鈍感だった
掲載日:2019/07/07
物心つく頃から私は冷え性なのか、
朝の凍りついた水溜りを触っても
手はあまり冷たさを感じなかった
同時にどんなに冷たい言葉を言われても
私には“それ”の温度が分からなかった
文字を習って間もないとき
私は夜中まで遊んでいた
誰一人いない公園とベンチの花びら
うずくまる傘の中は外より濡れなかった
まだお腹は空かない
食べること自体は面倒だ
しかし私にとって
食事をした後の手が温まる感覚は特別なものだった
自分が生きているのだと実感できる
“それら”とは違うのだと
周りが青春とかいうものの中にいるとき
私は初めて他の方法で生を得た
見知らぬ二〇も上の人
その優しさの温度はやはり分からなかったが
その人に触れていると暖かかった
私が大人になる頃に
私の唯一の家族の手を握った
しわが多いその暖かい手が
冷たくなっていくのを感じた
やっと冷たさが分かるようになったそのとき
私は全ての温度を拒んだのだ
このまま鈍感でいたかったと




