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13 『勧誘はご遠慮ください』

 外は、やはり多重支援を掛けていても、量も多くレベルの高い魔物に苦戦していたようだった。


 聖属性をかけていても、飛ぶのだ。タンク役の挑発を連発して引きつけて叩く。もしくは魔法で倒す。炎系の魔法は攻撃魔法が使える人間なら基本として扱うし、死霊系の魔物にもよく効く。


 みんなクタクタになって地面に座り込んでいた。表情が満足気なのは、死霊系の魔物のドロップ品は貴重だからだろう。


 ギルドマスターへ報告に行く前に、ダンジョンコアを僧侶に返す。


「あの……! 言いませんし、訴えません。たくさん、ありがとうございました」


 重たいダンジョンコアを抱えた彼女が頭を下げるので、ノアは笑ってその頭を撫でた。つい、というのが正しいが、彼女は顔を赤くしてギルドマスターの方へ向かった。


 首を傾げてノアもギルドマスターの元に向かう。ダンジョンクリアの報告は皆がしてくれているので、負傷者の確認だ。


「大怪我した方や、動けない方はいますか?」


「あぁ、乱戦になったからな。何人か馬車の中で休んでいる」


「回復してきます。そして、私は報酬が要らないので、私の報酬は皆さんの酒代にでもしてください。回復したら帰ります」


「はぁ?! お、おい、ノア!」


 ぺこ、と頭を下げてノアは馬車に向かった。地形や味方の攻撃の流れ弾で負傷した人たちを、まとめて回復させる。


 回復魔法は難しい。大雑把にやると、負傷部分が自己治癒力が活性化しすぎて逆に衰えたり傷が増えたりする。


 一人一人に丁寧に回復魔法をかけると、ノアは言った通り集団から離れた。


 人気のない場所で地脈を掴み、ゴーシュの街の側に出る。


 ゴーシュの街の大通りを見て回る。ここは特に鳥の串焼きと、牛を叩いてミンチにした物に香辛料を混ぜて炒めて薄焼のパンに詰めた物が人気なようだ。甘い物はあんまりない。


 他にも、エナメルの細工が綺麗だった。本物の宝石のように輝き透けるエナメルを、銀で線を引いた細工に流して作る工芸品が美しい。


 豪奢な物ならレイは幾らでも持っているだろう。けれど、ノアから見ても新鮮だと思うような美しい工芸品は、逆算して考える手間の割には安い。


 緑の蔓草に白い花をモチーフにした丸いペンダントを一つ、お土産に買った。


 あとは戻って先ほど見た串焼きやパンをいくつか買い込んで、城に戻るだけだ。


(レイは飽きないのだろうか……いつも似たような事ばかり報告してる気がするけど)


 それでも、やった事を聞いてもらえるのは嬉しい。一緒にお土産を食べながらレイと話すのを楽しみにして、もう少し街を見てこようと思った。


 美味しい酒があるなら、レイはそれも喜ぶからだ。

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