十一.まくあい(その1)
……「ハッ!」と眼を覚ましたら。
弁慶役(推測……何か、そんな様な衣装を着ている)の俳優さんが……変なチョコマカした動きで花道をピョコタン、ピョコタン飛び跳ねながら逆走して行くところだった。
耳のイヤホンガイドが……「見事な飛び六方」とか言っているけれど。
とにかく……観客のみなさんは、盛大に拍手をしている???!
そのまま……弁慶が花道の奥に消えて……。
音楽が止み……拍子木がチョンッ!と鳴る。
……と。
すぐに、客席の灯りが明るくなってきて……。
舞台脇の壁の上に……『休憩・三〇分』の表示が光った…!
……も、もしや、これって。
……『勧進帳』、終わった?!
もう、全部終わりなの……?!
……え。
オレ……ほとんど眠てたぞ…!!!
ふと横を見ると……綾女さんと眼が合う。
……ジトッと、冷たい視線。
「……寝てた」
……ええっと。
『特別席』に座らせて貰ってるというのに……。
はい……寝ていました。
「あの……ごめんなさい」
何か、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
高価な席なのに……オレは。
「……いいのよ。恵ちゃんは、初めてなんだから」
愛美さんも……オレが居眠りしていたことに気付いていたらしい。
「すみません……せっかくのチケット、無駄にしてしまって」
……うん。
来なければよかったな。
……歌舞伎なんて。
「何言ってるの、恵ちゃん……まだ、後、二本もあるんだからねっ……!」
……え?!
……後、に、二本―?!
「……歌舞伎の公演は、大体、三本立てか四本立てなのよ。今日は三本よ」
加奈子さんが、クスクスと笑う……。
はぁ……こんなのが……。
まだ後……二本もあるんだ……!
た、耐えきれるのか……オレ。
「……終演は、九時過ぎになるから」
綾女さんが……さらりと言った。
く……九時過ぎ?
……ええっ?!
……そんなに掛かるの?
だって……開演したの、四時半だろ?!
四時半から……九時過ぎまでって……。
……四時間半。
……嘘だろう。
……長すぎるよ……!
「……恵ちゃん、お腹空いてる?ご飯は次の休憩の時だから、もうちょっとだけ我慢しててねっ……!」
……ああ。
晩ご飯も、劇場の中で食べるんだ。
そっか……終わるの九時過ぎだもんな……。
……やばい。
ご飯代とか、どうなるんだろう……。
2000円で足りるのか……?!
「……何か、飲み物でも買ってくるわ。恵ちゃん、コーヒーでいい?!」
「……あ、それならオレが行ってきますよ」
愛美さんに買ってきてもらうのは……悪いと思った。
この場では、オレが一番年下だし……男だし。
せめて、使い走りぐらいはしないと……。
「……いいからっ!恵ちゃんは、ここで待ってて!」
愛美さんは、強い声でそう言う。
……え、何で?
と……思った瞬間!
綾女さんが……スッと立ち上がる。
「……わたしが、愛美と一緒に行くから」
……いや、あの。
「お……オレが行きますって」
「……わたしに任せなさい」
……綾女さんの眼が、冷たくオレを見下ろす。
座席に座っているオレと……立っている綾女さん。
綾女さんは、とっても背が高いから……威圧感がある。
「わ……判りました」
綾女さんは、オレを無視して……愛美さんに。
「……行こう、愛美」
「……じゃあね、恵ちゃん!」
席を離れて行く二人……。
……ええっと。
綾女さん……トイレにでも行きたかったのだろうか?
……あれ。
……気付くと。
その場に取り残されたのは……オレと加奈子さん……。
黙って、公演のパンフレットを読んでいた加奈子さんが……やんわりと顔を上げる……!
「……恵介さん……ちょっとよろしいかしら?」
……え?!
……オレに。
……何か、お話ですか?!
「あ……はい」
オレが返事すると……。
加奈子さんは、オレの隣の座席へスッと移って来る。
肉感的な身体が……接近する。
加奈子さんは、香水でも付けているのだろうか……?!
愛美さんとは違う……甘い良い匂いがした。
そのまま彼女は、オレにニッコリと微笑んで……。
オレの眼を……真っ直ぐ見る。
「……な……何ですか?」
こんな艶やかな美人に見つめられると……。
……笑顔でも何か怖い。
ドキマギする。
「あなた……犬を飼ったことはあるかしら?」
……犬???
「いえ……無いですけど…?」
オレは……ずっと、あのボロ・アパートで暮らしている。
ペットなんて……飼えるはずがない。
犬の餌代以前に、人間の食事代に困っていたんだから……。
「あたしはあるわ……今もね、家でゴールデン・レトリバーを飼っているの。『ハル王子』と『ホットスパー』という名前でね……とっても、可愛いのよ」
はあ……家が広いんだろうな。
映画スターのお嬢さんだし。
庭に芝生とかが生えていて……犬が跳ね回る。
そんな感じなんだろうな……。
「もっとも……あたしの犬が可愛いと思っているのは、あたしだけなのかもしれないけれど……!」
加奈子さんは……不思議なことを言った。
「え……加奈子さんの家で飼っている犬つて、そんなに凶暴なんですか……?」
オレの質問に……加奈子さんは、笑い出す。
「違うわよ……そういう意味で言ったんじゃないの……」
……じゃあ。
どういう意味で……?
「自分の飼い犬はね……他人のおうちの飼い犬よりも、格別に可愛く感じられるものなの……!」
……はい?!
「……それがどうしてなのか、恵介さん判る……?!」
……そんなこと言われたって。
オレ……犬を飼ったことはないし……。
「……いえ」
加奈子さんは……真剣な眼で、オレを見る。
「……自分の犬が、他の犬よりも可愛らしく思えるのは……それが、『自分の犬』だからよ……!」
……自分の……犬。
「……『自分の物だ』って気持ちがあるから……他の犬よりも『特別なものだ』って気持ちになるのね。……ちょっとした、錯覚みたいなものよ」
……錯覚。
「……愛美ちゃんが、あなたを大切に思ってるのも……それと同じよ……!」
……加奈子さん?!
「……『自分の弟』だから。ただそれだけの気持ちで……今は、あなたのことが可愛いくて仕方がないのよ……彼女!」
……この人は……判っている。
オレと愛美さんの間の……。
深い溝の存在を……。
「はい……それは、確かにそうだと思います」
オレは……そう答えるしか無かった。
「そうよ……だからあなたは、絶対に勘違いしてはダメよ……」
「……はい」
……そうだよな。
あんな素敵な人が……オレみたいな人間を、好きになってくれるはずがない……!
今のあの人はただ……。
突然現れた『自分の弟』という存在に、気持ちが高揚しているだけだ……。
……いずれ。
オレが、何の価値も無いつまらない人間だということが判れば……離れていく。
いや……オレみたいな人間とは、離れなくてはいけない人だ。
オレと関わることは……。
あの人の人生にとって、無駄なだけだから……。
「でもね……恵介さん。愛美ちゃんという人間について……これだけは、はっきり知っておいて欲しいの……!」
加奈子さんの顔から……完全に、微笑みが消えた……!
「愛美ちゃんはね……一度受け入れた相手なら、例え飼い犬のためであっても、平気で命を投げ捨てることのできる強い子よ。だから……あの子が今後、あなたを見捨てるようなことは絶対に無いわ……!」
……加奈子さん?!
「だから……あなたも、絶対に愛美ちゃんの気持ちを裏切ったりはしないでね。もし、あなたが、愛美ちゃんを傷つけるようなことをしたら……わたしは、あなたを決して許さないわ……!」
この人は……本当に、愛美さんの親友なんだ……!
幼なじみの親友……。
本当に……愛美さんのことを、心配しているんだ……。
「わたしはね……一生、愛美ちゃんの親友でいるつもりなの。どんなことかあっても……わたしだけは、絶対にあの子の側から離れない。そう、心に決めているの……!」
加奈子さんの言葉が……オレの心に突き刺さる……!
加奈子さんが……周囲を見回す。
愛美さんたちは……まだ戻って来ない……。
「いい機会だから……恵介さんにお話しておくわ」
加奈子さんが……低い声で言った。
「……愛美ちゃんは、普通の人たとは違うの。家の伝統を継ぐという大変な重責を背負っているのよ……!」
……普通じゃない?
「普通の家の子は……日舞の発表会のためだけに、同じ歌舞伎の舞台の踊りを十七回も観ないわよ……!」
……それって!
愛美さんは……ただのお金持ちの歌舞伎好きではないってこと……?!
「あの……もしかして、愛美さんのお祖母さんて、日本舞踊の世界とかでは……何か、特別に偉い人とかなんですか……?」
もう……この際だから、聞きたいことは全て質問してしまうことにする。
加奈子さん……何でも、教えてくれそうだし。
「恵介さん……わたしたちの日本舞踊の流派は『紺碧流』っていうんだけど……!」
うん……さっき『踊りの時の名前』とかで話していた。
愛美さんが……『紺碧桜子』で、お祖母さんが『紺碧撫子』だっけ?
「……『紺碧流』のことって、幾らかは知っている?」
……えっと。
正直……オレは、日本舞踊の流派のことなんて全然知らない。
全く、興味も無いし……。
ただ……。
「あの……あれですよね……。よく、町中で看板を見掛けます……『紺碧流・日舞教室』とか『紺碧流・日本舞踊教習所』みたいなのを……」
加奈子さんが、ニコッと微笑む……。
「『紺碧流は』……日舞の世界では、日本で二番目に大きい流派なの……」
へえ……そうなんだ。
「……愛美ちゃんのお祖母様……撫子先生は、その『紺碧流』の現在の家元様よ……!」
……イエモト?!
「……イエモトって、何ですか?」
加奈子さんは……ちょっと、「困ったな」という顔をする……。
「その流派の代表者で……全体を束ねる人よ。一門の一番上にいらっしゃる方……!」
……つまり、日本で二番目に大きい日本舞踊の流派の……ボス?!
それって。
すっげぇ……偉いってことなんじゃないのか……?!!!
「……あたしの知る限り……撫子先生は、今、日本で一番の日本舞踊家よ。次の『人間国宝』の候補に挙がっているっていうお方だから……!」
人間なのに……国宝!
そんなに、凄い人なんだ!!
ってことは……!
「……もしかして、愛美さんは?」
「そう……一門の中では、同世代のトップね。あの子が次の『家元』になるだろうって、期待している人も多いわ。愛美ちゃんには、それだけの実力と才能があるのよ……!」
将来は……『紺碧流』の家元にならないといけないから……。
だから、愛美さん……。
「今は、日舞だけに集中している」って言ってたんだ……。
日舞の稽古に、あんなに熱心に取り組んで……。
「あの子が、同じ歌舞伎の舞台を何度も観るというのも……勉強の一つなの。日本舞踊と歌舞伎は、絶対に切れない間柄だから。……観劇も家元を目指すための修行なのよ……!」
……愛美さん。
……ますます、オレからは『遠い人』になっていく……。
「……なんか、とっても大変そうですね」
オレには……手の届かない世界の人……。
「仕方ないわよ……それが、家元の血筋に生まれた人間の宿命なのよ……!」
愛美さんは……「日舞が好き」とは考えたことは、一度も無いと言っていた。
生まれてからずっと……踊ることが、当たり前になっていただけだと……。
「……いずれにせよ……あの子は、必ず次の時代の紺碧流を背負って立つ存在になるわ……!いいえ、あたしたちが絶対にそうするわ!」
……加奈子さん。
そうだ……この人も、『紺碧流』の……愛美さんのお婆さんの弟子なんだっけ。
「愛美ちゃんが『家元』になることが……わたしの夢なの……!」
加奈子さんは……そう言った。
……愛美さん。
十代半ばにして……すでに、多くの人たちの期待を背負っている。
……進むべき道が示されている―。
そんな人生……オレには、想像できない。
「あら……恵介さん。あなた、全然判っていないみたいね……!」
加奈子さんが、オレを見る……。
「……はい?」
な、何です……?!
「あなたも……その宿命の星の下に生まれた一人なのよ!」
……オレが?!
「……自分には、関係の無いことだって思っているの?」
「いや……だって、本当にオレには関係ないことですし……!」
……うん。
オレは……ただの貧乏人だ。
日舞も家元家も……。
オレには関係無い……!!!
「恵介くん……残念だけどね。『自分の親が誰なのか』、『誰と血筋が繋がっているのか』っていうことは、永遠に子供の人生に付きまとうのよ……!」
その加奈子さんの言葉には……重みがあった。
……そうだ。
この人だって……『ヤクザ俳優・洞口文弥の娘』だ。
血筋の重さは……よく理解しているのだろう。
「あなたと愛美さんは、お父様が同じ……その事実からは逃れられないわ……!」
……それって?!
「……加奈子さんは……オレの父親のこと、知っているんですか?!」
オレの父親も……。
『紺碧流』の家元家に関係しているのか……?!
いや……そうだろう。
愛美さんは……父方の祖父母の家に暮らしていると言っていた……。
その家が紺碧流の家元の家なら……。
愛美さんの父親は……家元の息子だ。
「もちろん……わたしはよく存じ上げているわ。わたしは愛美ちゃんとは、幼稚園の時からの親友だもの……!」
「オレの父親って……どんな人です?!」
……思い切って、聞いてみた。
だけど……加奈子さんは……。
「それは……今ここで、わたしが話すべきではないと思うわ」
「……どうしてです?」
加奈子さんは、オレの眼を見て……答えた。
「お父様のことについては……いずれ愛美ちゃんが、恵介さんにきちんとお話すると思うのよ。その前に……わたしが勝手に話してしまうのは、いけないことだとと思うわ……」
……そうか。
……そうですよな。
これは……家の問題だもんな。
「ただ、一つだけ言うとね……愛美ちゃんのお父様は、そんなに日舞がお上手じゃないのよ。下手ではないのよ……プロとしては充分な技量をお持ちなんだけど……将来の家元に相応しいというような評価は得ていないの」
うん……日本舞踊家としてはプロで、人に教えたりして生活しているんだな。
でも……家元に選ばれるほどは、上手ではない……。
「だから……愛美さんに期待が集まるのよ……!」
「え……どうしてです?」
「お父様の評価がそんなだから……生まれ付き踊りの才能のある愛美さんに、『お父様を飛び越して、次の家元に』って期待している人が多いのよ……圧力と言っても、いいほどよ。期待して下さるのはいいけれど……はっきり言って、迷惑なことも多いわ……!」
……そうなんだ!
「踊りの家に生まれるとね……色々な思惑を抱えた人たちに取り囲まれてしまうのよ。例えば……山辺清香さん。あの人は、相当の野心家よ!」
……清香さん?!
オレは……さっきの車を運転していた清香さんの姿を思い出す。
背が高くてスラッとしていて……優しそうなお姉さんにしか見えなかったけれど……。
「清香さんだって……ただ『もっと日舞が上手くなりたい』という理由だけで、撫子先生の内弟子になったんじゃないのよ……」
他に……理由がある?
「清香さんは……いずれ、内弟子から撫子先生の側近になって、家元家の信頼を勝ち得て……いずれ愛美ちゃんが家元を継いだ時に、一門の中での高い地位に就くことを狙っているのよ……!」
……ああ。
……そういう裏があるんだ。
「……清香さんは、それに人生を賭けているの。本当にギャンブルよ。何十年も側近の弟子として仕えたとしても……愛美ちゃんが家元になれなかったなら、清香さんの苦労は全て水の泡になってしまうわ……!」
……え?!
「あの……愛美さんが、家元になれない可能性もあるんですか?」
加奈子さんは、悲しそうに笑った……。
「ええ……。撫子先生は……現在の家元でも、ご高齢でいらっしゃるし。もし、愛美ちゃんが成人する前にお倒れにでもなられたら……すぐに愛美ちゃんを次の家元に推薦する人は少ないと思うわ……」
「……年齢が若すぎるってことですか?」
「そうよ。誰が家元を継ぐかには、色々な人の思惑が絡むし……家元家に対して、嫉妬している人もいるしね。日舞の世界は、女性が多いから……」
「もし……愛美さんが家元になれなかったとしたら……どうなるんです?」
「そうね……その時は、愛美さんの叔父様か叔母様か……あるいは従兄姉のどなたかが、家元を継ぐことになるんでしょうね。踊りは愛美さんより上手くないとしても……年齢が達しているということで……」
「……愛美さんは、どうなります?」
「その家元がお元気な間は……もちろん、家元にはなれないわ。そして、何十年か経って……次の家元を選ぶことになった時は、前の家元の子供たちと後継を争うことになるでしょうね……それで、愛美ちゃんが、その次の家元に選ばれるかもしれないし……あるいは、一生なれないかもしれない……!」
そんな世界に……愛美さんは、生きている。
「でも……現在は、愛美ちゃんが次の家元候補のナンバーワンよ。それは本当。一門の誰もが、愛美ちゃんの才能を認めているわ。だから、清香さんみたいに……内弟子になってまで食い込もうとする人が現れるの……」
……うん。
だいたいの感じは、判った。
「ところがね……内弟子なんかよりも、もっと良い方法があるのよ。撫子先生や、愛美ちゃんに上手く取り入る……馬鹿みたいに簡単な方法がね……!」
……そんな方法があるんだ。
「……それはね」
加奈子さんが……オレを見る。
「恵介さん……あなたと結婚するっていう作戦よっ!」
……ええっ?!
「こういう世界ではね……やっぱり血筋が重要なのよ。あなたと結婚すれば……その人は、紺碧流の家元家の血縁者でしょ?内弟子を何年も勤めて、幹部に昇格するより……よっぽど手軽に紺碧流の上層部に入り込めるわ……!」
……そ、そんな!!!
「でも……オレはただの隠し子ですよ。オレのことなんか……紺碧流の人は、誰も知らないだろうし……」
「今は……でしょ!」
加奈子さんは……言った。
「すぐに広まるわ……みんな情報を察知するのは早いから……」
……でも。
「隠し子だろうと何だろうと……家元の血筋の人間に代わりはないわ。むしろ、『困った存在』であるあなたを引き取ることで、家元の家に恩を売ることだってできるわ……!」
……恩を売る!
「ええ。恵介くんの結婚相手……それと、その一族に対して、撫子先生や愛美ちゃんが重用するのは当然よ。撫子先生は……とても義理堅い方だから……!」
オレ……そんなんで、誰かの家に引き取られて、結婚して……。
なのに……愛美さんのお婆さんは、オレの結婚した相手の一族にずっと気を遣っていかないとならない……?!
……なんじゃ、そりゃ!
「恵介さん……あなた、これから大変よ。あなたが……愛美ちゃんがとっても大切にしている彼女の『弟』だって知れたら……全国の紺碧流のお弟子さんたちが、お金や物で次々に誘惑してくるわよ!恵介さんは、それに耐えられるかしら……?」
それが……愛美さんの『弟』になるということ?
愛美さんの『弟』になったら……そんな事態に飛び込まないといけない……!
そして……愛美さんたちに、迷惑を掛ける……。
「それでねえ……恵介さん。わたし、一つ、提案があるんだけど……!」
加奈子さんは……思わせぶりに「うふふ」と微笑んだ。
「これは本当に……『何が愛美ちゃんにとって一番最善か』を考えて、あたしが出した結論なんだけどね……!」
加奈子さんの天使のような顔が……妖しく微笑む。
「あなた……わたしと結婚しちゃわない?!」
……はい?!
……うえええええええーッッ???!!!
やっと、心理劇っぽくなってきました……。
さて、加奈子さんが絡んで、この先どうなるか……。
では、また明日。




