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ライブ会場追放から始まる、柊死音の自殺計画 〜推しが押しかけて来て死ねません!  作者: 八ッ坂千鶴


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第1話 ライブ会場追放からの即日結婚

『令嬢暗殺者』のプロット組み直し期間中作品です!


『令嬢暗殺者』は目次と各話最後にリンクを貼っています。

 (ひいらぎ)死音(しおん)。18歳。旧姓池田。女子高校卒業前に告白されて、卒業後すぐに結婚。思ったよりもトントン拍子で、正直困ってしまった。


 そんな相手は私の推しで超絶イケメン。長身でスラッとした細身。髪は綺麗なコバルトブルー。もう私にとって伝説級の最推し。


 圧倒的。いや神級超絶不運な私でよかったの? いや、多分今はだった(・・・)で済むんだろうけど……。


 現実味が無さすぎてこの時点で死にかけ中です……! 現在進行形真っ只中で……!


 私の不幸が原因で両親は亡くなってしまったけど、そんな私でも結婚できて今は姓が変わっている。


「死音。なんかごめんな……俺に付き合わせちまって……」


「だ、だい……」


「もしや、まだ惚れてんのか?」


 彼はめちゃくちゃ押しが強い。なんていうか……。ボサボサ髪の私を推しているような……。いや、付き合う前に『推してる』って言ってた気がする……。


 こうなったのは数ヶ月前のライブでのこと。推し活のため会場に乗り込んだ私は、カメラ片手に一般配信をしていたのだが……。




 ――――――――――――――――




 普段私はネガティブ配信をしていた。ネガティブ度にだけは自信がある。どれもトンデモ事件系で、毎回トラブルに遭う配信。


 この前だって、私が普通に街を歩いているだけの散歩配信をしたけど、上空から看板が落ちてきて下敷きになりかけた。


 その後ネガティブモードMAXで泣きながら帰ったけど、たったそれだけで1万回再生も獲得。私の不幸を見て何が嬉しいのかさっぱりわからない。


 だけど、この日だけは違った。違うはずだった。『今日だけポジティブ配信』として明るくいようと思える特別な日。


 それなのに……。


「池田死音さんですね……。ふむ……許可済み配信者に名前がないですね……」


「な、名前……。わわ、私……ちゃんと許可……」


「ないったらないんですよ。会場から出て、私たちに同行してください」


 え? なにそれどういうこと? 私ちゃんと正規ルートでチケット取ったよね? 普段ネガティブな私だけど、今日だけ全力ではしゃげると思ったのに……。


 こうなったら逃げる。逃げるしかない。今現在私がいる階は2階。そこから飛び降りよう。


 手すりに足をかけて、落下。骨折するかと思ったが、何故か軽く浮かび綺麗に着地。だけど、警備員は1階にもいて……。


「そこまでにしなさい! 逮捕しますよ!」


 なんでこうなったのぉーーー!!!!


 そうして、ライブ会場から追放され何も反論できず、出禁にされてしまった。


 今回のライブは、絶賛人気上昇中の8人組男性アイドルグループ『アイシス・ラグナロク』の一般配信OKスペシャルライブ。


 もちろん、私も配信許可チケットを購入し中に入った。なのに私の名前が一覧に載ってなかった。ほんとどうなってるの?


 その後は要注意リスト入りをして、他の会場でも出入り禁止。私のアカウントでのチケット購入不可。


 しかも顔まで撮られて、顔認証ブロックしてるから他人のアカウントで購入したチケットすら使えない。


 私の推し活終了! 人生残念賞……。不運すぎる自分お疲れ様でした――。ってことで、死にまーす……。


 っと、猛ダッシュで橋のど真ん中に立って、欄干に飛び乗って、何も考えずに急降下……。これで大人しく短い一生を終えられる……が!


『――飛べ!』


「ッ!?」


 直後。地面ギリギリのところで私の身体が止まった。そのまま急上昇し、橋の上へ回収されて……。


「せっかく俺が許可出したってのに、なんで出禁になってんだよ!」


「ふぇ?」


 いや顔近いって……圧ヤバいって……! っと、だんだんズームアウトしていく私の救世主。


 パチクリと瞬きしていく中鮮明になっていく輪郭は、なんと『アイシス・ラグナロク』不動のセンター(ひいらぎ)寿(ことぶき)だった。


 いや性格は別として、ビジュ半端ない。まるで絵に描いたような、黄金比級の顔。そして、超高身長。


「なな……。なんで寿王子が……?」


「なーにが寿王子だ。今の俺はただの一般人。さっきのライブ。欠席したから……」


 け、欠席……。


「今日配信する予定だったんだろ? 『池田死音のネガティブ配信 今日だけポジティブデイ』」


「な、なんで……わ、私……のを」


「お前は俺の推し(・・)なんだよ。だから成功して欲しかった。影が超絶薄いお前が、全力でアピールしまくる瞬間をな」


 どうしてそこまで知ってるの。たしかに私は青信号で歩いても車に轢かれそうになるくらい薄いけど……。


 いやこれ事実なんです。あの時もふわりと身体が浮かんで救われたっけ?


「でもこの感覚、前と似ている気が……」


「ん?」


「その……マンホールに落ちそうになったり、弾き飛ばさ……」


「それ全部俺がアシストした」


「え、えぇええええええええええ!!!!」


 永遠に近い救世主現る。そして最後に言われたのが……。


「お前まだ高校生だろ? たしか卒業は1ヶ月か2ヶ月後くらいか……。卒業したら俺と即日結婚しろ」


「ふぇ? でも寿王子には交際相手が……」


「それなら問題ない。さっき円満に別れた。あと寿王子はやめろ。普通に寿でいい」


 こうして現在に至る。アイドルとしてもトップクラスの美男子で、かっこいいところ満載の彼。


 非常に完璧主義者の彼は、私の家にきた途端部屋の片付けを開始した。掃除はお手の物と言うくらいの速度で約1時間。


 こんなに広かったのかと思えるほど整理整頓されていた時は、びっくりしたのと同時に嬉しさがあった。


 本当にここで生活するんだと思って絶賛ドキドキ中の私。


 すると寿が『新しい我が家だー』と言いながら、リビングにある私のソファーの上で大の字になった。


 というか、ここ私の実家なんですけど……! 両親いない中で実家生活していて、ある意味で不法侵入されたんですけど……!


 まあ、入籍済みだから関係ないんだけど……。それ以前に私のポテチどこいった! 買い置きポテチ・コンソメパンチ味超絶ビッグサイズお徳用セット!


「ん? 封が開いてなかったから、戸棚にしまっておいた」


 戸棚……。私はキッチンの戸棚を調べた。すると、巨大サイズのポテチ。それを引っ張り出して封を開け、寿への罰として上に乗っかる。


 しかし――。


「飛べ!」


「はわわ!」


 乗っかった途端私の身体が飛び上がり、床に不時着。持っていたポテチが床に散乱した。楽しみが消えた……。


 大好きなコンソメパンチ味。新婚生活の最初の楽しみが……。


「死音のせいだからな! 勝手に乗ってくんなよ……」


「いや、勝手に変な場所に片付けた寿のせいでしょ!」


「ぷはっ!」


「あ、笑った!」


 直後腹に手を当てて爆笑する寿。私のどこが面白いのか分からないが、とても楽しそうな笑みを浮かべている。


「やっぱお前面白いわ! 普段の配信ではキョドってて言葉を絞り出すのに精一杯じゃん? そんなお前でも怒る時は怒るんだな」


「そ、それは……。コンソメパンチ……好きだから……」


「なら聞く。お前はそのコンソメパンチ味のポテチと俺。どっちが好きなんだ?」


「っ!?」


 コンソメパンチ味と寿。両方とも同じくらい好きだけど……選べない。正直言うとしたら……。


「コンソメ……」


「ん?」


 私がいいかけた時。寿はスっとソファから立ち上がり、私に抱きついてきた。耳元に彼の吐息が吹かかる。


 そして――。


「――お前を一番推してるのは俺だ死音。だから、俺が好き(・・・・)と言え(・・・)……」


 まるで洗脳でも受けたような感覚。同時に心臓が跳ね上がった気がした。

読んでくださりありがとうございます。


ぜひブクマしていってください。


いいねは賽銭箱に大事にしまっておきます。

リアクションも別の賽銭箱に入れておきます。



次回!『柊死音のネガティブ配信!!』


早速事件が……。

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