どうしょう
「犯人、この子が?」
何言ってるんだ、この化け物は?
女の子みたいで、小柄で、髪から肌まで真っ白で、まるで人形みたいに綺麗で、どう見ても15~16の少年だ。
「冗談でしょ?まだ子供じゃないですか?」
(はぁ~?俺達は地獄の門番だかいや。ウソなんて言ったら、魔王様に何されるか…)
ブルブル震える左側。よっぽど怖い事されるんだ?
(それは兎も角、ウソや冗談じゃないなや)
(コイツが犯人で間違いないがや。それに、コイツはガキじゃないがや。年齢は25だがや)
25歳!!僕より年上だったのか!?
人は見掛けによらないな。
(コイツの名はサツ、25歳。職業暗殺者。記憶はコイツの体自身が覚えてるから生活には困らない筈だなや)
「困るに決まってるじゃないですか!!その人の体に入ったら、僕が人殺しをしなきゃいけない事になるじゃないですか!?」
(別に殺す必要ないがや。普通に生活すればいいだけだがや)
普通に生活出来る気が1ミリもしない。
(納得したなら、そろそろ魂入れするなや)
「僕は少しも納得してないです!?…えっと」
思わず名前を言おうとして彼等の名前を知らない事に気付いた。
「そう言えば、名前をまだ聞いてませんでした。僕は妻木優あなた、達でいいんでしゃうか?」
(ん?あー、挨拶がまだだったがや。)
そう言ってから、親指を立てて真ん中の頭を指す。
(俺はアリオン.ケルベロス。三兄弟の長男だがや)
次に右側の頭を指し。
(俺はジャン.ケルベロス。次男だなや)
最後に左側の頭を指し。
(最後は俺な。俺はカイオン.ケルベロス。末っ子かいや)
「それにしても、3つ
の頭に体が1つって、不便そうですね?」
(基本は長男の俺が動かしてるがや。緊急時は一番意思の強い奴が動かすから不便はないがや)
ドヤ顔のアリオンに対し、ジャンとカイオンが顔を顰める。
どうやら不便はないけど、不満はあるようだ。
黙っとこう。
しかし、このままでは何時までもこのままだ。
目の前の番人も困ってる。
一年間だけなら。
そう、一年だけなら、普通に生活出来るかもしれない。
「分かりました。お願いします。」
僕の言葉に明らかに安堵のため息を吐く三兄弟。
相当困らせてたんだな。
(それじゃあ、行くがや)
アリオンが善は急げとばかりに僕をサツ…さんの前に立たせた。
と、思ったらいきなり突き飛ばされた。
な…何故!?
続く