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ある日ある時ある場所で  作者: 七里
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ぷろろーぐ








ある日ある時ある場所で、行われたのは召喚の儀式。

喚ばれたのは一人の少女。


これは魔物による脅威が遥か過去の出来事となった世界に“勇者”として召喚されてしまった少女の、ごくごく平和で暢気、時々シリアスな日常の物語。






※※※






ぺたぺたぺたぺたぺた


何だかなぁ、と脱力するような理由で見知らぬ世界、いわゆる“異世界”に召喚されて早ひと月。新しい生活にも慣れ今日も今日とて日課である朝の散策から戻って来た莉奈は、綺麗に磨き抜かれた床を裸足で歩いていた。


ぺったぺったぺったたぺった


歩き回って火照った足の裏に触れる冷たい床の感触を楽しみながら進むこと暫し。だんだん楽しくなってきてリズムをとって軽快に歩く。次はスキップを交えつつ優雅に、最期はちょっぴり調子にのって全力疾走、そのまま勢いにのってジャンプ! くるりと前方宙返り。シュタッ!とかっこ良く着地を決めてにんまり自画自賛。


そんな事をしている内に辿り着いた目的地。自分の仮の主であり同居人である少年の部屋の扉を潜って再びにんまり。未だ熟睡中なのだろうベッドの上の膨らみに狙いを定める。気配を殺して壁際ギリギリまで下がり助走開始、勢いを付けてジャ―ンプ!


「ふぇぐッ!!」


狙い通り鳩尾に着地。おはようと元気よく挨拶すれば寝ぼけ眼の苦笑が返ってくる。


「おはよう、リィナ」


優しく頭を撫でられてちぎれんばかりに尻尾が揺れる。ハッハッハッと口から漏れるのは獣っぽい呼気。漆黒の毛皮に覆われた小さな体で行儀良くお座りしてもう一度元気良く朝の挨拶。


「きゃうん!きゃんきゃん(おはよう!フェルティ)」


すっかり馴染んだ獣語で発せられたそれに少年の瞳が柔らかく細められ、嬉しくなった莉奈は喜び全開で少年に跳び付いた。


これがこのひと月ですっかり定着したリィナこと旭莉奈【あさひ りな】の日常、一日の始まりである。








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