まだまだクエストは終わらない。
ゴブリンを柵に閉じ込め、一息ついていると村長に昼食を食べていくよう勧められたので俺たちは村に行くことにした。
「これが約束の報酬だ」
見ると中には5万円が入っていた。
これは取り分、揉めるなと思う。
それから俺たちは昼食をいただいていた。
「キャー」
すると外から悲鳴が聞こえた。
嫌な予感を思いながら俺たちは昼食を中断し、悲鳴が聞こえた場所に行く。
するとそこにはゴブリンがいた。
もしかして柵からゴブリンが、脱走したのだろうか?
とりあえず村人に話を聞く。
「確認しましたが柵からゴブリンが逃げた形跡はありませんでした。冒険者さんお願いします」
つまり暴れているのは柵に入らなかったゴブリンというわけか。
「翔也、1匹だけだし倒すわよ」
「倒すわよってお前、回復士だから攻撃はできないだろ」
「どうやら私の出番ですね。私の銃でゴブリンを倒しましょう」
そして俺と文香は村人を避難させ、シャウラは銃を構える。
そして避難村人の避難を終え俺は大声で言う。
「いいぞ、シャウラ!」
俺の合図にシャウラは頷く。
しかし銃は撃たなかった。
「翔也、文香、弾がありません」
「マジか」
「マジです」
終わった。
もう無理だ。
絶望的な状況に俺とシャウラが何も言えずにいると文香は言った。
「翔也、いくわよ」
すると文香は詠唱を唱え始めた。
こいつまさか、俺にまたあの異臭をつけてそのすきに逃げるつもりだな。
そうはいかない!
俺は文香が魔法を放つと同時に避ける。
「オフェンシブ・パワー」
すると文香の放った魔法はゴブリンに当たった。
まさか今の魔法って……。
「翔也!なんでパワーアップの魔法避けるのよ!」
ゴブリンを見ると凶暴化していた。
なんとかしなければ……。
「文香!俺にスピードアップの魔法はかけられるか?」
「勿論できるけど一体何するつもり?」
「秘策がある」
今、この場にいるのは、回復士ヒーラーと弾を持たない狙撃手スナイパーと格闘家ファイターである俺。
俺がやるしかないじゃないか。
「スピード・フォース」
俺は文香のスピードアップの魔法を受ける。
そして俺は村長に効く。
「ナイフを用意できないか?」
シャウラが不思議そうに問う。
「一体、何をするんですか?」
「まぁ見れば分かる」
そして俺はナイフを構え高速でゴブリンに近づき叫んだ。
「必殺!股間潰し!」
そう言って俺はゴブリンの股間めがけてナイフを放った。
それからゴブリンは股間を抱えてうろたえながら倒れた。
どうやらあまりの痛みに失神したようだ。
その隙に檻に入れる。
我ながらよくやったと俺は思う。
「ふぅーオスでよかったぜ。ゴブリンもあの痛みは耐えられないだろう」
シャウラは苦笑いで言った。
「おめでとうございます」
そして文香は見下すように言った
「不潔ね」
「おい、それが危機を救った奴に言う言葉かよ!」
仕方ないじゃないか。
まともに闘って倒せるわけないし、急所って言ったらあそこだろ。
そして俺たちは報酬を貰い、ギルドでクエスト完了の報告をし、焼肉屋に来ていた。
「これからどうする?早速、明日からクエストか?」
「いや、明日は休みにしましょう」
てっきり、クエストだと思っていたので少し驚いた。シャウラも俺と同じことを思ったらしく文香に問う。
「文香、なにか予定でもあるのですか?」
「回復士ヒーラーの特訓よ」
「確かに俺も格闘家ファイターの技の特訓しないとな。それに服とか防具を買いたいし」
それから食事を終えた俺たちは店を出た。
「じゃあ明後日ギルドでね」
そう言って文香は、帰った。
俺もその流れで帰ろうとするとシャウラに呼び止められた。
「翔也ってもしかして文香と同棲してるんですか?」
「なんで?」
「翔也と文香って遠い街から一緒に来たって前に言ってたじゃないですか。だからてっきり2人は恋人同士なのかと」
「違う違う俺と文香は同棲なんてしてないし、そんな関係でもないよ」
「そ、そうですよね。変な事言ってすみません。
あ、あと良ければ明日、一緒に買い物しませんか?私も服とか買いたいので」
「俺なんかでいいのなら全然いいよ」
それから俺とシャウラは待ち合わせ場所や時間を決めまた明日と言って別れた。
翌朝、俺はベッドの上で目を覚ました。ごく当たり前のように思われるが、俺は昨日まで野宿をしていたので、ベッドで寝れることが至福だった。
実はここは文香に教えて貰ったカプセルホテルで、文香自身がホテルは高いからということで2日目以降これを利用しているらしく、昨日のクエストで無一文から脱出できた俺は、カプセルホテルに泊まっているのだ。
さぁ今日はシャウラと買い物だ。
違うとは分かっていても女の子と買い物をするとは、デートなのではと思い上がってしまう。
これが長年童貞をこじらせてきた弊害というわけか。