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漂流から始まる異世界暮らし  作者: 今井孔子
そして物語は動き出す
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出会い

「おーい。起きてっかー」

「……うぅ……」

「姉ちゃん、目、覚ましたぞ」

「そうか」


俺はゆっくりと目を開けた。

すると女性が俺を覗き込んでいた。

至近距離に思わず顔が熱くなる。

すると女性は言った。


「す、すまない」


それから俺はベッドから起き上がり、改めて俺は女性に目を向ける。

そこで俺は異変に気付く。


「あれ?その……耳……」

「耳?……あ、あーびっくりしたか?」


私と話すこの女性は見た目は綺麗で、清楚な感じのかなり俺好みの女性なのだが、耳が変わった形をしていた。

具体的に言うと耳が長いのだ。


そしてこれはアニメやラノベでよく聞く、あの種族なのではないだろうか。


「エルフ?」

「あぁ。私たちはエルフでこの村はエルフの村だ。

その……あまり不安にならないでほしい。エルフの村に自分がいるとは信じられないと思うが、救ったからにはお前は私が責任を持って生きて返そう」


いや、正直エルフに会えて不安になるどころか凄く嬉しいんだが、とりあえず俺は彼女にお礼を言うことにした。


「あ、ありがとうございます。よ、よろしくお願いします」


それから俺は今に至るまでの説明を受け、何故倒れていたのか質問をされた。


「どうやらお前を見る限り嘘はついてないようだ。だからギルドのスパイというわけではないのだろう。だが、分かっていると思うがお前は、一刻も早くこの村を出なければならない。時間は明日の深夜、約12時間後ってところか」


彼女の強い口調が気になる。

迷惑を掛けているのは自分なのでこれ以上お世話になるわけにもいかず俺は分かったと一言言った。

それから何か食べ物を持ってくると言って部屋を出て行ってしまった。

そして程なくしてドアが開くとあの女の弟が入って来た。


「にしてもお前、運が良かったな!もし俺たち以外に見つかってたら今頃死んでたぞ」

「本当、お前達にはただただ感謝の気持ちでいっぱいだよ」


すると彼は笑いながら言った。


「ははは、今頃公開処刑で首落とされてただろうな」

「はは、は?」


なにその怖い冗談、公開処刑で斬首でどこのお姫様だよ


「帰りは気を付けろよ。せっかく俺たちが救ってやった命、無駄にすんなよ」


そう言うとエルフ(姉)が食事を持って入って来たので彼は出て行ってしまった。


俺は食事を頂いていた。そこで俺は気になった事を質問する。


「あ、あのさ。もし俺が君たち以外のエルフに会ったらどうなる?」


すると彼女は当たり前のように言った。


「そんなの処刑に決まってるだろう」


いや、なにその物騒な当たり前、見つかったら処刑って俺は犯罪者かよ。

それに弟の話によると首斬りらしいし、怖!エルフ怖!俺の想像するエルフって妖精みたいな感じなんだけど!


「あ、あのさ。罪重すぎない?」


すると彼女は呆れながら言った。


「いや、君達人間も我々エルフを見るや否や殺しているだろう」


な、何やってんだよ人類!人類のクソ野郎が!

あれ?俺どこに喧嘩売ってだろ。


「あのさ、何で人類とエルフが殺しあうほど仲が悪くなったのか教えてくれないか?」


「は?何を言っている」


「いや、実は俺、田舎出身で世界の常識に疎くて人間とエルフの中が悪くなった原因を知りたいなと」


「いや、田舎出身でも一般常識だろ。物心ついて言葉と一緒に覚えるものだが、お前は親に教えられなかったのか?」


「まぁその訳ありで」


「それは……悪い事を聞いた。すまない。お前は苦労してるんだな。」


どうやら俺には親がいないと思ってくれたようだ。いや、でも俺、今異世界にいるからあながち間違っていないかもしれない。

「分かった。話そう。エルフと人類の昔話を」


「500年程前の事だ。その時まではエルフと人類は同じ世界に住む者として共に手を取り合っていたようだ。しかし事件は起きた。突然、エルフの村に襲撃者が来たのだ。その襲撃者は一夜にして村を1つ全滅させた。その後何とか襲撃者を倒したが、被害は酷かった。それからエルフは人類に問い詰めたが罪を全く認めなかったと言う。それどころか、『それはこっちのセリフだ』といいがかりをつけたのだ。そして今に至る」


とりあえず俺は気になったことを質問する。


「まず、襲撃者って1人か?」

「そんなわけないだろう。一個中隊くらいだったらしい」

「武器は何を使ったんだ?」

「それが不思議で500年も前にもかかわらず銃を使っていたらしい」


その時俺は嫌な予感がしていた。


「そいつらの名前は分かるか?」

「あぁ、隊長と思われるものが明石全登あかしたけのりと名乗ったらしい」


どうやら異世界転移の先輩がいたようだ。

明石全登さん、何してくれてんだ!


それから程なくして夜逃げの決行時間になった。

俺は彼女と馬に乗って村を抜け森に入っていた。


「本当、すまない、お世話になりっぱなしだ」

「気にするな、それにお前といると退屈しないしな」

「そう言えば名・」


俺が名前といいかけると、突然彼女は馬を止めた。そして村の方を見て言った


「すまない、ここまでだ」


それから直ぐに俺を馬から下ろすと村に向って行ってしまった。

何事かと思い村の方を見ると狼煙が上がっていた。

しかしどうすることも出来ないので帰路につく。

ことはできなかった。

気になる。一体、今頃村は……。

そしてちらっと見てくるだけと自分に言い聞かせて俺は村に向った。


村の近くに来ると悲鳴が聞こえた。恐怖でやはり帰ろうかとも思ったが。俺は覚悟を決めて歩みを進めた。

どうせ帰ってもやることないしな。

それから村の様子が確認できる位置まで来たところで俺は近くの茂みに隠れた。


そこで俺は衝撃の様子を目にする。

悲鳴をあげながら倒れていく様子を。

そして悲鳴をあげ、無抵抗に降参するものを容赦なく叩きのめす様子を。

ここに来るまで俺は予想をしていた。狼煙が上がっていると言うことは村に何かあったのだと。死傷者も出ているかもしれないと。


そして俺の予想は半分あたり半分外れていた。

村では多くの死者が出ていた。しかし倒れているのは人間で、それをやっているのはエルフだったのだ。

つまりエルフは殺されてなんかいなかった。殺していたのだ。

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