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 アフリカ大陸のとある地。

 猛獣の密漁実態の取材にきた日本人ジャーナリスト二名と、彼らを案内する現地人。それに通訳の四人がサバンナ草原を車で移動していた。

 一頭のオスライオンと数頭のメスライオンが昼寝をしている様子が近くで見られる。現地人が通訳を介して説明を始めた。

「あのオスライオンと端にいるメスライオンの親は、十年前に非合法な密猟組織に導かれた日本人に撃たれたんですよ」

「そんな前の話……。最近の話でないと記事としては価値がないんですけどねえ」

「でもね。その猛獣狩りが趣味という日本人。いつも家族でやってきては結構な数のライオンを撃ち殺してましてね。あそこの親ライオンをオスメス両方しとめたときなんか、家族そろって歓喜してましたね」

「だから、そんな昔の話はいいよ」

「いやいや、聞いてくださいよ。続きがあるんです。その日本人ですがね。全部剥製にして持ち帰り、日本国内の政治家やら、官僚にばらまいているようなんですよ。それって、スキャンダルとしては面白くないですか?」

「ああ。いいネタだけど、相手が悪いや。大物政治家だったりしたら、こっちの首が飛ぶからね」


 若いジャーナリストはそれを聞いて言った。

「念のため当たってみましょうよ。ここまで来て収穫なし、は嫌ですよ」

「その日本人の名前とかわかりますか?」

 現地人は急に顔色が良くなった。

「もちろんですよ。ニホンの有名な企業。というか、世界のトップ企業の経営者ですからね」

「どこの誰ですか?」


「ミスターハナガタという男です。マンタロ・ハナガタ」


 サバンナの夕日は特大サイズである……。


 昼間あれだけぎらぎらと地面を照りつけていた太陽も、今や陽炎の向こうに揺れている。

そして、まもなくそれは地平線に沈み、辺りは一斉に夜を迎えるのである。


<こころの絆> 完

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