ、良すぎる。
手で擦っただけで、水滴が弾け飛んでいく……。
「……ふぅぅぅぅ」
また、シャワーユニットのドアをわずかに開けて……。
バスタオルを、中に引き込む。
隣の部屋から、三善さんの掃除機の音が響いている……。
濡れた身体をタオルで拭く。
それから……。
頭をぐるりとタオルで一周拭いたら……。
もう、それだけで……すっかり乾いている。
何て便利なんだ……一分刈り。
続いて……着替えの服を引っ張り入れて……。
もあんと湿気のあるユニットの中で……服を着る。
「……よいしょっと」
ユニットの外に出ると……。
ちょうど、三善さんも……掃除機を掛け終わったところだった。
うちのボロ掃除機が……プシュルルンシュルンと、音を立てて停止する……。
「あれ……恵介くん、もう出たの?」
額の汗を拭いながら……三善さんが、オレに言った。
「……はい。ザッと毛を洗い流しただけですから……」
そんなシャワー上がりのオレを見て、彼女は……。
「いいなあ……あたしも、シャワー浴びようかな……」
……うへっ?!
「……と、言いたい気分なんだけれど……そろそろ、帰らないと」
三善さんはそう言って……腕時計を見た。
彼女は、赤い革のバンドの腕時計をしていた。
多分……高価な物なんだろう。
「あたし……『今日は、7時前には帰宅します』って、言って来たから」
……そうだった。
彼女は今日……『習い事』を休んで来てくれたんだっけ……。
「……ここから三善さんの家は、どれくらい掛かるんです?」
何となく、聞いてみたくなった。
「うんと……1時間ちょっとかな?」
「……どの辺なんですか?」
「青山よ」
……青山って。
渋谷の方だっけ……。
行ったことないし……よく判らないけれど。
「1時間も掛かるんなら……そろそろ出た方がいいですね。駅まで送ります……!」
オレは……財布と鍵を持って、出掛ける支度をする。
「うん……そうね」
三善さんも……ハサミやらバリカンやらを、通学カバンにしまった……。
「……バァちゃん、ちょっと出てくるね」
遺影に向かって、そう話し掛ける。
「……ちゃんと、お祖母様にご挨拶してから家を出るのね」
三善さんが、オレに微笑む……。
「……骨になっても、バァちゃんは、オレのバァちゃんだから……!」
オレの中では……バァちゃんは死んでない。
骨になっても……。
ここから……オレを見ていてくれている……。
「……お祖母様、お邪魔しました……また参ります」
三善さんも……バァちゃんに、手を合わせてくれた。
……良い人だ…この人は。
純真で……天真爛漫で……。
邪心の無い……本当の『お嬢様』……。
悪い人では……ないよな……。
◇ ◇ ◇
二人で……夕方の街を歩いた。
剃り上がったばかりの坊主頭が、風に晒される。
うん……これはこれで……まあ、涼しくていいかもな。
そうでも思わないと、やっていられない。
……駅までの道。
三善さんは、あんまり喋らなかった。
……何か考え事をしているらしい。
だから……オレも、黙って歩く。
「……あ、ここでいいわ」
駅の前で、三善さんが言った。
「……恵介くんは、夕飯のお買い物とかあるんでしょ?」
三善さんが、駅前のスーパーを見る。
「あ……はい、まあ」
せっかくだから……何か買って帰るか……。
「……今夜のご飯の予定は?」
三善さんが、笑ってオレに尋ねる。
「……えっと……じゃあ、スーパーで適当に何かお総菜でも買って……後は、また豆腐かな」
……嘘だ。
スーパーの総菜を買うほど、金持ちじゃない……。
買うのは、豆腐だけ……。
うん……今晩は、豆腐一つで充分だな……。
「……成長期なんだから、ちゃんとした物を食べないとダメよ」
三善さんが、心配そうにそう言ってくれる……。
「あ……オレ、一人の生活になってから、あんまりお米を炊かなくなったんです……何か、面倒で」
適当なことを言って……オレは誤魔化す。
米を炊かなくなったのは、本当だけど……。
「……もしかして、ご飯代も節約しているの?」
あ……気付かれた。
「まあ……ちょっとは」
「そうね……一回の食事代が1000円だとすると、一日3000円……月になると12万円を越えるのね……確かに、養育費が毎月七万円じゃ厳しすぎるわよね……」
三善さんの世界では……ご飯代に1000円とか掛けられるんだ……。
オレ……1日500円とかで生活しているけれど……。
休みの日とかは、1日1食だし……。
「……そうだ!今度、お姉ちゃんがご飯作りに行ってあげるねっ!」
三善さんは、明るくそう言う。
……だけど。
オレは、その言葉を受け入れてもいいのだろうか……?
「……そうですね。じゃあ…そのうち、お願いします」
とりあえず……あいまいな返事をしておく。
「うん、そうしましょうね。あ……そうだ!」
三善さんは、通学バッグのポケットから、自分の赤い携帯電話を取り出した……。
「……恵介くんの写真……1枚撮ってもいい?」
……え?
「お姉ちゃんが丸刈りにしちゃった恵介くんの姿を……記念に残しておきたいのよ!」
三善さんは、ニコニコと笑っている……。
「……じゃ、どうぞ」
「うん……じゃ、撮るねっ!」
携帯電話が……カシャリと音を立てる。
「……見て見て……ほらっ!」
三善さんが、オレに液晶の画面を向ける。
……ああ。
オレの貧相な顔が……。
情けなく映っている……!
「……あ、あの」
オレは……勇気を出して言ってみる。
「オレも……三善さんの写真、撮ってもいいですか?」
三善さんに貰ったばかりの……青い携帯電話をオレは取り出す。
……すると。
三善さんは……明るく答えた。
「……ダメぇ!」
えええーっ!!!
……な、何でぇぇ?!!!
「……だって、恥ずかしいもんっ!」
あっ……そうですか……。
「……ウッソ、うそ、うーそ……そんな悲しそうな顔しないでよ。もう、ホントに可愛いなあ……恵介くんは!」
……か、可愛い…!
……それ……中三男子には、非常に不適切な『形容詞』だと思うんだけど……!
「……写真を撮ってもいいけれど……一つだけ条件がありますっ!」
三善さんが……ニンマリとオレに微笑む。
「な……何ですか?」
さて……何を要求されるのやら……。
そしたら……三善さんは……!
「恵介くん……そろそろ…あたしのことを『三善さん』て呼ぶのは止めましょうっ!」
……はい?!
「……『お姉ちゃん』て、呼んでみない…?!」
うちの母は私が子供の頃……「散髪代がもったいない」と、私の髪を切ってくれました。
というか……やってみたかったんだろうな……。
でも……髪を梳くという技術を知らない母によって……。
私の髪は、いつも……のび太くん状態でした。
まるで黒いヘルメットを被っているかのような……。
バリカンもやられたことがあります。
母は、絶対に毛を巻き込むので、すんげぇ痛かったです。
まあ、そのうち飽きたみたいですが……。
小学校、低学年の頃の話です……。
では、続きはまた明日……。