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ロボット人形は華絵の横に手をついて四つん這いになった。そして……。
そして突然、破れかけたお尻を振りだした。
――!! ええ? サバンニャ? ピロミクン。あなたどうしてサバンニャの癖を知っているの?
――そっ、それとも……。あなた自身、サ・バ・ン・ニャ!?
「サバンニャ!!」華絵は思わず大声で叫んだ。
ロボット人形の顔は打って変わって歓喜の表情になった。それは明らかに『生きているもの』の表情だった。
華絵はロボット人形の腕を掴み、彼を引き寄せ抱きかかえ、そして熱い口づけを交わした。ロボット人形の目からは涙がどんどんと流れ出てくる。どんどんと人間のような表情が表れてくる……。華絵はそこにこころが存在していることをはっきりと認識した。
ついに、ロボット人形は『みゃあみゃあ』と嬉しそうに鳴き出した。
華絵も、かつてサバンニャと遊んだ時のように、みゃあみゃあと鳴いてお尻を左右に振る。
鳴き合う、いえ、泣き合う華絵とサバンニャ。
――私に会いにきてくれたのね?
サバンニャに表情が表れてくるのに反比例するように、なぜか華絵の意識が薄れていった。
そしてついに華絵はその場にぺたりと床にうつ伏せになり、動かなくなった。
「大丈夫ですか?」の執事長の声が華絵の耳に遠くの方から聞こえる。
そして空気がとまった。