あっちがわの木
みっちゃんは、よく、まいごになります。
べつに、なりたくて、なるわけでは、ありません。
《道》のほうから、さそってくるのです。
おとなは、だれも、しんじてくれないけれど――しんじてくれたのは、おばあちゃんだけだったけれど――この町には、ときどき、ヘンな道が、あらわれるのです。
いつもはピッタリくっついて、すきまなんかこれっぽちもなかったはずの、あの家と、この家の、へいの、あいだに――
腕いっぽんぶんくらいの、すきましか、なかったはずの、あのビルとこのビルの壁のあいだに――
いつもは立ち入り禁止のかんばんと、トゲトゲのはりがねで、とおせんぼしてある、工事現場のすみの草むらに――
「まえからずっとここにありましたけど、なにか?」
みたいな、すました顔をして、あるはずのない道が、ぽっかり、口をあけていたり、するのです。
それは、《あっち》の世界につながる道。
《あっち》の世界の入口です。
しっているのは、みっちゃんと、おばあちゃんだけ。
それでも、たしかに、それは、あるのです。
そうして、みっちゃんを、さそいこもうと、するのです。
《あっち》に、つれていこうと、するのです。
困ったもんだ、と、おばあちゃんは、いいました。
でも、みっちゃんは、そんなにイヤってわけでも、ありません。
どっちかというと、わくわくします。
「こっちだよ、こっち」
「このさきが、きにならない?」
「ここをぬけるとねぇ……」
なんて、声がきこえるわけではないけれど、そういわれているような気がします。
だれかに、呼ばれている気が、します。
なんだか、やけに、なつかしい気だって、するのです。
「だから、よけい、こまるんだよ」と、おばあちゃんはいいますけどね。
それに、みっちゃんが、あんまり、まいごになってばかりだと、ママが心配してしまいます。
まっさおな顔のママが、みっちゃんをだきしめて、おおごえで泣いてしまいます。
おとなのママが、泣くなんて、ヘンな感じです。
そんなときは、せっかくママにだっこしてもらっても、いつものふんわりやさしい感じとは、ぜんぜんちがって、あんまり、うれしくありません。
それは、たしかに、こまるのです。
それで、おばあちゃんが、いったのです。
「しょうがない、これを、わたしておくかね」
それは、ぎん色の、ふるい、かいちゅう時計でした。
いつもは、とまったまま、ピクリともうごきません。
ママは、こわれてるんだと、思っています。
でも、みっちゃんは、知っています。
近くに《あっち》の道があらわれたときだけ、チッチッチッチ……その時計は、きゅうに、うごきだすのです。
そして、どうやってか、わからないけれど、きっと、みっちゃんを、たすけてくれるのです。
その日も、そうでした。
「いってきまーす」
みっちゃんは、げんきに、おでかけしました。
お昼ごはんの、おすそわけ――おばあちゃんちに、おつかいです。
おばあちゃんは、ママのママ。
ご近所に、ひとりで、すんでいます。
あたらしいおうちを建てるとき、いっしょにすめばいいのにって、パパも、ママも、いいました。
でも、おばあちゃんは「すうぷのさめない距離」とかいって、昔からのふるいおうちに、残ったのです。
みっちゃんのおうちの、おとなりさんの、おとなりさんの、おとなりさんの、おむかいさん。
とほいっぷん。
いくらみっちゃんでも、まいごになるはず、ありません。
ママもそう思ったのでしょう。
心配しながらも、みっちゃんを、しんじて、ひとりで、いかせて、くれました。
でも、そこは、みっちゃん。
その日も、ちゃんと、あるはずのない道を、見つけてしまったのです。
かよいなれた道を、とちゅうまで、来たときでした。
ポケットのなかの、かいちゅう時計が、いつもどおり、チッチッチッチッ――音をたてはじめました。
とりだしてみると、ふだんはとまっている、はりが(とくに、びょうしん、っていうやつが)、うごいています。
みっちゃんは、あたりを、みまわしました。
すると……
ありました。
いつもはぴったりすきまのない、おとなりさんのおとなりさんのアカメの垣根と、そのまたおとなりさんのガレージのあいだに、あるはずのない道が、ぽっかり、口をあけているのです。
なんのへんてつもない、ふつうの道に、見えました。
だけど、時計をみると、あいかわらず、チッチッチッチッ――
ふだんはぴくりとも動かないくせに、じゅんちょうに動きつづけています。
だから、つまり、そういうこと。
だれかが――なにかが――呼んでいるのです。
道のおくから、かすかな声が、きこえてくるような気が、しなくもありません。
といっても、耳にきこえる音では、ないのですが……
(うふふ)
(あはは)
なんだか、たのしそう?
「うーん」
みっちゃんは、すこしだけ、かんがえるふりをしました。
でも、もう、こころは、きまっているのです。
「……ぴょん」
長ぐつで、みずたまりを、踏んづけるときみたいに、じゃんぷ、して、その道に、はいりました。
最初のうちは、アスファルトの普通の道でした。
でも、いつのまにか、ホコリっぽい土の道にかわっていました。
まわりは、背の高い、夏草が、おいしげる、原っぱです。
道にそって、木のくいが、ならんでいて、トゲトゲのはりがねが、はりわたされています。
そのほかには、なんにも、ありません。
あおい空と、おひさま、だけです。
ちょっと、退屈な、道かしら?
「でも、道なんだから、そのうち、どこかには、つくでしょう」
みっちゃんは、そう思って、あるきつづけました。
行く手に、おおきな木がみえてきたのは、そのあと、しばらくしてからでした。
「ほらね、道は、どこかには、つながっているものなのよ」
みっちゃんは、その木をめざして、あるきつづけました。
でも、いつまでたっても、近づきません。
いったい、どれだけ、遠いのでしょう?
あたまのうえから、夏のおひさまが、カンカンに、照りつけてきます。
さすがのみっちゃんも、いいかげん、ねをあげてしまいそうでした。
「こんなにはっきりみえているのに、こんなにとおいなんて、いったい、どんなタイボクなのかしら?」
ハッハッハァ、と、笑い声がきこえたのは、みっちゃんが、あきれて、そう、つぶやいたときでした。
「いつまであるいても、あの木には、たどりつけんよ」
ふりかえると、ひとりのおじいさんが、ニコニコわらって、立っています。
「つけないって、どうして?」
「結界がはってあるからさ。おじょうちゃんは、ずっと長いこと歩いてきたつもりじゃろうが、ほんとうは、まだ、ほんの、にさんメートルも、すすんでいないんじゃよ」
ほら、と、おじいさんが、うしろを指さしました。
ふりかえると、土の道は、みっちゃんの、すぐうしろで、アスファルトほそうの道に、かわっています。
その道の両がわは、いまもまだ、ご近所さんの、アカメの垣根と、ガレージ、なのでした。
みっちゃんは、うへぇ、ってなりました。
「そういうことは、もっとはやくいってほしかったわ」
「はっはっは、すまんすまん。これでもすぐにかけつけたんじゃが。なにしろ、あれは、ときじくの木じゃからなあ。時の流れが、ままならんのじゃよ」
さあ、これをお飲み、と、おじいさんが、コップをさしだしました。
「ねっちゅうしょうに、ならんようになあ」
コップの中には、すきとおった、きんいろの飲み物が入っています。あまい、さわやかなかおりがしました。
みっちゃんは、きゅうに、とんでもなく、のどがかわいていることに、気づきました。
コップを受けとると、ごくごく、のみほしてしまいました。
「おいしー」
ミカンみたいな、レモンみたいな、それより、ずっとあまい、おいしい、ジュースでした。
「元気がでたかね」
「うん。ありがとう」
「それじゃあ、元気になったところで、ひとつ、おねがいを、きいてくれんかね」
「おねがいって?」
「なに、かんたんなことじゃよ。ゼンマイを、まいてほしいのさ」
「?」
みっちゃんは、首をかしげました。
おじいさんは、はっは、と、わらって、くればわかる、と、手をさしのべました。
そのしぐさが、あんまり自然だったものだから、みっちゃんは、けいかいもしないで、その手をにぎってしまいました。
そうして、手をつないで、いっぽ、あるくと……
それだけで、もう、みあげるような大木の、すぐそばに、立っているのでした。
みっちゃんは、あっけにとられて、口をおおきくあけてしまいました。
その木は、あんまり、おおきすぎて、近くからだと、全体が、よく見えません。
幹は、どれだけ、太いでしょう。何人で、手をつないだら、抱えられるのか、けんとうも、つきません。
うねうねと、もりあがった、根っこだって、みっちゃんには、よじのぼるじしんが、もてないくらい、太いのです。
みあげれば、これまた太い枝が、何本もはりだして、ジャングルジムみたいに、入り組んでいます。
そのまわりに、緑の葉っぱが、うっそうと、おいしげっているのでした。
「ときじくの木じゃよ」
おじいさんが、いいました。
「時のまんなかを、つらぬいている、木じゃ。ここには、はじまりも、おわりも、とちゅうも、ぜんぶ、ある。いつでも花がさき、いつでも実がなり、いつでも枯れて、いつでも茂っている」
なんだか、よく、わかりません。
みっちゃんが、きょとんとしているのをみると、おじいさんは、また、ハッハ、とわらいました。
ごらん、と、おじいさんが、うえのほうを、指さしました。
「といっても、いまは、まだ、見えんかのう」
みっちゃんは、おじいさんが指さすほうを、みあげました。
でも、なにをさがしたらいいのか、わかりません。
「みえないわ」
「なに、そのうち、色がかわる。そしたら、わかるじゃろう」
「いろ?」
「サナギじゃよ。この木の葉っぱが、幼生どもの好物でな。幹も枝も、びっしり、おおわれているのさ」
「えーっ」
そうぞうすると、ちょっと、きもちわるいかも?
幼稚園には、しろいイモムシなんかとってきて、おんなのこにみせつける、おとこのこなんかもいますけど、みっちゃんには、気がしれません。
そんなの見せたがるなんて、おじいさんも、やっぱり、おとこのこなのかしら?
ちょっと、ひいてしまいました。
ふむ、と、おじいさんが、しろいおひげの、あごを、つかみました。
「チョウチョウは、きらいかね?」
「ちょうちょ?」
それなら、はなしは、別です。
みっちゃんは、目をかがやかせました。
おじいさんは、ニカッとわらって、
「では、てつだって、もらおうかの」
おじいさんの、おねがいは、ほんとうに、ゼンマイを、巻くことでした。
カチカチ、
カチカチ、
みっちゃんが、カギをまわすたびに、音がします。
「これでいいの?」
「ああ、そのちょうしじゃ」
みっちゃんの、かいちゅう時計は、うらに、あなが、ふたつあいています。
まんなかのあなが、じこく合わせ。
もういっこのあなが、ゼンマイです。
そのあなに、カギを、さしこんで、まわせば、ゼンマイが、まけるのです。
でも、いま、みっちゃんが、さしこんで、まわしているのは、おばあちゃんがくれた、カギでは、ありません。
おじいさんから、あずかった、木でできた、カギでした。
ときじくの枝じゃよ、と、おじいさんは、いっていました。
「ほんとうに、こんなんで、どうにか、なるのかしら?」
「だいじょうぶ。こまかいことは、時計が、やってくれる」
そういうものなのか、と、思いながら、みっちゃんは、きりきり、きりきり、ゼンマイをまきました。
そのうち、だんだん、カギが、重くなって、それ以上、どうしたって、まわらなくなりました。
「いっぱいだわ」
「では、もう、よかろう」
みっちゃんは、カギをぬくと、時計をひっくりかえして、ふたを、あけました。
とたんに――
チッチッチッチ
チチチチチチチ
チーーーーーー
時計が、きゅうに、ふるえはじめました。
「あれ? あれあれあれ?」
びょうしんが、すごいいきおいで、クルクル、クルクル、回っています。
それにつれて、いつもは、見えないくらい、ノロノロとしか、うごかない、ほかの二本のはりも、めずらしく、すうーっと、目にみえるはやさで、うごきだすのでした。
「そうら、はじまったぞ」
おじいさんが、いいました。
とたんに、
ボーン、ボーン、ボーン……
あたまのうえから、むかしの時計みたいな、おおきな音が、ふってきました。
木のぜんたいが、ふるえて、音をたてているみたい。
みっちゃんは、あっけにとられて、ぽかんと、口をあけました。
おじいさんは、わらいました。
そして、もういちど、さっきみたいに、木のうえのほうを、ゆびさしたのでした。
みっちゃんは、そっちを見上げて……
今度こそ、「わあ!」と、こえをあげました。
さっきまで、ちゃいろいだけだった、幹や枝のあちこちに、きいろい光の点々が、いくつも、びっしり、はりついています。
その光は、ぶるぶる、ふるえながら、すこしずつ、おおきくなっていくのでした。
木のぜんたいが、きいろく、まぶしく、かがやいているみたい。
やがて、いっせいに――
ザザーッ!
ザザーッ!
ザーーーッ!
音をたてて、そのむすうの光たちが、とびたったのです。
「うふふ」
「あはは」
たのしそうな、うれしそうな、笑い声が、きこえました。
そうです。さいしょに、道を見つけたとき、きこえた気がした、あの声です。
その声は、耳ではなく、みっちゃんのこころのなかに、ちょくせつ、ひびいてくるのです。
そして、あっというまに、みっちゃんのまわりが、そこいらじゅう、いっぱい、かがやく羽をつけた生き物たちだらけに、なったのでした。
「ちょうちょ!」
きいろに、黒いふちどりもようのついた、アゲハチョウのむれでした。
いいえ、ちょっと、ふつうのチョウチョとは、違っていたでしょうか?
すばやすぎて、こまかいところは、よくみえなかったけれど、そのきれいな羽をはやした生き物のからだは、なんだか、ちいさな人間みたいにも、みえたのです。
それに、ふつうのチョウチョなら、こんな、きれいに、光ったりしないでしょう。
《あっち》のいきものは、ふしぎです。
「ときじくの葉が、好物なのは、いいんじゃが。なにしろ、時をこえる木なのでなあ。ほうっておくと、いまが、いつだか、わからなくなる。こうして、ときどき、時間を合わせてやらねば、ならんのじゃ。とくに、羽化のころにはな」
どこかで、おじいさんが、いっています。
でも、そのすがたは、みえません。
チョウチョの数が、おおすぎるのです。
あたりいちめん、いっぱいにうめつくされて、まぶしいきいろ以外は、もう、何も、みえません。
あんまり、まわりが、まぶしすぎて、目を開けていることも、できないくらいです。
感じるのは、風と、音と、におい、だけ。
ひとつひとつは、ちいさな、チョウの羽ばたきが、たくさん、あわさって、ごうごうと、風になって吹きつけてきます。
その風にのって、うふふ、あはは、と、たのしげな、うれしげな笑い声が、みっちゃんのぜんしんを、なでていきます。
そしてまた、まぶしくひかる風は、ミカンみたいな、レモンみたいな、さわやかなかおりを、つれてきたりもするのです。
それは、さっき、おじいさんに、もらって、飲んだ、きんいろのジュースと、おなじ、かおり、だったかもしれません。
胸いっぱいにすいこむと、すーっとからだが、かるくなって、チョウたちといっしょに、お空にまいあがってしまいそう。
うっとりして、そのまま、身もこころも、ゆだねてしまいたくなるのでした。
このまま、どこか、とおい、とおい、とおいところへ……
「おーい、気をつけるんじゃぞ、うっかりついていくと、もどってこれなくなるでなあ」
どこからか、おじいさんの声がきこえました。
みっちゃんは、はっと、われにかえりました。
いけない、いけない。
それこそ、おそらのまいごに、なってしまいます。
というか、もう、おそいかも?
いまはもう、あたりいちめん、まぶしすぎて、なにがなんだか、わかりません。
みっちゃんの、目のうちがわまで、ひかっているみたい。
上も下も、右も左も、なんにも、みえません。
どこへつれていかれたって、これでは、わからないでしょう。
もしかしたら、とっくのとうに、おそらの上にいるのかもしれません?
「うーん。もしかしたら、ちょっと、こまったことになったのかしら?」
みっちゃんがそう思いはじめたときでした。
ハッハッハ、と、また、どこかで、おじいさんが、わらいました。
「時計を、しっかり、にぎっておいで。もとの時間を、見失わんようにな」
いわれてみれば、なんにもみえない光のなかで、手のなかの時計のかんしょくだけが、ハッキリしているのでした。
みっちゃんは、ぎゅっと、にぎりしめました。
すると、チーーっと、すごいはやさだった時計の音が、だんだん、ゆっくりになって、やがて、チッチッチッチ、と、いつものはやさに、もどっていったのです。
それでいい、と、おじいさんがいいました。
「さあ、手遅れにならないうちに、お帰り。ありがとうよ。お礼に、ときじくの実を、いくらか、もっていくといい。――おばあちゃんに、よろしくな」
おばあちゃんを、しってるの?
みっちゃんはふしぎに思いました。
でも、もう、お返事するひまも、ありませんでした。
きいろい光が、さーっと、とおざかって――
それといっしょに、あたりが、すうーっと暗くなっていったのです。
暗いのは、夕方だからでした。
お空が、きれいな、あかねいろに、そまっています。
みっちゃんは、おとなりさんのおとなりさんの、おうちの前に、立っていました。
アカメの垣根と、ガレージのあいだは、ぴったり、くっついて、すきまなんか、ありません。
カナカナカナ……と、夕方のセミが、鳴いていました。
「あれ? もう、こんな時間?」
みっちゃんは、かいちゅう時計を、みてみました。
びょうしんは、とまって、ピクリとも、うごきません。
みじかいはりは、ま下よりちょっと左のほうを、ながいはりは、上のほうを、さしています。
それが、ただしい時間かどうかは、わかりません。
ただ、このままおうちにかえったら、ママに、叱られそうな時間だってことは、わかりました。
いったい、どこで、なにをしていたの、なんて、ママのおこごとが聞こえてきそうです。
おこごとくらいなら、いいですが、まえみたいに、ママが泣いてしまったら、どうしましょう。
みっちゃんは、あたまをかかえてしまいました。
こんなとき、たよりになるのは……
「……おばあちゃん」
そうです。
おばあちゃんなら、なんとかしてくれるかもしれません。
というか、してもらうしかありません。
みっちゃんは、気をとりなおして、タッパーの入ったかばんを、もちなおしました。
すると、そのかばんから、ふわっと、ミカンみたいな、レモンみたいな、いいかおりが、したのです。
「まあ!」
ひらいてみて、びっくり。
かばんのなかには、きれいな、いいにおいのする、金色のくだものが、いくつも、入っていました。
「これが、ときじくの実?」
そのうちのひとつに、指さきで、ちょん、と、ふれた、そのときでした。
きいろく光るチョウチョが、すーっと、みっちゃんの顔のまえを横切っていきました。
(うふふ)
(あはは)
たのしげな笑い声が、聞こえた気がしました。
もちろん、耳ではない、どこかべつのところで、聞いたのです。




