おはよう土下座
波の音が聞こえる。
手には砂の感触がある。
ここはどこだろうか。
「起きてよう」
寝ぼけ眼の俺の目には美少女が映った。
そして回らない頭をフル回転させ俺は一つの結論に至った。ここは、天国なのだろう。
「おっぱい揉んでいい?」
天国なら建前なんか無くして本音で行動しようと俺は思ったのだ。
そして彼女は笑顔で
「調子乗んなよクズが」
と言った。
「……ごめんなさい!つい口が滑ったというかなんというか。とにかく申し訳ございません」
と起きて早々それはそれは立派な土下座を繰り出しました。
そして俺は気づく。
「てか、お前船から飛び降りた女じゃねぇか!
お前のせいで俺は……俺は……死んで……ない?
どういうことだ?」
「そんなの知らないわよ。私覚えてないもの。とにかく洗いざらい話しなさい!」
「警察かよ。俺は犯人扱いか?」
「痴漢」
「すみません」
「とにかく私はなんでここにいるの?船にいたはずなのに」
俺は知る限りのことを話す。
「つまり私は船から落ちてそれを助けようとしたあなたも一緒に溺れて今に至るというわけね」
「あぁ」
そして彼女は言う。
「ダサ。助けようとして自分も溺れるなんてセクハラ野郎らしいヘタレね」
「頼むからさっきのことは水に流してくれ」
「うわー。土下座したら許されると思ってるの?あんた最低ね」
心が痛い。
俺はただただ先程のセクハラ発言を後悔するのだった。
俺たちは浜辺にいた。
恐らく漂流したのだろう。
俺のスーツと、彼女のドレスが完全に乾いていることから浜辺に漂流してからかなり時間が経ったのだと思われる。
とりあえず俺は効く
「なんで飛び降りたのか心当たりはないのか?」
そして彼女は少し考え
「それが外で夜風に当たってたのは覚えているのだけれど、それ以降となんで自分は外に出ていたのかが思い出せないのよ」
と俺の手首を紐で縛りながら言った。
どうやら俺を性犯罪者と思っているらしい。
まあセクハラ発言したのは俺だから間違ってはいないんだけど。
そして俺は彼女に効く
「これからどうするのかと俺の手首の紐を解いてもらう方法を教えてくれないか」
彼女は辺りを見回し
「とりあえずここがどこなのか見て回りましょう」
と言った。
質問は2つしたはずなんだが。
「そういえば名前言ってなかったね。私は清水文香、文香でいいわ」
慌てて俺も自己紹介をする。
「俺は横島翔也」