その1.神様仏様、黒竜さま(1)
作者初の異世界召還ものです。
おバカなヤンキー兄ちゃんが、なぜか幻獣でも最強の竜に変身して召還されてしまいます。
とにかく魔法なんてわかんねーわ、飛び方しらねーわ。
そんな中で、隣国とバトル突入っ!!!
どーなりますことやら・・・
「ぎゃあぁぁぁあー!!」
「うわあぁぁぁあっ!!!」
気が付いた途端、もの凄い絶叫にお出迎えされてしまった。って、なんなんだよっ、この騒ぎはっ!!
訳が解らず、俺は痛い頭をぐるりと回す。見えるものは、体育館の二階部分のような、西洋風のベランダのような、手すりにご大層な彫刻がごってごてについた、回り廊下。
……なんつーか、とっても、視界が高い。
ふつう、そういうベランダっつーか、回り廊下っつーもんは、首をぐいっと上げなけりゃ、見えねーもんじゃ?
なんで俺、ふつーの、頭真っすぐ位置でそいつが見えてんの? おまけにベランダ、とっても近いし?
それに、そこには、さっきのぎゃあぎゃあ言ってた奴らの姿が、ない。
てか、まだ、ぎゃー、とか、うわー、とか言ってんだけど、どうも下の方から聞こえる。
俺は頭を下げてみた。
どちんっ、とベランダに何かが激突。多分、頭をぶつけた、みたい。
けど、あんま痛くねーし。しかも、どちんっ、って、なんか金属音みたいだし。
なんなんだよーっ、と頭を掻こうと、腕を上げようとして。
びっくりっ!!!!
腕が短けーっ!! ってか、指が4本っ!! しかも、でっかくて鋭くて長い爪がにょっきり生えてっし!!
なにげに真っ黒だしーっ!!!!
どーしたんだよ俺?! 慌ててもう一方の腕も見る。
……おんなじだよな、やっぱ。
どゆこと? と俺がパニくってる下で、騒いでた連中が何やら今度は言い合いを始めた。
「だからっ!! 絶対ルシィが悪いんだよっ!!!」
「なんでだよっ!! 呪文書き込んだの、アレクじゃないっ!!! 僕のせいじゃないってばっ!!!」
「僕の呪文は完璧なのっ!!」
「じゃあ、なんでナーガじゃなくって、こんな大物が引っかかってきちゃうワケッ?! どっかで書き間違えたからでしょっ!!!」
「うっるせーっ!!!! きゃんきゃんきゃんきゃんっ、子犬かおまえらっ!!!」
俺は、そう叫んだつもりだった、が。 響いた声は、言葉じゃなかった。
「ウギャオオオオゥ!!! ギャギャギャギャァァァアッ!!!!」
どう聞いたって、モンスターの雄叫び。しかも、超デッカイ級の。
ショーボー(小学校)の終わり頃からグレた俺は、家でのんびりテレビゲームなんてやったこと、ない。だから、モンスターだの、魔法だのってのは、幼馴染みのゲーム好きの翼からしか聞いたことがなかった。
でも、今、俺が聞いた、ってか、発した声は、多分、ぜってー、テレビゲームのモンスターの雄叫びだ。
俺もおっどろいて腰抜かしそうになったけど、下のキャンキャン連中も、もっとびっくりしたみたいだ。黙った。
俺は、今度こそちゃんと下を見た。
俺の真下に、やっぱ子犬っぽいガキが二匹、顔を引き攣らせて立っていた。
両方とも、白っぽい真っすぐな髪を、チ○○ルコちゃんみたいな髪型に切っている。
長ったらしいガクランみたいな上着を着て、木の棒を持っていた。
どー見ても、西洋人? しかも、ガッコの歴史の教科書に、似顔絵で乗ってそうな奴ら。
「…………ウ?」
ほんとに、どーなってんの?
俺は、抱えられないけど、取り敢えず両腕を上げて、頭を抱えようとする。
「……竜が、頭抱えてるよ、ルシィ」子犬の片方が、呟いた。
ちょっと待て、その呟き。
竜、だって? 誰が?
竜っつったらアレだろう、あの、背中にコウモリみたいな羽根生やした、デッカイ角つけた、翼言うところの最強モンスター。
それくらい、俺でも知ってる。
でも、それが俺だって?
どーしてっ?!
俺はただの、じゃない、県立吉田高校1年、安曇一輝。喧嘩上等のバリヤンキーだっ。 この状況になる前は、確か、えーと……。
そうだっ!!! 兄貴が現場で事故ったんだっ!!! ガッコにたまたま(?)居た俺は、センコーに職員室まで呼び出されて、また説教かよーって思いながら嫌々行ったら、電話出ろって言われて。何だろって出たら、病院の人から、兄貴の事故を聞かされた。
慌ててガッコを飛び出して、兄貴が運ばれたっていう、そんなに遠くない市立病院まで全力疾走していた最中で――
軽トラに跳ねられた。
思いっ切りぶっ飛ばされて、頭をビルのコンクリに、景気良くぶつけたらしいのは覚えてる。
……で、ふつーなら、気絶した俺が次に目を開ければ、病院のベッドの上、なはずじゃんよ。
なんで、気が付いたら竜になってるわけ?
っていうか、俺こんなとこでのんびり記憶辿ってる場合じゃねーしっ!!! 竜はどうでもいいっ!! 兄貴の怪我っ!! そっちのが大事っ!!!
早く病院に行かなきゃーーっ!!
始まってしまいましたーー
結構思い付きで、突っ走って書いてしまいました(汗)ので、更新はめっちゃ遅いと思います。
(なにせ、まだこの1話しか、原稿上がっておりませんので^^;)
こんな遅筆ですが、よろしかったら気長にお付き合い下され。
あ、眼鏡っ娘魔女は、多分2話以降に登場となる、予定です。
調子が良ければ、来週辺り2話目が、掲載出来る、かな〜〜