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遠い記憶
「危ないよ。帰ろう、横くん」
「ここまで来たら引き返せないよ」
あれは俺だろうか。二人は森にいた。しかし俺は何故、森の中を歩いているのだろうか。一緒にいる少女は誰だろうか。顔はぼやけて分からない。
「あの木に隠れるぞ」
「え、あれって、猪?」
「見りゃわかるだろ」
「もう帰ろうよ。襲って来たらどうするの」
少女は怯えていた。可哀想だ。俺は一体何をしているんだ。
「本当に見たの?見間違えじゃない?」
「そんなわけないだろ。俺はこの目で見たんだ。なんとしてもこのカメラに収めてやる」
どうやら俺は探し物をしているようだ。たぶん生き物なんだろう。
「ねぇ、横くんなんか私、猪と目があった気がするんだけど」
「そ、そんなわけないだろ。確かにこっちの方に向かって来てるけど…逃げるぞ!」
「え、えー無理だよ。すぐに追いつかれるよ!」
すると映像が段々と薄くなって来て、俺の記憶と思われる映像は途切れた。
俺は一体何を探していたんだろうか。
そしてあの少女は一体……




