神殿の名はぴえん
またまた短いです。
「昨日は疲れていたから聞くのを忘れたけれどここは何処なの?」
『ここはミスルドの神殿だぴえん』
スリープは私が渡した飴玉を口に入れ。
『美味しい~~ぴえん~~~』
と両頬を抑える。
ああ……可愛い~~❤
「神殿ていうか廃墟だよね。何があったの?」
鈴花は倒れた柱や崩れた神殿にジャングルと化した庭を見た。
もごもごと口を動かしていたスリープはいきなり飴玉を噛み砕き飲み込んだ。
『勇者を召喚中に魔族に襲われたぴえん』
「そうだね、強い敵が来る前に叩くのはセオリーだよね。それで何処の神殿が荒れ果てているのか……随分荒れ果てているけど10年ぐらい前のこと?」
『200年前だぴえん』
「はあ~~~‼ 200年前って……で、勇者を召喚した国はどうなったの?」
『滅んだぴえん』
鈴花はごくりと唾を飲み込んだ。
「じゃ……魔族は……」
『隣の国の王子が倒したぴえん』
「倒したの? それなら勇者を召喚しなくても良かったんじゃない?」
『王の趣味だぴえん』
「王は勇者召喚が趣味なの?」
『それと自分が魔族と戦いたく無いのと、恋敵だった、隣の国の勇者王子への当てつけだぴえん』
「え~~この国当てつけで滅んだの~~~」
『間抜けだぴえん』
「確かに……勇者召喚はかなりの費用も人も時間もかかったのに勇者は召喚できんは~~魔族は倒せんは~~最悪だよね」
『ぶっちゃけこの国が滅んだのは借金のせいだぴえん。勇者を呼ぶからと、いろんな国に金を出させていたぴえん』
「魔族や魔物で滅んだんじゃなく借金なの? 情けないね~~何やってんだか笑い話にもならないわね」
『ホントだぴえん。そのとばっちりを受けておいら200年も眠る羽目になっただぴえん』
「えっ???」
『おいらは召喚された勇者様専用の聖鎧だぴえん。勇者様以外着る事が出来ないぴえん。お陰で200年ずっと箱の中に閉じ込められていたぴえん』
スリープは昨夜、鈴花が縫った尻尾を触る。
『新品が中古になっただぴえん』
「スリープは今まで何処に居たの?」
『あの神殿の祭壇の上に置かれた箱の中に居たぴえん』
スリープは鈴花の手を引っ張って崩れかけた神殿に連れていき、自分が入っていた箱を見せた。
神殿の中もどこぞの迷宮みたいにジャングルと化していた。
辛うじて祭壇と分かる所に大理石で作られた1メートルほどの箱があり。
その箱の蓋は開いていた。
「ここに200年も閉じ込められていたの……」
何か無性に腹が立ってきた鈴花だった。
そしてある事に気が付いた。
「……ねぇ……もしかして……私がこの世界に来たのって……まさか……」
『当りだぴえん。ご主人様は召喚に失敗されて200年後にずれちまっただぴえん』
「何か腹立ってきた。他所の世界の子供を攫ってきて‼ 魔王と戦えだ~~アホちゃうんか‼ 自分で戦え‼ 平和に暮らしてきてうさぎ一匹捌ない‼ 武器など持ったことも無い者が‼ 何故他所の世界の為に戦わねばならないの? しかも帰れないんでしょう‼ 魔王を倒して生きて帰っても荒れ果てた土地を押しつけられたり。行き遅れのお姫様押し付けられたり。孤独に暮らすことになるわ」
『頭の足りないおちょこちょいが召喚されるんだぴえん』
「あ~~それ言っちゃう~~いや‼ ちょっと待て‼ 今さらりと私の事馬鹿にしたわね‼」
鈴花はハサミを取り出した。
「河童禿げにしてやる~~~‼」
『いい女は細かいことは気にしないぴえん。滅びた国に文句言ってもしょうがないぴえん』
「いや‼ あんたに文句があるのよ‼」
鈴花はハサミを振り回したが、もこもこ羊はひょいひよいと避ける。
30分ほど追いかけっこをして鈴花はスリープを追いかけるのを諦めた。
「ぜ~~~は~~~。そうね前向きに生きなくっちやね。これからどうしょう。スリープは近くの町知っている?」
『歩いて4日の所に町があるぴえん』
びくりとスリープの肩がはねる。
そしてがたがたと震える。
『魔物が来るぴえん‼ ぴえん‼ ぴえん‼』
バキバキと木を倒して魔物が現れた。
……ピンクの像だった。
「……えっと……」
鈴花は混乱した。
えっ!
何でこんなにデカいなら地響きで分かるよね。
隠密のスキルでもあるの?
笑えばいいのか? 怖がればいいのか?
二階ほどあるピンクの像は何処か人の顔に似ていて。
鈴花を見るとにちゃあぁぁぁぁぁと笑った。
悪意の塊があるとすれば正にこいつがそうだ‼
「スリープ‼ あんた戦える?」
もこもこは鈴花のスカートに隠れてブルブル震えている。
あ……こいつ役立たずだわ。
瞬時に鈴花は悟った。
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2020/8/31 『小説家になろう』 どんC
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