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雑用係は水晶玉に恋をする  作者: クソラノベ量産機
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二話 イジメられっ子と水晶玉

今回はイジメ描写が有るので苦手な人は読む事をオススメ出来ませんのでご注意ください。

 私の名前はことあずさ、高校2年生。


「お母さん、もう学校行きたくない……。」


「何言ってるの! 最低でも高校は卒業しないと就職に響くわよ? 朝御飯食べたら支度して学校へ行きなさい、お母さんも暇じゃないの!」


「うん…………。」


 お父さんが逮捕されて、私は学校で犯罪者の娘と言われ続ける日々を送っていた。


「やだな……、学校入りたくないな。」


 いつしか私には学校がヤケに大きく見え、恐怖の対象へと変わってしまっていた。 仲の良かった友人も自身がイジメの巻き添えを受けない様に私から離れて行った。


「また、靴箱にゴミ……。」


 ゴミを取り払い、スリッパに履き替え教室に向かうが廊下も異様なまでに長く見えるけど直ぐに教室に着いてしまった。


 俯きながら、教室のドアを開くと黒板消しが頭上に落ちて来た。


「犯罪者が来たぞー!」


「よく学校に来れるわね、人殺しの癖に!」


(違う、私は人殺しなんかじゃない………。)


 お父さんが殺人を犯したニュースが流れて、数日で私は犯罪者扱いされ地獄の様な日々を過ごしている。


「「かーえーれ、かーえーれ!」」


 私は周囲からの罵倒を無視し、自分の席に着くが机には心無い言葉が書かれていた。 “死ね”だの“犯罪者の娘”だの私は何もしてないのに。


「生きてて恥ずかしくないのかしらね? 早く死んだら、犯罪者さん?」


 私に近付き自殺を促して来るこの人は鳳凰院飛鳥ほうおういんあすか、イジメの主犯各だけど今になっては正直どうでも良かった。


「…………。」


「何とか言ったらどうなの? 私を無視するなんていい度胸ねっ?」


「いっ、痛っ!!」


 飛鳥は毎日の様に私が無視をすると髪の毛を鷲掴みにし左右に揺らしたり、机に叩き付けたりする。


「ふん、無視してんじゃないわよ! 人殺しの癖に!」


「痛……。」

(鼻血……出てる…………。)


 顔面を叩き付けられたのが原因で鼻血が机にポタポタと滴り落ち鼻がジンジンと熱くなっている。


 授業が始まると皆さっきまでとは違い黒板に集中し、授業の内容をノートに書き連ねていく。


「言ノ葉さん、鼻どうしたの? 血が出てるわよ、保険室に行く?」


「何でもありません……大丈夫……です……。」


「そう? ノート位はとりなさいね?」


「…………。」


 授業の間はイジメられる事はないけど、休憩時間になり先生が見えなくなると私に対する嫌味が毎日の様に聴こえてくる。


 そして昼食の時間、私はお母さんの手作り弁当を食べるが昔は美味しかったのに今となっては味がしない、というより味が分からなくなっていた。


(もう、いいや………。)


 私は味気無い弁当を少しだけ、口に入れ食べてはみたものの食欲なんて無く食べ残し昼休憩の時間、机に突っ伏して周りから何を言われても眠る事にしていた。


「あ……れ……? 皆居ない……?」


「言ノ葉さん、まだ残っていたの? 皆帰ったわよ、早く帰りなさい!!」


 先生に言われて私は帰りの支度をし、また靴箱に溜まってるゴミを靴から払い除け学校から帰る。


(はぁ、お弁当残した事……お母さんまた怒るだろうな。)


 何時からだろうか大好きだった音楽が流れる道も雑音に変わり、楽しかった事にも興味さえ失って私は生きている価値があるのだろうか?


(何で、道行く人達はあんなに笑ってるのか理解出来ない。 それとも私を嗤っているの?)


 すっかり辺りは暗くなってきた頃、私は見知らぬ道を通っていた。


「ここは……? 道、間違えたかな……」

(この看板、骨董品屋かな?)


 私は古い木造の骨董品屋らしき建物へと自然と足が動き店の中へと入店していた。


(薄暗い、豆電球がチカチカしてるけど何時からやってるんだろう? ん、これは……水晶玉?)


 不思議と水晶玉を手にし、中央部分をジッと観ていると吸い込まれそうなくらいの暗闇が広がっていた。


「お嬢ちゃん、水晶玉が気になるのかえ?」


「あっ、いえ……その……ごめんなさい。」


 水晶玉を覗き込んでいると店の人だろうか、私の背後に年配のお婆さんが現れていた。


「ふぅむ、お嬢ちゃん悩み事が有るね……その水晶玉はやろう、宿っておる精霊もお嬢ちゃんの所に行きたがっておるでの。」


「私は別に……、お幾らですか?」


「お代は、結構じゃよ。 きっと精霊がお嬢ちゃんの願いを叶えてくれるじゃろうて さあ、お帰り。」


 お婆さんはベルを取り出しチリンチリンと音を鳴らしたかと思えば私は自分の家の前で水晶玉片手に立ち尽くしていた。


「夢、じゃないよね?」


 私は恐る恐る玄関のドアを開ける、すると怒った表情のお母さんが立っていた。


「梓! 今何時だと思ってるの!! 門限はとっくに過ぎているのよ!!」


「ごめんなさい……。」


「何時も何時も、ごめんなさいって言えば許してもらえると思ってるの!!」


「ウルサイな! お母さんには私の気持ちなんて分からないよ!」


 悲しかった、一番理解してほしい家族にも理解してもらえず当たり散らかし言い合いになった後、私は自分の部屋に閉じこもりお婆さんから貰った水晶玉を眺めていた。


「私……馬鹿みたい、願いを叶える精霊なんて居る訳ないのに……え?」


 突然水晶玉が光出し、此処とは違う別の何処かが映し出され向こう側には私と同い年位の白髪で蒼い瞳をした男の子が映っていた。


「もしかして、願いを叶えてくれる精霊なの? 本物?」


 私は、映った男の子がお婆さんの言っていた精霊だと思い、今まで押し込んでいた感情が一気に溢れ出し涙をポロポロと流し胸の内を初対面にも関わらず明かしていた。


「あっ、水晶玉が!」


 しばらくすると映像は消えていき、男の子の声も次第に聴こえなくなった。


「消えちゃった……、精霊さんに酷い事しちゃったのかな?」


 自分の溜め込んできた想いを吐き出し、少しは気が楽になったけど精霊さんは何だかヤケに窶れている様に見えた。

読んでくださり有難う御座います。

異世界と現代日本の交互に話を展開するつもりなので不定期投稿になります。

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