プロローグだぴえん
某ゲームの筋肉羊を見ているうちに思いついた作品です。ふんふん。
ゴウゴウと空が荒れ狂い。
空飛ぶマッコウクジラは渦を巻くように瘴気をまき散らす。
空はどす黒く時々稲光を発している。
「デカいね」
少女は軽く嗤う。
全く冗談じゃない。
あれと戦えって?
宇〇戦艦ヤマトぐらいあるんですが……
正気か?
最高にいかれているわ。
崖の上から町の上空を飛ぶマッコウクジラが良く見える。
マッコウクジラの影は王都を覆いつくしている。
そのマッコウクジラは【魔王】とも【災厄】とも呼ばれている。
これから空飛ぶマッコウクジラと戦わねばならないのだ。
王都の住人は地下のダンジョンに避難している。
少女は赤い首輪にぶら下がる金色のベルをチリンと鳴らす。
その音に反応して4体の精霊達が姿を現した。
『ヘイヘイヘーイ。ビビッてんのか?』
10㎝ほどの身長の、赤い髪をした精霊は炎の精霊だ。
少女の肩に乗り煽る。
その精霊は特攻服を着ていてサングラスをしている。
その特攻服の背には【筋肉上等】と刺繡されている。
服もサングラスも少女が与えた物だ。
「バ~~カ。ビビってなんか無いわよ」
『そうです。鈴花様が金魚ごときでビビルはずないです‼』
風の精霊が緑の長い髪をポニーテールしている。
髪をなびかせて鈴花の周りを飛ぶ。
緑の可愛いマーメイドドレスを着ている。
クールな別嬪さんだ。
すいません。私めっちゃビビってます。
だってあれ宇宙戦〇ヤマトぐらいデカいんだよ。
マッコウクジラを金魚呼びするとは、この子侮れない。
『ねぇ~~ねぇ~~まだ~~~』
呑気な声で私の髪を引っ張るのは土の精霊だ。
この子はピエロの格好をしている。
本当にコロコロしていて可愛い。
戦隊ものだと黄色の戦闘服を纏った、カレー要員だ。
うん。癒される。
『うん。やっぱり外からの破壊は無理ね。中から破壊するしかないわ』
水の精霊は的確で嫌な判断を下す。
ロココ調のドレスを纏っている精霊はピンクがよく似合う。
青いツインテールが風にはためく。
鈴花は一年前の事を思い出す。
まさか自分が異世界転移をして、精霊を引き連れて魔王と戦うことになるとは……
高校二年生だったその時の自分に言ったらきっと『寝言は寝てから言え』って言ったと思う。
しかも私手芸部だよ~~~
身長も150㎝で顔も丸顔のソバカス平凡顔だ。
武芸の心得まるで無いよ~~‼
運動音痴だよ~~~‼
こう言うのって【自称ブスの美少女】が成るもんだよね。
マジモンのブスはならないよね。
しかもお供は【王子様】や【勇者】や【魔導士】や【神官】や【騎士】の美青年だよね。
乙女ゲームやファンタジーなら美形いっぱい側にいるよね。
居ないんだけど~~おっさんしか居ないんだけど~~
獣耳もおっさんなんだけど~~~‼
しかも、こいつら使えないんだけど~~
『鈴花‼』
水の精霊が私の首輪を掴み、上空700mに飛び上がる。
『ぐぇええ~~~』
私は思わず首を絞められた豚の様な悲鳴を上げた。
ドゴオオォォォォ‼
マッコウクジラは生意気にも口からドラゴン並みのブレスを吐き出す。
モウモウと煙を吐いて、さっきいた崖は跡形もなく消し飛んだ。
わ~~~地形が変わっとるがな。
『うふふふ~~~宣戦布告だね~~~』
土の精霊が楽しそうに嗤う。
のんびりした口調だが、実はこいつが一番の戦闘狂なんだ。
「ふふふ……いい度胸ね。私に牙をむいた事。地獄で後悔するがいい‼」
ぶわりと精霊達が闘気を纏う。
「さあパーティの時間よ‼ 派手にブチかますわよ‼」
美青年が登場しない怒り(八つ当たり)を込めて私は魔王に立ち向かつた。
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2020/8/25 『小説を書こう』 どんC
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