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比較的最近更新した短編のまとめ場所

大きな桃から始まる物語

作者: 仲仁へび
掲載日:2024/05/25



 川の上から、大きな桃が流れてきた。


 突然の出来事だった。


 まるで有名な昔話みたいな例題だ。


 こういう時、諸君ならどうする?


 先生がそう言った。


 俺は思う。


 普通。


 そんな場面で、好奇心を発して、桃に手を伸ばしたりするだろうか。


 俺は、しない。


 だって、突然桃が。


 それも普通より大きな桃が流れてくるだなんて怖すぎるだろう。


 近くには、桃の木なんてないし。


 脈絡がなさすぎる。


 だから俺は、その桃に手を伸ばすなんて愚を犯さない。


 断固として、無視して、視界に入れないようにして、すみやかに、絶対的に、その場から離れるだろう。


 そう。


 それが本当に桃であるかどうかも、疑わしいしな。


 もしかしたら、桃の中に頭をやっちゃった危険人物が潜んでいるかもしれない。


 もしかしたら、頭が逝った奴が、危険な爆発物を隠しているかもしれない。


 だから俺は、断じてそんな状況で、川の上の方から流れてきた大きな桃に手を触れたりしないのだ!






 国語の授業の中。


 有名な昔話を例に出して授業していた。


 この状況で、君達はどうする?


 みたいな事を先生が聞いたんだったっけ。


 そうしたら隣の席の奴が「俺なら」とそんな事をのたまってきた。


 まじかよ。


 たかが昔話にそんなマジな事いっちゃうわけ?


 俺や他のクラスメイト達はドン引きだ。


 なんなら、先生だってドン引きだ。


 まじかよ。


 まじかよ。


 人間って想像できない事が起きると、思考が停止するんだな。


 こいつネタじゃなくてマジで言ってやがる。


 顔も目も大マジだった。


 ある意味ためになる国語の授業だったよ。


 人って思考止まるんだぁ……。


 その話題の中心、肝心の、当人。隣の生徒。


 俺の横にいる男子生徒は「川から桃が流れてきた場合」について、クソ真面目に話し終えた後、特に何か言うでもなく。


 普通に着席。


 他に何か言っとかなくていいのか?


 クラスの中の空気アレだぞ。


 えっと、オブラートに包むと、かなり独特な空気になっちゃってるぞ。


 いいのか?


 いいのかよオイ。


 いま、四月で、入学式を終えたばっかりで、


 ファースト授業の真っ最中だぞ。


 しかもお前、転校生で、完全なアウェイだろ。


 お前、これからの一年間どころか、これからの全ての学校生活、ぼっちになる危険性があるんだぞ。






 そんなわけで、心配になった俺は、要らぬ親切心を発揮してしまった。


「なんでやねーん!」


 隣に着席した男子生徒の頭をボカッと。


 叩いて。


 ツッコミを入れる。


 ちょっとヤケクソまじり。


 俺の声はちょっと震えまじり。


 でも、そんなでも、クラスの空気は和らいだようだ。


 ふう、なんとかこれで孤立する事はなくなったかな。


 個性出したくてとんがるのはいいけど、もうちょっと後先かんがえようぜ?


 なんて思っていたら。


 隣の席から「なんだこいつ」みたいな視線。


 ムカッときた。


 俺はお前の為にやってやったのに。


 ちょっと、その態度はないんじゃないですかねーえ?


 ははん?


 あれか、俺は進んで孤高の狼やってる的なムーブ?


 そういうの最初はいいけど、後からだんだんきつくなってくるよ?


 後悔しちゃうよ?


 先生から「はい、二人組つくってねー」って言われた時とか、「修学旅行誰と行く?」みたいなイベントが起きた時とか。


 ぼっちこじらせてると、絶対後悔しちゃうよ?


 なんて考えてたら。


「余計な事すんな、俺は人と群れる気はない」


 だってさ。


 かっちーん。


 言ったな。


 こいつ言いやがったな。


 俺の気苦労もしらずに、まだとんがりつづける気か。


 その結果。


 俺は「おんどりゃあぁぁぁ」と意味不明な事を言いながら、この隣のクソ野郎と取っ組み合いを始める事になった。






 その後、孤高の狼ムーブを終わらせない意地っ張りな生徒&それに諦めず茶々を入れまくるキレ芸生徒の組み合わせが、学校内でよく見られるようになった。






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